宇宙の始まりと終わり

宇宙の歴史を1年のカレンダーにすると?138億年を縮めた宇宙カレンダー

約8分で読めます

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮った、無数の遠い銀河が写る空の一角(JADES-GS-z14-0のまわり)
Photo: NASA, ESA, CSA, J. Olmsted (STScI), S. Carniani (Scuola Normale Superiore), JADES Collaboration / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

宇宙が始まってから今までの137.87億年を、1月1日から12月31日までの1年に縮めてみます。すると、太陽系ができるのは9月、恐竜などが絶滅するのは12月30日の朝です。私たちの種ホモ・サピエンスが現れるのは、大みそかの夜11時48分ごろになります。日時はすべて、論文で測られた年代からSEADICEが計算したものです。

3行でわかる

  1. 宇宙の年齢137.87億年を1年に縮めると、1日は約3780万年、1秒は約437年にあたる(計算)。
  2. 太陽系ができたのは9月2日ごろ、小惑星の衝突で恐竜などが絶滅したのは12月30日の朝6時ごろ。
  3. 最古のホモ・サピエンスの化石は12月31日23時48分ごろ。ただし最初の生命がいつ現れたかは、まだ決着していない。

01 わかっていること宇宙の歴史を1年に縮めると、1日は何年?

宇宙の年齢137.87億年を365日で割ると、1日は約3780万年です。1時間は約157万年、1分は約2万6000年、1秒は約437年にあたります(計算)。

このように宇宙の歴史を1年に縮めた表は「宇宙カレンダー」と呼ばれます。数字が大きすぎて実感しにくい時間を、身近なカレンダーに置きかえる考え方です。

もとにする宇宙の年齢は、プランク衛星の観測から求められた137.87億年(誤差は前後2000万年)です [1]。年齢の測り方は宇宙の年齢138億年はどうやって測ったのかに詳しく書いています。

カレンダーの日時は、それぞれの出来事が「今から何年前か」を論文で確かめ、その年数を1日あたり約3780万年で割って出しました。うるう年は考えず、1年を365日としています。

02 どうやってわかったのかカレンダーの日付は、何を測って決めたの?

日付のもとになる年代は、宇宙の電波のむら、隕石や岩石に含まれる放射性元素、化石とともに見つかった石器の年代測定などで決められています。出来事ごとに測り方が違います。

わかっているプランク・コラボレーション(2020年、Astronomy & Astrophysics)[1]

宇宙の年齢は137.87億年、誤差は前後0.20億年。カレンダーの1年の長さは、この値で決まります。

どうやって: 宇宙全体から届く電波(宇宙マイクロ波背景放射)の、わずかな温度のむらを全天で測りました。標準的な宇宙のモデル(ΛCDMモデル)を前提に、膨張を逆算した値です。

わかっているカルニアーニら(2024年、Nature)[2]

赤方偏移14.32(光が出てから届くまでに波長が約15倍に伸びた)の銀河を確かめました。ビッグバンから約3億年後には、明るい銀河がすでにあったことになります。カレンダーでは1月8日ごろです(計算)。

どうやって: ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で銀河の光を色ごとに分け(分光)、距離を確かめました。

わかっているコネリーら(2012年、Science)[3]

太陽系ができ始めたころの固体のつぶ(隕石に含まれるCAIと呼ばれる粒)の年齢は45億6730万年(誤差は前後16万年)。カレンダーでは9月2日ごろです(計算)。

どうやって: 隕石の中の粒に含まれるウランと鉛の割合から年齢を出しました(鉛-鉛年代測定)。太陽系のでき方は太陽系はどうやってできたのかに書いています。

有力な仮説ワイルドら(2001年、Nature)[4]

西オーストラリアの岩石から、44億400万年前(誤差は前後800万年)にできた鉱物のつぶ(ジルコン)が見つかりました。年代は測定値ですが、そのころすでに陸の地殻と海があったという解釈は、ジルコンの成分からの推定です。カレンダーでは9月6日ごろです(計算)。

どうやって: ジルコンの年代と、酸素の同位体(重さの違う酸素)の割合を細かく測りました。液体の水とふれた物質がまじっていたことを示す値でした。

有力な仮説ポールトンら(2021年、Nature)[5]

大気の酸素は約24.3億年前に増え始めましたが、その後も約2億年増えたり減ったりをくり返し、ずっと残るようになったのは約22.2億年前でした。カレンダーでは10月28日ごろから11月3日ごろまでにあたります(計算)。

どうやって: 南アフリカの海の地層にふくまれる硫黄と鉄の化学的な特徴から、当時の大気と海の酸素の変化を読み取りました。これまでの見積もりより約1億年遅いという新しい結果で、まだ検証が続いています。

わかっているフィッシャー=ゲッデら(2024年、Science)[6]

メキシコのチクシュルーブへの小惑星の衝突は6600万年前で、白亜紀と古第三紀の境目の地層をつくりました。カレンダーでは12月30日の朝6時ごろです(計算)。

どうやって: 境目の地層にふくまれるルテニウムという金属の同位体を測り、ぶつかったのは木星より外側でできた炭素を多くふくむ小惑星だったと示しました。衝突と絶滅の証拠は恐竜を絶滅させた小惑星の証拠に書いています。

有力な仮説リヒターら、ユブランら(2017年、Nature)[7][8]

モロッコのジェベル・イルードで見つかった人類の化石は31.5万年前(誤差は前後3.4万年)。ホモ・サピエンスの仲間として報告された中で最も古い化石です。カレンダーでは12月31日の23時48分ごろです(計算)。

どうやって: 化石と同じ層から出た、火で焼けた石器の年代を熱ルミネッセンス法(焼けた石がためた放射線の量から年代を出す方法)で測りました。この化石をホモ・サピエンスの初期の姿とみるのは、顔や歯の形の比較による解釈です。

03 数字と例えでいうと宇宙カレンダーで、人類が現れるのは何時?

ホモ・サピエンスが現れるのは12月31日の23時48分ごろで、年が明けるまで残り約12分です。西暦元年は23時59分55秒ごろ、人の一生80年は約0.18秒にあたります(計算)。

出来事今から何年前宇宙カレンダーでは(計算)
ビッグバン(宇宙の始まり)137.87億年前 [1]1月1日 0時
明るい銀河がすでにあるビッグバンの約3億年後 [2]1月8日ごろ
太陽系ができ始めたころの固体45億6730万年前 [3]9月2日ごろ
地球で最古の鉱物(ジルコン)44億400万年前 [4]9月6日ごろ
大気の酸素が増え始める〜定着する約24.3億〜22.2億年前 [5]10月28日ごろ〜11月3日ごろ
小惑星の衝突と大量絶滅6600万年前 [6]12月30日 朝6時ごろ
最古のホモ・サピエンスの化石31.5万年前 [7]12月31日 23時48分ごろ
西暦元年約2026年前12月31日 23時59分55秒ごろ
人の一生(80年とする)80年約0.18秒

計算のしかた: 1年(365日)を137.87億年とすると、1日は約3780万年、1秒は約437年です。たとえば6600万年前の衝突は、年の終わりから約1.75日前にあたるので、12月30日の朝6時ごろになります。日付は年代の誤差の分だけ前後します。

この表を見ると、1月から8月までの8か月は、太陽も地球もまだない時間です。西暦の2000年あまりは、大みそかの最後の約5秒に入ってしまいます(計算)。宇宙の年表は宇宙の年表のバーを動かしても確かめられます。

04 まだわかっていないこと宇宙カレンダーで、日付がまだ決まらないのはどこ?

いちばん大きな空白は、地球で最初の生命がいつ現れたかです。最初の星が生まれた日付や、もとになる宇宙の年齢そのものも、まだ動く可能性があります。

05関連する記事

06よくある質問

宇宙カレンダーで、人類が現れるのは何時?

最古のホモ・サピエンスの化石(31.5万年前)は、12月31日の23時48分ごろにあたります(計算)。年が明けるまで残り約12分です。

宇宙カレンダーで、恐竜が絶滅したのはいつ?

6600万年前の小惑星の衝突は、12月30日の朝6時ごろにあたります(計算)。大みそかの前の日です。

宇宙カレンダーの1秒は何年?

宇宙の年齢を137.87億年として1年に縮めると、1秒は約437年、1分は約2万6000年、1日は約3780万年です(計算)。

太陽系ができたのは宇宙カレンダーの何月?

太陽系ができ始めたころの固体の年齢、45億6730万年前は、9月2日ごろです(計算)。それまでの8か月あまりは、太陽も地球もまだありません。

出典

  1. Planck Collaboration, Aghanim, N. et al. (2020). Planck 2018 results. VI. Cosmological parameters. Astronomy & Astrophysics 641, A6. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201833910
  2. Carniani, S. et al. (2024). Spectroscopic confirmation of two luminous galaxies at a redshift of 14. Nature 633, 318–322. https://doi.org/10.1038/s41586-024-07860-9
  3. Connelly, J. N. et al. (2012). The absolute chronology and thermal processing of solids in the solar protoplanetary disk. Science 338, 651–655. https://doi.org/10.1126/science.1226919
  4. Wilde, S. A., Valley, J. W., Peck, W. H., Graham, C. M. (2001). Evidence from detrital zircons for the existence of continental crust and oceans on the Earth 4.4 Gyr ago. Nature 409, 175–178. https://doi.org/10.1038/35051550
  5. Poulton, S. W. et al. (2021). A 200-million-year delay in permanent atmospheric oxygenation. Nature 592, 232–236. https://doi.org/10.1038/s41586-021-03393-7
  6. Fischer-Gödde, M. et al. (2024). Ruthenium isotopes show the Chicxulub impactor was a carbonaceous-type asteroid. Science 385, 752–756. https://doi.org/10.1126/science.adk4868
  7. Richter, D. et al. (2017). The age of the hominin fossils from Jebel Irhoud, Morocco, and the origins of the Middle Stone Age. Nature 546, 293–296. https://doi.org/10.1038/nature22335
  8. Hublin, J.-J. et al. (2017). New fossils from Jebel Irhoud, Morocco and the pan-African origin of Homo sapiens. Nature 546, 289–292. https://doi.org/10.1038/nature22336
  9. Dodd, M. S. et al. (2017). Evidence for early life in Earth's oldest hydrothermal vent precipitates. Nature 543, 60–64. https://doi.org/10.1038/nature21377
  10. Allwood, A. C. et al. (2018). Reassessing evidence of life in 3,700-million-year-old rocks of Greenland. Nature 563, 241–244. https://doi.org/10.1038/s41586-018-0610-4