系外惑星と生命

系外惑星の大気から何がわかるのか、光の色で成分を読む

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系外惑星WASP-19bの想像図
Photo: ESO/M. Kornmesser / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

何十光年も先の惑星は、望遠鏡で見ても点にすらなりません。それでも研究者は、その惑星の空気に何があるかを調べています。手がかりは、惑星の空気を通り抜けてきた星の光の「色」です。2002年にナトリウムが見つかってから、ウェッブ宇宙望遠鏡で二酸化炭素まで読めるようになりました。

3行でわかる

  1. 惑星が星の前を通るとき、空気を通り抜けた星の光を波長ごとに分けると、成分ごとに決まった色が少しだけ暗くなる。これで大気の成分がわかる。
  2. 太陽系の外の惑星の大気は、2002年にナトリウムで初めてとらえられ、2023年にはウェッブ宇宙望遠鏡が二酸化炭素をはっきり見つけた。
  3. 雲があると成分が隠れる。岩石でできた小さな惑星に大気が残るのか、生命の手がかりの気体があるのかは、まだ決着していない。

01 わかっていること遠い惑星の空気の成分が、なぜわかるの?

惑星が星の前を横切るとき、星の光の一部が惑星の空気を通り抜けます。空気の成分は決まった色(波長)の光を吸うので、光を色ごとに分けると、どの成分があるかがわかります。

惑星が星の前を通ると、星は少しだけ暗くなります。これをトランジット(通過)と呼びます。見つけ方そのものは系外惑星はいくつ見つかっているのかで書いています。

このとき、惑星のふちの薄い空気を、星の光が通り抜けます。ナトリウムや水、二酸化炭素などは、それぞれ決まった波長の光を吸います。光を波長ごとに分ける分光(プリズムで虹に分けるようなこと)をすると、吸われた色だけが少し深く暗くなって見えます。

ただし、空気の層は星に比べてとても薄いです。2000年のSeagerとSasselovの計算では、光が通り抜ける空気の面積は星の面積の1000分の1から1万分の1ほどでした[1]。そのため、とても強い吸収でないと見えません。

もう1つの方法は、惑星が星の後ろに隠れるときを使うものです。隠れる前と後で赤外線の量を比べると、惑星の昼側の温度がわかります。熱を運ぶ厚い大気があれば、昼側はそれほど熱くならないはずです。

02 どうやってわかったのかこれまでに、どんな大気が見つかったの?

ガスでできた大きな惑星では、ナトリウムや二酸化炭素がはっきり見つかっています。一方、雲で成分が隠れた惑星や、岩石惑星で厚い大気がないとわかった例もあります。

わかっているCharbonneauら(2002年、The Astrophysical Journal)[2]

惑星HD 209458 bの空気に、ナトリウムがあることを見つけました。太陽系の外の惑星で、大気がとらえられたのはこれが初めてです。

どうやって: ハッブル宇宙望遠鏡で4回のトランジットを観測しました。ナトリウムが吸う589.3ナノメートルの光だけが、まわりの色より約0.023%(1万分の2.3)深く暗くなりました。予想よりは弱い吸収で、著者らは雲などの可能性を挙げています。

わかっているKreidbergら(2014年、Nature)[3]

地球と海王星の間の大きさの惑星GJ 1214 bは、どの色でも同じように暗くなり、成分の吸収が見えませんでした。大気の高いところに雲があると考えないと説明できない、と結論しました。

どうやって: ハッブル宇宙望遠鏡で近赤外線の分光をしました。雲のない水・メタン・一酸化炭素・窒素・二酸化炭素の大気は、どれも5シグマ(とても確かな水準)で合わないとされました。

わかっているJWST系外惑星早期観測チーム(2023年、Nature)[4]

土星くらいの重さのガス惑星WASP-39 bの空気に、二酸化炭素があることを確かめました。系外惑星で二酸化炭素がはっきり見つかったのは初めてです。

どうやって: ウェッブ宇宙望遠鏡で、トランジットのときの赤外線を分光しました。波長4.3マイクロメートルの吸収が、26シグマという非常に確かな強さで見えました。ウェッブの発見全体はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は何を見つけたのかにまとめています。

わかっているGreeneら(2023年)、Ziebaら(2023年、ともにNature)[5][6]

地球くらいの大きさの岩石惑星TRAPPIST-1 bとcの昼側は、どちらも熱く、二酸化炭素の多い厚い大気はなさそうだとわかりました。bは大気がほとんどないか、まったくない可能性が高いとされます。

どうやって: 惑星が星の後ろに隠れるときの、波長15マイクロメートルの赤外線の減り方を測りました。bは5回の観測を合わせて8.7シグマで検出しています。cの昼側の温度は約380K(約107℃)でした。

有力な仮説Huら(2024年、Nature)[7]

岩石惑星55 Cancri e(かに座55番星e)に、二酸化炭素か一酸化炭素の多い大気があるらしいと報告しました。岩石惑星の大気の手がかりとして注目されていますが、1つのチームの観測で、成分の量まではわかっていません。

どうやって: ウェッブ宇宙望遠鏡で、波長4〜12マイクロメートルの惑星の熱の光を測りました。この惑星は地球の約1.95倍の大きさ、約8.8倍の重さで、計算上の温度は約2000Kです。

03 数字と例えでいうとどれくらい小さな変化を測っているの?

大気が吸う光の量は、星の明るさの1万分の数ほどしかありません。それをくり返し測って、成分の色を読み取っています。

項目値身近な例えでいうと
光が通り抜ける空気の面積星の面積の約1000分の1〜1万分の1[1]直径1メートルの円に対して、直径3センチ〜1センチほどの円の面積(計算)
2002年のナトリウムの吸収約0.023%(2.32×10−4)[2]電球1万個のうち2〜3個が消えたくらいの暗さの差(計算)
二酸化炭素が吸う光の波長4.3マイクロメートル[4]人の目に見える光(約0.4〜0.7マイクロメートル)の6倍以上長い。目では見えない赤外線(計算)
TRAPPIST-1 cの昼側約380K[6]約107℃。水が沸く温度より少し熱い(計算)
55 Cancri eの計算上の温度約2000K[7]約1700℃(計算)

温度は、K(ケルビン)から273を引いて℃にしました。面積の例えは、面積が直径の2乗に比例することから、1000分の1なら直径は約32分の1、1万分の1なら100分の1として計算しています。

04 まだわかっていないこと大気の研究で、まだ決着していないことは?

小さな岩石惑星に大気が残るのか、生命の手がかりになる気体が本当にあるのかは、まだ決着していません。雲の中身もよくわかっていません。

05関連する記事

06よくある質問

系外惑星の大気はどうやって調べるの?

惑星が星の前を通るとき、惑星の空気を通り抜けた星の光を、波長ごとに分けて調べます。ナトリウムや二酸化炭素などの成分は決まった波長の光を吸うので、その色だけが少し暗くなります。惑星が星の後ろに隠れるときの赤外線から、昼側の温度を測る方法もあります。

系外惑星の大気が初めて見つかったのはいつ?

2002年に発表された、Charbonneauらの研究です。ハッブル宇宙望遠鏡で惑星HD 209458 bを観測し、空気の中のナトリウムをとらえました。

系外惑星で酸素や生命の証拠は見つかった?

見つかっていません。2025年に惑星K2-18 bで生物が作る気体の候補DMSの手がかりが報告されましたが、別のチームの再分析では確かな証拠はないとされ、議論が続いています。

岩石でできた惑星にも大気はあるの?

まだはっきりしません。ウェッブ宇宙望遠鏡の観測では、TRAPPIST-1 bとcに二酸化炭素の多い厚い大気はなさそうだとわかりました。一方、55 Cancri eでは二酸化炭素か一酸化炭素の多い大気の手がかりが報告されています。

出典

  1. Seager, S., Sasselov, D. D. (2000). Theoretical Transmission Spectra during Extrasolar Giant Planet Transits. The Astrophysical Journal 537, 916–921. https://doi.org/10.1086/309088
  2. Charbonneau, D., Brown, T. M., Noyes, R. W., Gilliland, R. L. (2002). Detection of an Extrasolar Planet Atmosphere. The Astrophysical Journal 568, 377–384. https://doi.org/10.1086/338770
  3. Kreidberg, L., Bean, J. L., Désert, J.-M., et al. (2014). Clouds in the atmosphere of the super-Earth exoplanet GJ 1214b. Nature 505, 69–72. https://doi.org/10.1038/nature12888
  4. JWST Transiting Exoplanet Community Early Release Science Team (2023). Identification of carbon dioxide in an exoplanet atmosphere. Nature 614, 649–652. https://doi.org/10.1038/s41586-022-05269-w
  5. Greene, T. P., Bell, T. J., Ducrot, E., et al. (2023). Thermal emission from the Earth-sized exoplanet TRAPPIST-1 b using JWST. Nature 618, 39–42. https://doi.org/10.1038/s41586-023-05951-7
  6. Zieba, S., Kreidberg, L., Ducrot, E., et al. (2023). No thick carbon dioxide atmosphere on the rocky exoplanet TRAPPIST-1 c. Nature 620, 746–749. https://doi.org/10.1038/s41586-023-06232-z
  7. Hu, R., Bello-Arufe, A., Zhang, M., et al. (2024). A secondary atmosphere on the rocky exoplanet 55 Cancri e. Nature 630, 609–612. https://doi.org/10.1038/s41586-024-07432-x
  8. Madhusudhan, N., Constantinou, S., Holmberg, M., et al. (2025). New Constraints on DMS and DMDS in the Atmosphere of K2-18 b from JWST MIRI. The Astrophysical Journal Letters 983, L40. https://doi.org/10.3847/2041-8213/adc1c8
  9. Luque, R., Piaulet-Ghorayeb, C., Radica, M., et al. (2025). Insufficient evidence for DMS and DMDS in the atmosphere of K2-18 b. Astronomy & Astrophysics 700, A284. https://doi.org/10.1051/0004-6361/202555580