系外惑星と生命

地球で最初の生命はいつ現れたのか、最古の証拠

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浅い海に並ぶストロマトライト(現在のもの)
Photo: Bryn Pinzgauer / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

地球の生命は、いつから地球にいたのでしょうか。手がかりは、古い岩に残った形や炭素です。約35億年前の岩に生き物の跡があることは多くの研究者が認めていますが、それより古い「最古の証拠」は、ほとんどがまだ議論の途中です。この記事では、主張ごとに確かさを分けて並べます。

3行でわかる

  1. 約35億年前の岩に残る層の重なり(ストロマトライト)は、微生物がつくったと考える研究者が多い。
  2. 37億〜42億年前ごろとする「最古の生命の跡」はいくつも報告されているが、生き物ではなく岩の変化でできたという反論があるものも多く、決着していない。
  3. いちばん古い主張は、古ければ約42億8000万年前とされるカナダの微生物らしい管(年代の幅が大きい)と、約41億年前の鉱物の粒に入っていた炭素。どちらも1つのチームの報告で、決着していない。

01 わかっていること最初の生命は、いつごろ現れたの?

遅くとも約35億年前には生命がいたと考える研究者が多く、これがいちばん支持の厚い答えです。もっと古いという証拠もありますが、確かさは主張ごとに違います。

太陽系が生まれたのは約45億6700万年前です(太陽系はどうやってできたのか)。地球ができて間もなく、大きな天体がぶつかって月ができたと考えられています(月はどうやってできたのか)。

最初の生命の跡は、主に2種類の証拠で探されます。1つは形で、微生物の化石や、微生物の膜が積み重なってできる層の模様(ストロマトライト)です。もう1つは炭素の重さです。生き物は軽い炭素を取り込みやすいので、生き物がつくった炭素は少しだけ軽くなります。

問題は、どちらも生き物なしでできる場合があることです。また、40億年より古い岩はほとんど残っていません[1]。残っていても、熱と圧力で作り変えられていることが多く、見分けるのが難しいのです。

02 どうやってわかったのか「最古の証拠」は、それぞれどれくらい確か?

約34億3000万年前のストロマトライトが比較的よく支持されています。37億年前の構造、古ければ42億8000万年前とされる管、41億年前の炭素などは、反論があるか、1つのチームの報告にとどまります。

わかっているWildeら(2001年、Nature)[1]

オーストラリアの岩から、44億400万年前(誤差800万年)の鉱物の粒(ジルコン)が見つかりました。地球でいちばん古い時代の鉱物の1つです。

どうやって: 粒の中の元素で年代を測りました。粒の成分から、著者らはこのころすでに大陸の地殻と海があったと考えています(年代は測定、海は解釈です)。生命の証拠ではありませんが、生き物が住める環境が早くからあった手がかりです。

有力な仮説Allwoodら(2006年、Nature)[2]

オーストラリアの約34億3000万年前の岩に、7種類の形のストロマトライトが、何キロにもわたって並んでいました。

どうやって: 広い範囲で形と、できた環境を調べました。形の種類や場所との関係が、のちの時代の生き物のつくる層と同じ傾向を示すとしています。著者ら自身も、古い構造が生き物由来かは議論が続いていると書いています。

わかっていないBrasierら(2002年、Nature)/Schopfら(2018年、PNAS)[3][4]

約34億6500万年前の岩にある糸のような形は、「最古の化石」として知られてきました。Brasierらはこれを、生き物ではなく熱水の中でできた炭素の形だと反論しました。

どうやって: Schopfらは2018年、11個の形それぞれの炭素の重さを測り、形の種類ごとに値がそろうことから、やはり生き物だと主張しました。両方の主張が並んでいて、決着していません。

わかっていないNutmanら(2016年、Nature)/Allwoodら(2018年、Nature)[5][6]

グリーンランドの約37億年前の岩で、高さ1〜4センチのストロマトライトが見つかったと報告されました。その後、別のチームが同じ構造を調べ、岩が後から変形してできたものと考えるほうが自然だと反論しました。

どうやって: 反論したチームは、構造の形を3次元で調べ、まわりの岩の向きや成分と比べました。どちらが正しいかは、まだ決まっていません。

わかっていないTashiroら(2017年、Nature)[7]

カナダ・ラブラドルの39億5000万年前より古い岩で、生き物がつくったと考えられる軽い炭素(グラファイト)が見つかりました。

どうやって: 炭素の重さを、同じ岩の炭酸塩の炭素と比べ、差が最大25‰(2.5%)と大きいことを根拠にしました。グラファイトができた温度が岩の温度と合うことから、後から混ざった炭素ではないとしています。1つのチームの報告です。

わかっていないDoddら(2017年、Nature)[8]

カナダ・ケベック州の岩で、海底の熱水のまわりにいる微生物によく似た、鉄の鉱物の細い管や糸が見つかりました。年代は少なくとも37億7000万年前、古ければ42億8000万年前とされます。

どうやって: 顕微鏡で形を調べ、まわりの炭素が軽いことも確かめました。年代の幅が大きく、1つのチームの報告です。

わかっていないBellら(2015年、PNAS)[9]

41億年前(誤差1000万年)の鉱物の粒の中に、生き物がつくった炭素と同じくらい軽い炭素が閉じ込められていました。

どうやって: 1万個を超える粒の中から、炭素の入った1粒を見つけて測りました。著者らは「生き物由来の可能性がある」としていて、生き物だと確かめたわけではありません。

03 数字と例えでいうと主張を古い順に並べると?

太陽系の歴史を1年にすると、比較的よく支持された生命の跡は3月下旬〜4月初め。それより前の1月〜3月の主張は、どれも議論中か1チームの報告です。

太陽系が生まれた45億6730万年前を1月1日0時、今を12月31日24時として比例で計算しました(100万年がおよそ1時間55分)。

主張(場所)年代1年にすると確かさ
最古の鉱物の粒(オーストラリア)[1]44億400万年前1月14日ごろ年代はわかっている。生命の証拠ではない
熱水のまわりの微生物らしい管(カナダ)[8]37億7000万〜42億8000万年前1月23日〜3月5日ごろわかっていない(1チーム)
鉱物の粒の中の軽い炭素(オーストラリア)[9]41億年前2月7日ごろわかっていない(可能性の段階)
岩の中の軽い炭素(カナダ)[7]39億5000万年前より古い2月19日ごろわかっていない(1チーム)
ストロマトライト(グリーンランド)[5][6]約37億年前3月11日ごろわかっていない(反論あり)
糸のような化石(オーストラリア)[3][4]約34億6500万年前3月30日ごろわかっていない(反論あり)
ストロマトライトの並び(オーストラリア)[2]約34億3000万年前4月1日ごろ有力な仮説(比較的よく支持)

表の「1年にすると」は、すべての生き物の共通の祖先が約42億年前(1月30日ごろ)にいたという遺伝子からの推定[10]とも、時期が重なります。ただし、こちらも推定で、幅があります。生命の始まり方そのものは、生命はどうやって生まれたのかにまとめました。

炭素の「‰(パーミル)」は1000分の1のことです。−24‰なら、基準の物質と比べて重い炭素の割合が2.4%少ない、という意味です[9]。

04 まだわかっていないこと最古の生命について、まだ謎なのは?

最初の生命がいつ現れたのかは、まだ決まっていません。古い岩がほとんど残っておらず、形や炭素だけでは生き物と生き物でないものを見分けきれないためです。

05関連する記事

06よくある質問

地球で最初の生命はいつ現れたの?

まだ決まっていません。約35億年前の岩に残るストロマトライトは、微生物がつくったと考える研究者が多く、いちばん支持の厚い答えです。37億〜42億年前ごろとする報告もありますが、反論があるか、1つのチームの報告にとどまります。

ストロマトライトとは?

微生物の膜が砂や泥をとらえながら積み重なってできる、層の模様のある岩です。似た模様は生き物なしでもできることがあり、古いものほど見分けが難しくなります。

最古の化石は何?

「最古の化石」として知られてきたのは、オーストラリアの約34億6500万年前の岩にある糸のような形です。しかし2002年に、生き物ではなく熱水の中でできた炭素の形だという反論が出ました。2018年には生き物だとする再分析もあり、決着していません。

炭素の重さで、なぜ生き物の跡がわかるの?

生き物は、重さが少し違う炭素のうち、軽いものを取り込みやすい性質があります。そのため、生き物がつくった炭素は少しだけ軽くなります。ただし、生き物なしの化学反応でも軽くなる場合があり、これだけでは決め手になりません。

出典

  1. Wilde, S. A., Valley, J. W., Peck, W. H., Graham, C. M. (2001). Evidence from detrital zircons for the existence of continental crust and oceans on the Earth 4.4 Gyr ago. Nature 409, 175–178. https://doi.org/10.1038/35051550
  2. Allwood, A. C., Walter, M. R., Kamber, B. S., et al. (2006). Stromatolite reef from the Early Archaean era of Australia. Nature 441, 714–718. https://doi.org/10.1038/nature04764
  3. Brasier, M. D., Green, O. R., Jephcoat, A. P., et al. (2002). Questioning the evidence for Earth's oldest fossils. Nature 416, 76–81. https://doi.org/10.1038/416076a
  4. Schopf, J. W., Kitajima, K., Spicuzza, M. J., et al. (2018). SIMS analyses of the oldest known assemblage of microfossils document their taxon-correlated carbon isotope compositions. PNAS 115, 53–58. https://doi.org/10.1073/pnas.1718063115
  5. Nutman, A. P., Bennett, V. C., Friend, C. R. L., et al. (2016). Rapid emergence of life shown by discovery of 3,700-million-year-old microbial structures. Nature 537, 535–538. https://doi.org/10.1038/nature19355
  6. Allwood, A. C., Rosing, M. T., Flannery, D. T., et al. (2018). Reassessing evidence of life in 3,700-million-year-old rocks of Greenland. Nature 563, 241–244. https://doi.org/10.1038/s41586-018-0610-4
  7. Tashiro, T., Ishida, A., Hori, M., et al. (2017). Early trace of life from 3.95 Ga sedimentary rocks in Labrador, Canada. Nature 549, 516–518. https://doi.org/10.1038/nature24019
  8. Dodd, M. S., Papineau, D., Grenne, T., et al. (2017). Evidence for early life in Earth’s oldest hydrothermal vent precipitates. Nature 543, 60–64. https://doi.org/10.1038/nature21377
  9. Bell, E. A., Boehnke, P., Harrison, T. M., Mao, W. L. (2015). Potentially biogenic carbon preserved in a 4.1 billion-year-old zircon. PNAS 112, 14518–14521. https://doi.org/10.1073/pnas.1517557112
  10. Moody, E. R. R., Álvarez-Carretero, S., Mahendrarajah, T. A., et al. (2024). The nature of the last universal common ancestor and its impact on the early Earth system. Nature Ecology & Evolution 8, 1654–1666. https://doi.org/10.1038/s41559-024-02461-1