宇宙の年齢138億年はどうやって測ったのか

宇宙は138億歳だと言われます。でも、宇宙の誕生を見ていた人はいません。それでも年齢がわかるのは、宇宙が広がる様子を逆にたどれるからです。しかも、まったく別の方法で測った星の年齢とも答えが合っています。
3行でわかる
- プランク衛星の観測から、宇宙の年齢は137.87億年(誤差は前後2000万年)と求められています。
- 最も古い星の集まりは約133億歳で、宇宙より若く、別の方法でもつじつまが合います。
- ただし宇宙が広がる速さは測り方で約8%食い違い、その理由はわかっていません。
01 わかっていること宇宙の年齢はどれくらい正確にわかっている?
宇宙の年齢は137.87億年で、誤差は前後0.2億年です。プランク衛星の観測を、いまの標準的な宇宙のモデルに当てはめて求めた値で、誤差は約0.15%しかありません。
年齢は、ものさしで直接測ったものではありません。宇宙が広がる速さと、中身(物質など)の割合がわかれば、広がりを逆回しにして始まりまでの時間を計算できます。
録画した映像を巻き戻すのに似ています。どれだけの速さで、どう減速・加速してきたかがわかれば、全部が1か所に詰まっていた時点までの時間がわかります。
02 どうやってわかったのか何を測って宇宙の年齢を出したの?
主な方法は、宇宙全体から届く電波(宇宙マイクロ波背景放射)の細かいむらの観測です。そこに、最も古い星の年齢という独立した確かめが加わっています。
わかっているプランク・コラボレーション(2020年、Astronomy & Astrophysics)[1]
宇宙の年齢は137.87億年(誤差0.20億年)。宇宙が広がる速さ(ハッブル定数)は秒速67.4キロ毎メガパーセクと求められました。
どうやって: 宇宙が約38万歳のときに出た光の、わずかな温度のむらを全天で測りました [4]。むらの大きさの分布から宇宙の中身の割合を決め、膨張を逆算しています。値は標準的なモデル(ΛCDMモデル)を前提にしています。
わかっているバルサンら(2020年、Journal of Cosmology and Astroparticle Physics)[2]
最も古い球状星団(星がボール状に密集した集団)の平均年齢は約133億年。星ができるまでの時間を足すと、宇宙の年齢は約135億年(誤差は前後5億年ほど)で、プランクの値と矛盾しません。
どうやって: 星団の星の明るさと色の並び方を、星の一生の計算と比べて年齢を出しました。背景放射とはまったく別の方法です。
わかっていないリースら・SH0ESチーム(2022年、The Astrophysical Journal Letters)[3]
近くの銀河から測った広がる速さは秒速73.04キロ毎メガパーセク(誤差1.04)。プランクの予測とは、偶然では起きにくいとされる5σ(誤差の5倍)の差があります。
どうやって: 明るさが決まっている変光星(セファイド)と超新星を使い、42個の超新星がある銀河までの距離と遠ざかる速さを測りました。
03 数字と例えでいうと138億年とはどれくらいの長さ?
宇宙の歴史を1年に縮めると、1日は約3780万年にあたります。背景放射の光が出たのは元日の最初の約15分で、最古の星の集まりも1月のうちにできていたことになります。
| 項目 | 値 | 身近な例えでいうと |
|---|---|---|
| 宇宙の年齢 | 137.87億年 ± 0.20億年 [1] | 1年に縮めると、1日が約3780万年 |
| 年齢の誤差 | 約0.15% [1] | 100歳の人の年齢を、前後2か月弱の精度で当てるくらい |
| 最古の球状星団 | 約133億年 [2] | 宇宙の誕生から5億年ほどあと。1年に縮めると1月中旬ごろ |
| 広がる速さ(プランク) | 67.4 km/s/Mpc [1] | 326万光年先の銀河が、時速約24万キロで遠ざかる |
| 広がる速さ(近くの銀河) | 73.04 km/s/Mpc [3] | プランクの値より約8%速い |
04 まだわかっていないこと宇宙の年齢でまだ謎なのは何?
最大の謎は、宇宙が広がる速さが測り方によって食い違う「ハッブル・テンション」です。測り方の見落としなのか、宇宙のモデルに足りないものがあるのか、決着していません。
- 広がる速さの食い違い(ハッブル・テンション)背景放射からは67.4、近くの銀河からは73.04と出ます [1][3]。ほかの条件が同じなら、広がる速さが速いほど、計算される宇宙の年齢は若くなります。
- モデルが変われば年齢も動く137.87億年という値は、標準的なモデルが正しいという前提で出したものです [1]。食い違いの原因が新しい物理なら、年齢の値も少し変わる可能性があります。
- 星の年齢の誤差球状星団の年齢には、星の一生の計算に由来する前後5億年ほどの誤差が残っています [2]。
05関連する記事
06よくある質問
宇宙の年齢は誰も見ていないのに、なぜわかるの?
宇宙が広がる速さと、宇宙の中身の割合がわかれば、広がりを逆にたどって始まりまでの時間を計算できます。プランク衛星は宇宙マイクロ波背景放射の模様からこれらを決め、137.87億年と求めました。
宇宙より古い星はあるの?
今のところ、宇宙の年齢と矛盾するほど古い星は確かめられていません。最も古い球状星団(星が密集した集団)の年齢は約133億年と見積もられ、宇宙の年齢138億年より若く、つじつまが合っています。
ハッブル・テンションとは何?
宇宙が広がる速さ(ハッブル定数)が、測り方によって食い違う問題です。背景放射からは秒速67.4キロ毎メガパーセク、近くの銀河の観測からは73.04と出て、差は誤差では説明しにくい大きさです。原因はわかっていません。
出典
- Planck Collaboration (2020). Planck 2018 results. VI. Cosmological parameters. Astronomy & Astrophysics 641, A6. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201833910
- Valcin, D., Bernal, J. L., Jimenez, R., Verde, L. & Wandelt, B. D. (2020). Inferring the age of the universe with globular clusters. Journal of Cosmology and Astroparticle Physics 2020(12), 002. https://doi.org/10.1088/1475-7516/2020/12/002
- Riess, A. G. et al. (2022). A Comprehensive Measurement of the Local Value of the Hubble Constant with 1 km/s/Mpc Uncertainty from the Hubble Space Telescope and the SH0ES Team. The Astrophysical Journal Letters 934, L7. https://doi.org/10.3847/2041-8213/ac5c5b
- ESA (2013). Planck reveals an almost perfect Universe. https://www.esa.int/Science_Exploration/Space_Science/Planck/Planck_reveals_an_almost_perfect_Universe


