系外惑星と生命

系外惑星の名前はどう付けるのか、日本が名付けた星も

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国立天文台(東京都三鷹市)の入口
Photo: おむこさん志望 / CC BY 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

系外惑星には、2種類の名前があります。研究で使う「51 Peg b」のような記号と、「ディミディウム」のような呼び名です。記号は星の名前に、見つかった順のb・c・dを付けたもの。呼び名は国際天文学連合(IAU、世界の天文学者の団体)が世界から募集して決めていて、日本からの提案も5組が採用されています。

3行でわかる

  1. 系外惑星の記号は「星の名前+小文字」。その星で最初に見つかった惑星がb、次がc。同時に見つかったときは星に近い順に付ける。
  2. 国際天文学連合は2015年・2019年・2022年に呼び名を公募し、19・112・20の惑星系に名前が付いた。呼び名は記号の代わりではなく、並べて使える。
  3. 日本からは2015年に4組、2019年に1組が採用された。2019年はかんむり座の恒星HD 145457が「カムイ」、その惑星が「ちゅら」になった。

01 わかっていること系外惑星の名前は、どういう決まりで付くの?

記号は「星の名前」と「小文字1つ」でできています。小文字はその星で見つかった順で、最初の惑星がb、2番目がc、3番目がdです。

国際天文学連合によると、記号はふつう2つの部分でできています[1]。前半は星の名前で、星のカタログの番号や、見つけた望遠鏡の名前が使われます。後半は小文字で、最初に見つかった惑星がbです。aを使わないのは、星そのものをAとして扱うことが多いからです[2]。

NASAによると、同じ星で一度に何個も見つかったときは、星に近いものから順にb、c、dと付けます[2]。ただし後から内側に見つかった惑星は、外側の惑星より後の文字になります。国際天文学連合も、cがbより星に近いこともあると説明しています[1]。

たとえば「HD 189733 b」のHDは、ヘンリー・ドレイパー星表という星のカタログです。189733はその189,733番目の星という意味です[2]。「Kepler-186f」はケプラー宇宙望遠鏡、「CoRoT-7b」はコロー衛星が見つけた星の番号から来ています[1]。

国際天文学連合は名前を独占しておらず、誰でも好きな呼び方をしてよいとしています[1]。そのうえで、世界で通じる呼び名を公募で決めています。公募の名前は4〜16文字で、商品名、存命の人や亡くなって100年たたない人の名前、ペットの名前などは使えません[13]。

02 どうやってわかったのか呼び名は、だれがどうやって決めたの?

国際天文学連合が「NameExoWorlds」という公募を3回行い、世界の天文クラブや一般の人の提案と投票で決めました。日本の提案は、日本の観測で見つかった惑星に付いています。

わかっている国際天文学連合(2015年12月発表)[3][4]

1回目の公募で、19の惑星系の14個の恒星と31個の惑星に名前が付きました。ペガスス座51番星bは「ディミディウム」、その星は「ヘルヴェティオス」になりました。日本からは、いるか座18番星(ムシカ)と惑星(アリオン)など4組が採用されました。

どうやって: 天文クラブなどの団体が名前を提案し、世界の一般の人が投票しました。日本の提案「アマテラス」は小惑星の名前と重なるため、「アマテル」に変えて採用されています。

わかっているSatoら(2007年・2008年、The Astrophysical Journal/日本天文学会欧文研究報告)[10][11]

2015年に日本が名付けた4つの惑星は、どれも岡山天体物理観測所の観測で見つかった惑星でした。たとえばわし座クサイ星bは、重さが木星の2.8倍以上で、約137日で1周します。

どうやって: 視線速度法(惑星に引っぱられた星のふらつきを測る方法)で、年をとって大きくなった星を観測しました。この方法でわかるのは重さの下限です。

わかっている国際天文学連合(2019年12月発表)[5][6]

2回目の公募では、参加した112の国と地域に1つずつ惑星系が割り当てられ、112組の名前が決まりました。日本の恒星HD 145457は「カムイ」、惑星HD 145457 bは「ちゅら」です。

どうやって: 各国の委員会が国内で名前を集めて絞り込みました。世界で78万人以上が参加しました。カムイはアイヌ語で精神的な力を持つ存在、ちゅらは琉球・沖縄の言葉で自然の美しさを表す言葉と説明されています。

わかっているSatoら(2010年、日本天文学会欧文研究報告)[12]

「ちゅら」と名付けられたHD 145457 bは、重さが木星の2.9倍以上のガスの惑星で、約176日で1周します。すばる望遠鏡と岡山天体物理観測所の観測で見つかりました。

どうやって: 視線速度法です。星は太陽の約1.9倍の重さの、年をとった星です。

わかっている国際天文学連合 恒星名ワーキンググループ(星名カタログ)[9]

日本の公募の結果は、はじめ「Kamui」でした。北海道アイヌ協会と相談したうえで、つづりを「Kamuy」に改めることが認められました。

どうやって: 国際天文学連合が正式に認めた恒星の名前の一覧に、承認日(2019年12月17日)とともに記録されています。

03 数字と例えでいうとどんな名前が、どれくらいあるの?

SEADICEがNASAの全6,451件を数えると、名前の前半で最も多いのは「Kepler」で2,759個でした。末尾の文字はbが4,785個で、いちばん後ろの文字はhでした。

NASA Exoplanet Archiveの全件表(6,451件、2026年10月20日取得)の惑星名を、最初のハイフンかスペースまでで区切って数えました[8]。アーカイブは呼び名ではなく記号で載せています。

名前の前半個数どういう名前か
Kepler2,759ケプラー宇宙望遠鏡の番号。2,719個がトランジット法で発見
TOI869TESS衛星の候補の番号。815個がトランジット法
HD832ヘンリー・ドレイパー星表。734個が視線速度法
K2486ケプラー望遠鏡の延長観測「K2」
WASP188地上の観測計画WASP。180個がトランジット法
GJ149グリーゼ星表(近くの星のカタログ)

末尾の文字で数えると、bが4,785個、cが1,073個、dが345個でした。hまで付いた惑星は5個(TRAPPIST-1 hなど)で、iはありませんでした[8]。惑星を持つ星は4,847個なので、公募で名前が付いた151の惑星系(19+112+20)[3][5][7]は約3%です(計算)。

日本が名付けた5組は次のとおりです。距離はアーカイブのパーセクの値に3.26をかけて光年にしました[3][6][8]。

記号恒星の呼び名惑星の呼び名距離
いるか座18番星 bMusica(ムシカ)Arion(アリオン)約249光年
おうし座イプシロン星 bAin(もとからの名前)Amateru(アマテル)約155光年
HD 81688 bIntercrus(インテルクルス)Arkas(アルカス)約280光年
わし座クサイ星 bLibertas(リベルタス)Fortitudo(フォルティトゥド)約183光年
HD 145457 bKamuy(カムイ)Chura(ちゅら)約441光年

カタカナの読みは目安です。名前のついた惑星を近い順に探したいときは、系外惑星 全6,451件の一覧で記号を検索できます。

04 まだわかっていないこと名前の付いた惑星について、まだわからないことは?

日本が名付けた5つの惑星は、本当の重さも大きさもまだわかっていません。記号の文字も見つかった順なので、その星にまだ見つかっていない惑星があるかはわかりません。

05関連する記事

06よくある質問

系外惑星の名前についている「b」は何?

その星のまわりで最初に見つかった惑星という意味です。2番目に見つかった惑星がc、3番目がdになります。同時に見つかったときは、星に近い順にb、c、dと付けます。文字は見つかった順なので、星からの距離の順とは限りません。

日本が名前を付けた系外惑星はある?

あります。国際天文学連合の公募で、2015年に日本からの提案4組、2019年に1組が採用されました。2019年は、かんむり座の恒星HD 145457がカムイ、その惑星がちゅらと名付けられました。

系外惑星に自分で名前を付けられる?

国際天文学連合は名前を独占しておらず、誰でも好きな呼び方をしてよいとしています。ただし世界で通じる呼び名は、国際天文学連合の公募などで決まります。公募には、4〜16文字、商品名や存命の人の名前は不可などのルールがあります。

Kepler-186fの「Kepler」は何?

惑星を見つけたNASAのケプラー宇宙望遠鏡の名前です。系外惑星の名前の前半は、星のカタログの番号か、見つけた望遠鏡や観測計画の名前であることが多いです。

出典

  1. International Astronomical Union. Naming Exoplanets. https://iauarchive.eso.org/public/themes/naming_exoplanets/
  2. NASA. How Do Exoplanets Get Their Names? https://science.nasa.gov/exoplanets/how-do-exoplanets-get-their-names
  3. International Astronomical Union (2015). Final Results of NameExoWorlds Public Vote Released(iau1514). https://iauarchive.eso.org/news/pressreleases/detail/iau1514/
  4. IAU NameExoWorlds. 2015 Approved Names. https://nameexoworlds.iau.org/2015approved-names
  5. International Astronomical Union (2019). IAU100 NameExoWorlds(iau1912). https://iauarchive.eso.org/news/pressreleases/detail/iau1912/
  6. IAU NameExoWorlds. 2019 Approved Names(一覧表を含む). https://nameexoworlds.iau.org/2019approved-names
  7. IAU NameExoWorlds. 2022 Approved Names. https://nameexoworlds.iau.org/2022approved-names
  8. NASA Exoplanet Archive. Planetary Systems Composite Parameters(全件データ、2026年10月20日取得). https://exoplanetarchive.ipac.caltech.edu/
  9. IAU Working Group on Star Names. IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN). https://www.pas.rochester.edu/~emamajek/WGSN/IAU-CSN.txt
  10. Sato, B., Izumiura, H., Toyota, E., et al. (2007). A Planetary Companion to the Hyades Giant ε Tauri. The Astrophysical Journal 661, 527–531. https://doi.org/10.1086/513503
  11. Sato, B., Izumiura, H., Toyota, E., et al. (2008). Planetary Companions around Three Intermediate-Mass G and K Giants: 18 Delphini, ξ Aquilae, and HD 81688. Publications of the Astronomical Society of Japan 60, 539–550. https://doi.org/10.1093/pasj/60.3.539
  12. Sato, B., Omiya, M., Liu, Y., et al. (2010). Substellar Companions to Evolved Intermediate-Mass Stars: HD 145457 and HD 180314. Publications of the Astronomical Society of Japan 62, 1063–1069. https://doi.org/10.1093/pasj/62.4.1063
  13. IAU NameExoWorlds. Naming Rules. https://www.nameexoworlds.iau.org/naming-rules