太陽系はどうやってできたのか、46億年前の隕石が教える年齢

太陽系でいちばん古い固い粒は、45億6730万年前にできました。誤差はわずか16万年です。この数字は、地球に落ちてきた隕石の中の小さな粒を測ってわかりました。よく聞く「46億年」は、この値を丸めたものです。
3行でわかる
- 太陽系は、ガスとちりの雲が自分の重さで縮み、回る円盤になって生まれた。中心に太陽が、まわりの円盤から惑星ができた。
- 隕石の中でいちばん古い粒の年齢は45億6730万年前(誤差16万年)。これが太陽系の年齢とされている。
- 木星は最初の100万年ほどで芯が育った、いちばん古い惑星らしい。大きな惑星がその後どう動いたかは、まだ決着していない。
01 わかっていること太陽系はどうやってできたの?
太陽系は、宇宙に漂うガスとちりの雲が自分の重さで縮み、回る円盤になってできました。中心に集まった物質が太陽になり、まわりの円盤のちりが集まって惑星になりました。
NASAによると、太陽系は約46億年前、ガスとちりの濃い雲から生まれました[8]。雲は縮むにつれて平たく回る円盤になりました。これを原始惑星系円盤(惑星が生まれる円盤)と呼びます。
円盤の中心に集まった物質が太陽になりました。太陽は、使える物質の99%以上を集めたとされます[8]。残ったちりはぶつかってくっつき、大きな塊に育って、惑星や準惑星、大きな衛星になりました[8]。星そのものが生まれる仕組みは星が生まれるまでの記事で書いています。
太陽系の年齢は、隕石の中にある白っぽい粒(CAI)の年齢で決められています[1]。CAIはカルシウムとアルミニウムを多く含む粒で、円盤の中で最初にできた固体の1つです。その年齢は45億6730万年前(誤差16万年)でした。
02 どうやってわかったのか太陽系の年齢や生まれ方は、どうやって調べたの?
年齢は、隕石の粒に含まれるウランと鉛の割合から測りました。生まれ方は、いま惑星が生まれつつある若い星の円盤の観測や、隕石と遠くの小さな天体の調査から、少しずつわかってきました。
わかっているConnellyら(2012年、Science)[1]
CAIができたのは45億6730万年前(誤差16万年)でした。同じ隕石の中の丸い粒(コンドルール)は、45億6732万年前から45億6471万年前まで、約300万年かけてできていました。
どうやって: ウランは決まった速さで鉛に変わります。この性質を使い、太陽系ができたころからほとんど変わっていない隕石の粒を1つずつ取り出して、ウランと鉛の割合から年齢を計算しました。
有力な仮説ALMAの共同研究(2015年、The Astrophysical Journal Letters)[3][9]
約450光年先の若い星、おうし座HL星のまわりの円盤に、何重もの明るい環とすき間が写りました。この星は生まれて100万年もたっていません。すき間は、生まれつつある惑星が作ったものだと考えられています。
どうやって: チリのアルマ望遠鏡で、円盤のちりが出す電波を観測しました。地球と太陽の距離の3.5倍ほどの細かさまで見分けています。すき間の正体は観測からの解釈で、惑星そのものを写したわけではありません。
有力な仮説Kruijerら(2017年、米国科学アカデミー紀要 PNAS)[2]
鉄隕石は、混ざり合わない2つのグループに分かれていました。2つは太陽系の誕生から約100万年後から300〜400万年後まで、別々の場所にありました。木星が円盤にすき間を開けて仕切ったと考えると説明でき、木星の芯は100万年以内に地球の約20倍の重さに育ったと推定されました。
どうやって: 鉄隕石に含まれるモリブデンとタングステンの種類(同位体)の割合を測りました。木星が仕切りだったという部分は、いちばんありそうな説明としての推定です。
有力な仮説McKinnonら(2020年、Science)[4]
海王星より遠くを回る小さな天体アロコスは、2つの平たい塊がゆっくりくっついた形でした。ちりの雲が自分の重さで静かに縮み、惑星のもとになる天体(微惑星)ができたという考えに合う結果です。
どうやって: 探査機ニュー・ホライズンズが近くを通って撮った画像から、形と2つの塊の並び方を調べました。ぶつかり合いの少ない場所にあったので、できたときの形がほぼ残っていると考えられています。
有力な仮説Tsiganisら(2005年、Nature)、Walshら(2011年、Nature)[5][6]
木星や土星は、できたあとに太陽からの距離を変えたという計算があります。Tsiganisらは、大きな惑星の今の軌道の形を、惑星の移動で説明しました。Walshらは、木星がいったん太陽から1.5天文単位まで近づいて戻ったと考えると、火星が小さい理由を説明できると示しました。
どうやって: どちらもコンピューターで惑星の動きを計算したもので、観測で直接確かめたものではありません。1天文単位は地球と太陽の距離です。
地球の衛星の月も、この時代にできました。アポロが持ち帰った石の研究では、月は太陽系の誕生から約6000万年以内にできていました[7]。くわしくは月の生まれ方の記事で書いています。
03 数字と例えでいうと太陽系の歴史を1年にすると、どうなるの?
太陽系の45億6730万年を1年に縮めると、木星の芯は元日の午前2時ごろまでに育ち、月は1月5日ごろまでにできました。ほとんどの大きな出来事は、最初の数日で終わっています。
| 出来事 | いつ | 1年に縮めると |
|---|---|---|
| 最初の固い粒(CAI)ができる | 45億6730万年前[1] | 1月1日 0時 |
| 木星の芯が地球の約20倍の重さに育つ | 誕生から100万年以内[2] | 1月1日 午前2時ごろまで |
| 丸い粒(コンドルール)ができ続ける | 誕生から約300万年[1] | 1月1日 朝6時ごろまで |
| 木星が地球の約50倍の重さまで育つ | 誕生から少なくとも300〜400万年後まで[2] | 1月1日 朝6〜8時ごろまで |
| 月ができる | 誕生から約6000万年以内[7] | 1月5日ごろまで |
| 今 | — | 12月31日 24時 |
1年に縮めた時刻は、45億6730万年を365日として比例で計算しました(100万年がおよそ1時間55分)。年齢の誤差16万年は、45億6730万年のわずか0.0035%です。100メートルの長さを3.5ミリの誤差で測るのと同じ細かさです。
04 まだわかっていないこと太陽系の生まれ方で、まだ謎なのは何?
雲が縮み始めたきっかけ、ちりが惑星のもとに育つ途中の仕組み、大きな惑星が生まれたあとにどう動いたかは、まだ決着していません。
- 雲が縮み始めたきっかけNASAは、近くの星の爆発(超新星爆発)の衝撃波がきっかけだった「かもしれない」としています[8]。決め手になる証拠は、まだありません。
- ちりから微惑星へ、どう育ったのかアロコスの形は、ちりの雲が静かに縮む説に合います[4]。ただ、これは遠くの1つの天体からの推定で、太陽に近い場所でも同じだったかはわかっていません。
- 大きな惑星はどう動いたのか木星や土星の移動については、計算による説がいくつもあります[5][6]。実際にどの動きが起きたのかは、まだ決着していません。
- 木星はいつ、どうやって育ったのか木星が最古の惑星だという結果は、隕石の成分から間接的に推定したものです[2]。木星そのものを調べて確かめたわけではありません。
05関連する記事
太陽系の遠い場所の話は冥王星が惑星でなくなった理由や土星の環の年齢でも書いています。
06よくある質問
太陽系の年齢は何歳?
隕石の中でいちばん古い粒(CAI)の年齢から、約45億6700万年とされます。Connellyら(2012年)は45億6730万年前(誤差16万年)と測りました。よく聞く「46億年」は、この値を丸めた数字です。
太陽系はどうやってできたの?
ガスとちりの雲が自分の重さで縮み、回る円盤になりました。中心に集まった物質が太陽になり、円盤に残ったちりがぶつかって大きくなり、惑星になったと考えられています。
いちばん古い惑星はどれ?
鉄隕石の研究では、木星の芯は太陽系の誕生から100万年以内に地球の約20倍の重さに育ったと推定され、木星がいちばん古い惑星だと考えられています。ただし、隕石から間接的に推定した結果です。
隕石で太陽系の年齢がわかるのはなぜ?
隕石には、太陽系ができたころからほとんど変わっていないものがあります。中のウランは決まった速さで鉛に変わるので、その割合から粒ができた時期を計算できます。
出典
- Connelly, J. N., Bizzarro, M., Krot, A. N., et al. (2012). The Absolute Chronology and Thermal Processing of Solids in the Solar Protoplanetary Disk. Science 338, 651–655. https://doi.org/10.1126/science.1226919
- Kruijer, T. S., Burkhardt, C., Budde, G., Kleine, T. (2017). Age of Jupiter inferred from the distinct genetics and formation times of meteorites. Proceedings of the National Academy of Sciences 114, 6712–6716. https://doi.org/10.1073/pnas.1704461114
- ALMA Partnership, Brogan, C. L., Pérez, L. M., et al. (2015). The 2014 ALMA Long Baseline Campaign: First Results from High Angular Resolution Observations toward the HL Tau Region. The Astrophysical Journal Letters 808, L3. https://doi.org/10.1088/2041-8205/808/1/L3
- McKinnon, W. B., Richardson, D. C., Marohnic, J. C., et al. (2020). The solar nebula origin of (486958) Arrokoth, a primordial contact binary in the Kuiper Belt. Science 367, eaay6620. https://doi.org/10.1126/science.aay6620
- Tsiganis, K., Gomes, R., Morbidelli, A., Levison, H. F. (2005). Origin of the orbital architecture of the giant planets of the Solar System. Nature 435, 459–461. https://doi.org/10.1038/nature03539
- Walsh, K. J., Morbidelli, A., Raymond, S. N., O'Brien, D. P., Mandell, A. M. (2011). A low mass for Mars from Jupiter's early gas-driven migration. Nature 475, 206–209. https://doi.org/10.1038/nature10201
- Barboni, M., Boehnke, P., Keller, B., et al. (2017). Early formation of the Moon 4.51 billion years ago. Science Advances 3, e1602365. https://doi.org/10.1126/sciadv.1602365
- NASA Science. Solar System Facts. https://science.nasa.gov/solar-system/solar-system-facts/
- ESO(ヨーロッパ南天天文台)(2014). Revolutionary ALMA Image Reveals Planetary Genesis. https://www.eso.org/public/news/eso1436/


