系外惑星と生命

ホットジュピターとは何か、星のすぐそばを回る巨大な惑星

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ホットジュピター、ペガスス座51番星bの想像図
Photo: ESO/M. Kornmesser/Nick Risinger (skysurvey.org) / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

1995年、太陽に似た星のまわりで初めて見つかった惑星は、少なくとも木星の半分ほどの重さがあるのに、星を約4.2日で1周していました。太陽系の常識では考えにくい、星のすぐそばを回る巨大なガスの惑星です。こうした惑星を「ホットジュピター(熱い木星)」と呼びます。なぜそこにあるのかは、30年たった今も決着していません。

3行でわかる

  1. ホットジュピターは、木星くらい重いのに、星のすぐそばを数日で回るガスの惑星。最初の例は1995年のペガスス座51番星b(約4.2日で1周)。
  2. SEADICEがNASAの全件データを条件を決めて数えると646個で、見つかった惑星の約1割。ただし見つけやすいためで、太陽に似た星で持っているのは約1%という見積もりがある。
  3. できた理由には「その場でできた」「円盤の中を移動した」「細長い軌道から近づいた」の3つの説があり、どれが主なのかは決着していない。

01 わかっていることホットジュピターとは、どんな惑星?

木星くらい重いガスの惑星が、星のすぐそばを数日で回っているものです。星の光を強く浴びるため、温度は1,000℃を超えるものが多くあります。

太陽系では、木星のような大きなガスの惑星は太陽から遠くを回っています。ところが1995年に見つかったペガスス座51番星bは、重さが木星の約半分以上で、星から約0.05天文単位(地球と太陽の距離を1とした長さ)を約4.2日で回っていました[2]。

ホットジュピターの決まった定義はありません。この記事では「1周10日未満」「重さが木星の0.3〜13倍」を目安にしました。こうした惑星は、太陽に似たふつうの星のまわりで最初に見つかった種類の系外惑星です[7]。

大きさを測ると、木星より大きいものが多くあります。2000年には、HD 209458 bの半径が木星の約1.27倍と測られました[4]。トランジット法で見つかったホットジュピターでSEADICEが数えると、約86%が木星より大きく、半径の中央値は木星の約1.23倍でした[1]。大きさの測り方はトランジット法とは何かで説明しています。

02 どうやってわかったのかホットジュピターは、どうやって調べられてきたの?

星のふらつきで見つかり、星の前を横切る観測で大きさがわかりました。どれくらいの星が持っているかは、たくさんの星を何年も調べて見積もられています。

わかっているMayor & Queloz(1995年、Nature)[2]

太陽に似た星ペガスス座51番星が、約4.2日の周期でふらついていることを見つけました。重さが木星の約半分以上の惑星が、星のすぐそばを回っていると考えると説明できました。

どうやって: 視線速度法(星の光の色のずれで、星のふらつきを測る方法)です。フランスのオート・プロヴァンス天文台で観測しました。

有力な仮説Linら(1996年、Nature)[3]

ペガスス座51番星bは、もっと外側でできたあと、まわりのガスの円盤との重力のやりとりで内側へ移動してきた、という考えを示しました。星の近くで移動が止まる仕組みも考えました。

どうやって: 惑星ができる円盤の計算モデルです。観測で移動の跡を確かめたものではありません。

わかっているWrightら(2012年、The Astrophysical Journal)[5]

太陽の近くにある太陽に似た星(F・G・K型)のうち、ホットジュピターを持つのは約1.2%(誤差±0.38%)でした。別の視線速度の調査とも合う値です。

どうやって: アメリカのリック天文台とケック天文台の長年の観測をまとめました。ケプラー宇宙望遠鏡の星での割合はその半分以下と報告されていますが、数が少なく、差ははっきりしないとしています。

わかっているGaudiら(2017年、Nature)[6]

表面温度約10,170Kのとても熱い星を、約1.48日で回るKELT-9bを見つけました。昼側の温度は約4,600Kで、K型の星と同じくらい熱い惑星です。

どうやって: トランジット法などで観測しました。強い紫外線で惑星のガスが失われ続け、星の一生のうちに外側のガスの多くがはぎ取られる可能性も計算しています。これは予測で、観測で確かめられたわけではありません。

有力な仮説Dawson & Johnson(2018年、Annual Review of Astronomy and Astrophysics)[7]

ホットジュピターのでき方について、20年以上の研究をまとめたレビュー論文です。「その場でできた」「円盤の中を移動した」「細長い軌道から星の潮の力で近づいた」の3つの説を比べました。

どうやって: これまでの観測と理論を整理しました。どの説も単独ではすべての証拠を説明できず、2つの道すじを合わせると説明できそうだとしています。

03 数字と例えでいうとホットジュピターは、どれくらい近くて、どれくらいある?

ペガスス座51番星bは水星の約7分の1の近さを回ります。SEADICEが数えると646個で、全体の約1割ですが、見つけやすいために数が多く見えています。

NASA Exoplanet Archiveの全件表(6,451件、2026年10月20日取得)を数えました[1]。条件は、トランジット法か視線速度法で見つかり、1周10日未満、重さが木星の0.3〜13倍、半径が木星の0.5倍以上の惑星です。視線速度法の惑星の半径は、アーカイブが重さから推定した値です。重さの線を木星の0.1倍まで下げるなど、条件を変えると数は変わります。

項目値身近な例えでいうと
ホットジュピターの数646個(トランジット法606・視線速度法40)[1]見つかった惑星の約10個に1個(計算)
太陽に似た星で持っている割合約1.2%[5]約80個の星に1個くらい(計算)
ペガスス座51番星bの1周約4.23日[1]水星(約88日)の約21分の1(計算)
ペガスス座51番星bと星の距離約0.052天文単位[1]約780万キロ。水星と太陽の距離の約7分の1(計算)
計算上の温度(中央値)約1,490K[1]約1,220℃(計算)。7割ほどが1,000℃を超える[1]
KELT-9bの昼側の温度約4,600K[6]約4,300℃(計算)
いちばん近いホットジュピターアンドロメダ座ウプシロン星b[1]約43.7光年。次がペガスス座51番星bの約50.4光年

見つけ方で比べると、偏りがよくわかります。木星くらい重い惑星のうちホットジュピターは、トランジット法では775個中606個(約78%)、視線速度法では713個中40個(約6%)でした[1]。トランジット法は、星の近くを回る大きな惑星ほど見つけやすい方法だからです。

計算の前提です。温度はK(ケルビン)から273を引いて℃にしました。水星は太陽から約0.387天文単位、1周約88日、1天文単位は約1億4,960万キロとしました。距離はパーセクに3.26をかけて光年にしています。全件は系外惑星 全6,451件の一覧で並べ替えられます。

04 まだわかっていないことホットジュピターについて、まだ謎なのは?

いちばん大きな謎は、どうやって星のすぐそばに来たのかです。3つの説があり、2018年のレビュー論文でも決着していないとされています。

05関連する記事

06よくある質問

ホットジュピターとは何?

木星くらい重いのに、星のすぐそばを数日で回っている、熱いガスの惑星のことです。最初の例は1995年に見つかったペガスス座51番星bで、約4.2日で星を1周します。

ホットジュピターはなぜ星の近くにあるの?

まだ決着していません。もとの場所でできた説、ガスの円盤の中を内側へ移動した説、細長い軌道から星の潮の力で近づいた説の3つがあります。2018年のレビュー論文は、1つの説だけではすべてを説明できないとしています。

ホットジュピターはどれくらいある?

NASA Exoplanet Archiveの全6,451件を、SEADICEが条件を決めて数えると646個で、見つかった惑星の約1割でした。ただし見つけやすいから多いだけで、太陽に似た星のうちホットジュピターを持つのは約1%という見積もりがあります。

太陽系にホットジュピターがないのはなぜ?

はっきりとはわかっていません。ホットジュピターのでき方自体が決着していないためです。太陽に似た星でホットジュピターを持つのは約1%と見積もられており、持たない星のほうがずっと多いことはわかっています。

出典

  1. NASA Exoplanet Archive. Planetary Systems Composite Parameters(全件データ、2026年10月20日取得). https://exoplanetarchive.ipac.caltech.edu/
  2. Mayor, M., & Queloz, D. (1995). A Jupiter-mass companion to a solar-type star. Nature 378, 355–359. https://doi.org/10.1038/378355a0
  3. Lin, D. N. C., Bodenheimer, P., & Richardson, D. C. (1996). Orbital migration of the planetary companion of 51 Pegasi to its present location. Nature 380, 606–607. https://doi.org/10.1038/380606a0
  4. Charbonneau, D., Brown, T. M., Latham, D. W., & Mayor, M. (2000). Detection of Planetary Transits Across a Sun-like Star. The Astrophysical Journal 529, L45–L48. https://doi.org/10.1086/312457
  5. Wright, J. T., Marcy, G. W., Howard, A. W., et al. (2012). The Frequency of Hot Jupiters Orbiting Nearby Solar-type Stars. The Astrophysical Journal 753, 160. https://doi.org/10.1088/0004-637X/753/2/160
  6. Gaudi, B. S., Stassun, K. G., Collins, K. A., et al. (2017). A giant planet undergoing extreme-ultraviolet irradiation by its hot massive-star host. Nature 546, 514–518. https://doi.org/10.1038/nature22392
  7. Dawson, R. I., & Johnson, J. A. (2018). Origins of Hot Jupiters. Annual Review of Astronomy and Astrophysics 56, 175–221. https://doi.org/10.1146/annurev-astro-081817-051853