トランジット法とは何か、惑星が星の前を横切ると暗くなる

惑星が星の前を横切ると、星はほんの少しだけ暗くなります。その小さな変化から惑星を見つけるのが「トランジット法」です。見つかった系外惑星の4個に3個は、この方法で見つかりました。一方で、星の前を横切らない惑星は、この方法ではどうしても見つかりません。
3行でわかる
- 惑星が星の前を横切ると星がわずかに暗くなる。暗くなる割合から惑星の大きさ、くり返す間隔から1周の日数がわかる。
- SEADICEがNASAの全件データ(2026年10月20日取得)を数えると、トランジット法で見つかった惑星は6,451個のうち4,785個(約74%)。2014年と2016年に数が大きく伸びた。
- 横切る向きに軌道がそろった惑星しか見つからない。地球と太陽の関係なら、遠くから横切るのが見える確率は計算で約0.5%。
01 わかっていることトランジット法とは、どんな方法?
星の明るさを測り続け、惑星が前を横切るときのわずかな暗さを見つける方法です。暗くなる割合から惑星の大きさ、くり返しの間隔から1周の日数がわかります。
トランジットは「通過」という意味です。惑星が星の前を通ると、惑星の影の分だけ星の光が隠れます。隠れる割合は、惑星と星の半径の比を2乗した値になります。
太陽と比べて計算すると、地球が横切っても太陽は約0.008%しか暗くなりません。木星でも約1%です。この小さな変化を、何千もの星について同時に測り続けるのがトランジット法です。
暗くなる現象が同じ間隔でくり返せば、それが1周の日数です。視線速度法(星のふらつきを測る方法)で重さも測れれば、大きさと重さから密度がわかります。密度から、岩石の惑星かガスの惑星かを見分ける手がかりが得られます。
02 どうやってわかったのかトランジット法は、どうやって広まったの?
2000年に、すでに知られていた惑星が星の前を横切る様子がとらえられました。その後、ケプラー宇宙望遠鏡とTESS衛星が、たくさんの星を見張って数千個の惑星を見つけました。
わかっているCharbonneauら(2000年、The Astrophysical Journal)[2]
視線速度法で見つかっていた惑星HD 209458 bが、星の前を横切る様子を2回とらえました。半径は木星の約1.27倍で、ガスでできた巨大な惑星とわかりました。
どうやって: 地上の望遠鏡で星の明るさを細かい間隔で測りました。星の半径と重さを太陽の1.1倍と仮定して計算しています。
わかっているKonackiら(2003年、Nature)[3]
明るさの変化から候補に挙がっていた星OGLE-TR-56を、視線速度法で調べて惑星と確かめました。トランジットの観測から先に見つかった惑星の、最初の例とされています。約1.2日で1周する巨大な惑星です[1]。
どうやって: 地上の観測計画OGLEが天の川の中心方向の星を見張って候補を挙げ、ケック望遠鏡で星のふらつきを測りました。
わかっているNASA ケプラー宇宙望遠鏡(2009〜2018年)[4][5]
はくちょう座の方向の約15万個の星を見張り続け、2,600個以上の惑星を見つけました。2016年には、候補の一つ一つが本物の惑星である確率を計算する方法で、1,284個がまとめて惑星と確かめられました。
どうやって: Mortonら(2016年)は、7,056個の候補のうち1,935個を「にせものの確率が1%未満」としました。428個は、にせものらしいとしています。
わかっているRickerら(2014年、Journal of Astronomical Telescopes, Instruments, and Systems)[6][7]
TESS衛星は、ケプラーが調べた星より10〜100倍明るい、近くの星を見張る計画です。2018年4月に打ち上げられました。
どうやって: 4台の広い視野のカメラで、少なくとも20万個の星の明るさを2分ごとに記録する設計です。近くの明るい星なので、見つかった惑星を別の望遠鏡でくわしく調べやすくなります。
03 数字と例えでいうとトランジット法で、何個見つかってきた?
SEADICEが数えると、トランジット法の惑星は4,785個で、2014年と2016年の2年だけで2,242個でした。見つかる惑星は、星の近くを短い日数で回るものに偏っています。
NASA Exoplanet Archiveの全件表(6,451件、2026年10月20日取得)を、発見方法と発見年で数えました[1]。2026年は10月20日までの数です。
| 発見年 | トランジット法の数 | その年の全体に占める割合 |
|---|---|---|
| 2002〜2013年(合計) | 359個 | 最初の1個は2002年(OGLE-TR-56 b) |
| 2014年 | 810個 | 872個中、約93% |
| 2016年 | 1,432個 | 1,504個中、約95% |
| 2021年 | 457個 | 564個中、約81% |
| 2026年(10月20日まで) | 278個 | 361個中、約77% |
| 全期間 | 4,785個 | 6,451個中、約74% |
名前で見ると、トランジット法の4,785個のうち3,278個は「Kepler」「K2」など、ケプラー望遠鏡の観測に関係する名前でした。「TOI」「TIC」で始まるTESS関係の名前は876個です[1]。名前の付け方は系外惑星の名前はどう付けるのかにまとめています。
| 項目 | 値 | 身近な例えでいうと |
|---|---|---|
| 地球が太陽を横切ったときの暗さ | 約0.008%(計算) | 電球1万個のうち1個弱が消えたくらいの差 |
| 木星が太陽を横切ったときの暗さ | 約1%(計算) | 電球100個のうち1個が消えたくらい |
| 地球の軌道が横切って見える確率 | 約0.5%(計算) | でたらめな方向から見ると、約215回に1回 |
| 1周10日未満の惑星の割合 | トランジット法の約57%[1] | 半分以上が、地球の1か月より短い「1年」 |
| 1周1年より長い惑星 | トランジット法では24個[1] | 4,785個のうち、200個に1個くらい |
計算の前提です。太陽の半径を約69.6万キロ、地球を約6,371キロ、木星を約69,911キロとし、半径の比を2乗しました。横切って見える確率は「星の半径÷軌道の半径」で、太陽の半径を約0.00465天文単位として地球(1天文単位)で計算しました。星の近くを回る惑星ほど、この確率は高くなります。
04 まだわかっていないことトランジット法では、何がまだわからないの?
太陽に似た星のまわりで、地球のように1年かけて回る小さな惑星がどれくらいあるかは、まだよくわかっていません。候補の多くも、本物かどうか確かめている途中です。
- 「もう一つの地球」はどれくらいあるのか地球のような惑星は1年に1回しか横切らず、暗さも約0.008%です。トランジット法で見つかった1周1年以上の惑星は24個しかありません[1]。数えられた例が少なく、割合の見積もりには幅があります(地球に似た惑星は見つかっているのか)。
- 候補のうち、どれが本物か暗くなる現象は、重なって見える2つの星(食連星)などでも起きます。ケプラーの候補にも、にせものらしいものが見つかっています[5]。TESSで見つかった「惑星か候補」の場所は、2025年9月時点で6,000個近くあり、確認が続いています[7]。
- 大きさだけでは中身がわからないトランジット法でわかるのは大きさです。重さが測れない惑星は、岩石の惑星か、ガスや水の多い惑星かを決められません。地球より少し大きい惑星の中身は、スーパーアースの記事で扱っています。
- 横切らない惑星軌道が横向きでない惑星は、この方法ではいつまでも見つかりません。たとえばいちばん近い系外惑星プロキシマ・ケンタウリbは、星の前を横切らないため大きさがわかっていません。
05関連する記事
06よくある質問
トランジット法とは何?
惑星が星の前を横切るとき、星がほんの少し暗くなるのを測って惑星を見つける方法です。暗くなる割合から惑星の大きさが、暗くなる間隔から1周にかかる日数がわかります。
惑星が横切ると、星はどれくらい暗くなる?
とてもわずかです。太陽の前を地球が横切っても約0.008%、木星でも約1%しか暗くなりません(半径の比を2乗して計算)。そのため、たくさんの星の明るさを精密に測り続ける宇宙望遠鏡が活躍しました。
系外惑星はなぜトランジット法で多く見つかっているの?
ケプラー宇宙望遠鏡やTESS衛星が、たくさんの星の明るさを同時に測り続けたからです。NASA Exoplanet Archiveの全6,451件のうち4,785個(約74%)がトランジット法で見つかっています(2026年10月20日取得のデータ)。
トランジット法で見つけにくい惑星は?
軌道が地球から見て横向きでない惑星は、星の前を横切らないので見つかりません。星から遠く、1周に何年もかかる惑星も、横切る回数が少なく見つけにくくなります。地球と太陽の関係なら、遠くから横切るのが見える確率は約0.5%です。
出典
- NASA Exoplanet Archive. Planetary Systems Composite Parameters(全件データ、2026年10月20日取得). https://exoplanetarchive.ipac.caltech.edu/
- Charbonneau, D., Brown, T. M., Latham, D. W., & Mayor, M. (2000). Detection of Planetary Transits Across a Sun-like Star. The Astrophysical Journal 529, L45–L48. https://doi.org/10.1086/312457
- Konacki, M., Torres, G., Jha, S., & Sasselov, D. D. (2003). An extrasolar planet that transits the disk of its parent star. Nature 421, 507–509. https://doi.org/10.1038/nature01379
- NASA. Kepler / K2. https://science.nasa.gov/mission/kepler/
- Morton, T. D., Bryson, S. T., Coughlin, J. L., et al. (2016). False Positive Probabilities for All Kepler Objects of Interest: 1284 Newly Validated Planets and 428 Likely False Positives. The Astrophysical Journal 822, 86. https://doi.org/10.3847/0004-637X/822/2/86
- Ricker, G. R., Winn, J. N., Vanderspek, R., et al. (2014). Transiting Exoplanet Survey Satellite. Journal of Astronomical Telescopes, Instruments, and Systems 1, 014003. https://doi.org/10.1117/1.JATIS.1.1.014003
- NASA. TESS (Transiting Exoplanet Survey Satellite). https://science.nasa.gov/mission/tess/


