太陽系

恐竜を絶滅させた小惑星の証拠と、地球に小惑星がぶつかる確率

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DARTの衝突後、小惑星ディモルフォスから飛び散った岩(ハッブル宇宙望遠鏡の画像)
Photo: NASA, ESA, D. Jewitt (UCLA) / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

約6600万年前、直径10kmほどの小惑星が今のメキシコに落ち、恐竜を含む多くの生き物が姿を消しました。この説は、世界中の地層と巨大なクレーターという証拠で支えられています。では、今の地球に小惑星がぶつかる心配はあるのでしょうか。NASAの公開データで確かめると、今わかっている大きな小惑星で、この先100年に危険なものは見つかっていません。

3行でわかる

  1. 恐竜が絶滅したころの地層には、宇宙から来たとみられるイリジウムが世界中で多く含まれ、メキシコには直径約180kmのクレーターが埋まっている。
  2. NASAの監視システムSentryの2026年10月20日のデータでは、直径140m以上で今後100年ほどに衝突の可能性が計算されている天体は21個。最も高いものでも約43万分の1。
  3. 2022年、NASAの探査機DARTが小惑星にぶつかり、軌道を変えられることを確かめた。

01 わかっていること恐竜は本当に小惑星で絶滅したの?

恐竜を含む大量絶滅のきっかけは、メキシコのチクシュルーブに落ちた小惑星だと考えられています。2010年、41人の研究者がそれまでの証拠をまとめ、そう結論しました。

1980年、アルバレス親子らは、恐竜がいなくなった時代の地層に、地球の表面には少ない金属イリジウムが多いことに気づきました[1]。小惑星がぶつかって舞い上げたちりが空をおおい、太陽の光をさえぎったという説を出しました。

その後、ぶつかった場所が見つかりました。メキシコのユカタン半島の地下に埋まった、直径約180kmのクレーターです[2]。2010年のSchulteらのまとめでは、このクレーターから飛び散った物の層が、絶滅が始まった時期と同じ地層に世界中で見つかっています[3]。

ただし、同じころインドでは大きな火山活動も続いていました[3]。生き物がすでに弱っていたところに衝突が決定打になった、という見方もあります[4]。

02 どうやってわかったのか小惑星の衝突はどうやって確かめたの?

地層の金属、埋まったクレーター、年代の測定という3つの証拠が、同じ時期の同じ出来事を指しました。2022年には、小惑星の軌道を人の手で変える実験も成功しています。

わかっているAlvarezら(1980年、Science)[1]

イタリア・デンマーク・ニュージーランドの地層で、恐竜が絶滅した境目だけイリジウムがふだんの約30倍・160倍・20倍に増えていました。ぶつかった小惑星の直径は、4つの方法で約10km(6〜14km)と見積もられました。

どうやって: 海の底でできた石灰岩の成分を細かく測りました。当時は、この境目は約6500万年前とされていました。

わかっているHildebrandら(1991年、Geology)[2]

ユカタン半島の地下に埋まった直径約180kmの円い構造が、衝突でできたクレーターだと提案しました。中の岩には、強い衝撃を受けた跡がありました。

どうやって: 磁気と重力のわずかな違いの分布、石油を探すために掘った穴の岩を調べました。

わかっているRenneら(2013年、Science)[4]

衝突と大量絶滅が起きた時期は、3万2000年以内の差で一致しました。地層の年代としては、ほぼ同時と言える近さです。

どうやって: 岩にふくまれるアルゴンの種類の割合を時計にして、年代を細かく測りました。

わかっているDalyら・Thomasら(2023年、Nature)[5][6]

2022年9月26日、NASAの探査機DARTが小惑星ディモルフォスにぶつかりました。ディモルフォスが親の小惑星を回る時間は約33分短くなりました。

どうやって: 地上の望遠鏡で明るさの変化とレーダーを測り、2つの方法で同じ値を出しました。DARTの論文は、知られている小惑星で今後少なくとも100年、地球の脅威になるものはないとも書いています。

03 数字と例えでいうと地球に小惑星がぶつかる確率はどれくらい?

NASAのSentryの2026年10月20日のデータでは、直径140m以上で今後100年ほどに衝突の可能性が計算されている天体は21個です。最も高いものでも約43万分の1で、すべて危険度は0です。

次の表は、NASAジェット推進研究所の衝突監視システム「Sentry」が公開しているデータを、この記事を書いた2026年10月20日に読み出して数えたものです[8]。Sentryは、見つかっている小惑星が今後約100年に地球にぶつかる可能性を、自動で計算し続けています。

Sentryのデータ(2026年10月20日)値読み方
衝突の可能性がわずかでも計算されている天体2222個約95%は推定直径50m未満の小さな天体
そのうち直径140m以上で、今後100年ほどに可能性があるもの21個直径は明るさからの推定
その中で確率が最も高い天体(2024 JW16、推定約220m)約43万分の1確率は0.0002%ほど
トリノスケール(危険度0〜10)の最大値00は「衝突の可能性はゼロか、ゼロとみなせるほど低い」[9]

新しい観測が加わると、軌道が正確になって候補から外れる天体がほとんどです[8]。この数字は日々変わるので、最新の値はSentryのページで確かめられます。

項目値身近な例えでいうと
恐竜を絶滅させた小惑星直径 約10km[1]エベレスト(約8.8km)より大きい
チクシュルーブ・クレーター直径 約180km[2]山手線1周(約34.5km)の5倍以上の長さ
見つかっている地球に近い小惑星3万9123個(2025年12月3日)[7]直径1km以上は873個で、残りは約50個と推定。9割以上が見つかっている(計算)
直径140m以上の地球に近い小惑星1万1343個が発見済み、約1万4000個が未発見と推定[7]見つかっているのは半分弱(計算)
DARTがぶつかった小惑星ディモルフォス直径 約160m、1周の時間が11時間55分から約33分短縮[6][10]東京タワー(333m)の半分ほどの天体の軌道を、人の手で約5%変えた

04 まだわかっていないこと小惑星の衝突で、まだわからないことは?

まだ見つかっていない中くらいの小惑星が多く残っていることと、恐竜の絶滅で衝突と火山がそれぞれどれだけ効いたかは、まだわかっていません。

天体の衝突は、地球の歴史を何度も変えてきました。月の誕生も大きな衝突だったと考えられています。小惑星から持ち帰った石の話はリュウグウのサンプルで書いています。

05関連する記事

06よくある質問

恐竜を絶滅させた小惑星の証拠は?

証拠は主に3つです。恐竜が消えた時代の地層に宇宙から来たとみられるイリジウムが世界中で多く含まれていること(Alvarezら1980年)、メキシコのユカタン半島に直径約180kmのクレーターが埋まっていること(Hildebrandら1991年)、衝突と絶滅の時期が3万2000年以内の差で一致すること(Renneら2013年)です。

小惑星が地球にぶつかる確率は?

NASAのSentryの2026年10月20日のデータでは、直径140m以上で今後100年ほどに衝突の可能性が計算されている天体は21個で、最も高いものでも約43万分の1です。危険度を表すトリノスケールはすべて0でした。DARTの論文も、知られている小惑星で今後少なくとも100年、地球の脅威になるものはないと書いています。

NASAのDART実験は何をしたの?

2022年9月26日、探査機DARTを小惑星ディモルフォス(直径約160m)にぶつけ、軌道を変えられるかを試しました。親の小惑星を回る時間は11時間55分から約33分短くなり、ぶつけて小惑星をそらす方法が使えることが確かめられました。

まだ見つかっていない小惑星はある?

あります。NASAによると、2025年12月3日の時点で直径140m以上の地球に近い小惑星は1万1343個が見つかっていますが、約1万4000個がまだ見つかっていないと推定されています。直径1km以上は9割以上が見つかっています。

出典

  1. Alvarez, L. W., Alvarez, W., Asaro, F., Michel, H. V. (1980). Extraterrestrial Cause for the Cretaceous-Tertiary Extinction. Science 208, 1095–1108. https://doi.org/10.1126/science.208.4448.1095
  2. Hildebrand, A. R., et al. (1991). Chicxulub Crater: A possible Cretaceous/Tertiary boundary impact crater on the Yucatán Peninsula, Mexico. Geology 19, 867–871. https://doi.org/10.1130/0091-7613(1991)019<0867:CCAPCT>2.3.CO;2
  3. Schulte, P., et al. (2010). The Chicxulub Asteroid Impact and Mass Extinction at the Cretaceous-Paleogene Boundary. Science 327, 1214–1218. https://doi.org/10.1126/science.1177265
  4. Renne, P. R., et al. (2013). Time Scales of Critical Events Around the Cretaceous-Paleogene Boundary. Science 339, 684–687. https://doi.org/10.1126/science.1230492
  5. Daly, R. T., et al. (2023). Successful kinetic impact into an asteroid for planetary defence. Nature 616, 443–447. https://doi.org/10.1038/s41586-023-05810-5
  6. Thomas, C. A., et al. (2023). Orbital period change of Dimorphos due to the DART kinetic impact. Nature 616, 448–451. https://doi.org/10.1038/s41586-023-05805-2
  7. NASA Science. Near-Earth Asteroids(Planetary Defense Coordination Office、2025年12月3日のデータ). https://science.nasa.gov/solar-system/asteroids-comets-meteors/near-earth-asteroids
  8. NASA JPL CNEOS. Sentry: Earth Impact Monitoring(2026年10月20日にSentry APIで取得). https://cneos.jpl.nasa.gov/sentry/
  9. NASA JPL CNEOS. The Torino Impact Hazard Scale. https://cneos.jpl.nasa.gov/sentry/torino_scale.html
  10. Johns Hopkins APL (2022). NASA Confirms DART Mission Impact Changed Asteroid's Motion in Space. https://www.jhuapl.edu/news/news-releases/221011-dart-mission-impact-changed-asteroids-motion-in-space