ボイジャーは今どこにいるのか、太陽系の外へ出た探査機

1977年に打ち上げられた2機の探査機ボイジャーは、49年たった今も地球と交信しています。ボイジャー1号に電波で命令を送ると、届くまでにほぼ丸1日かかります。2機は今どこにいて、「太陽系の外に出た」とはどういう意味なのでしょうか。
3行でわかる
- 2026年10月20日時点で、ボイジャー1号は地球から約258億km、2号は約216億km。電波が届くのに、1号は約24時間、2号は約20時間かかる(NASA JPLの軌道データから計算)。
- 1号は2012年、2号は2018年に、太陽から吹き出すガスが届く泡(太陽圏)の外の「星間空間」に出た。外のガスが濃くなったことなどで確かめられている。
- ただし、太陽系のいちばん外側とされるオールトの雲には、まだ届いていない。太陽圏の形や、あと何年交信できるかもわかっていない。
01 わかっていることボイジャー1号と2号は、今どこにいるの?
2026年10月20日時点で、ボイジャー1号は地球から約258億km、2号は約216億kmにいます。1号は人が作ったものの中で、地球からいちばん遠くにあります。
ボイジャー2号は1977年8月20日、1号は同じ年の9月5日に打ち上げられました[6][7]。2号は木星・土星に加えて、1986年に天王星、1989年に海王星のそばを通りました[7]。天王星と海王星に近づいた探査機は、今もボイジャー2号だけです(天王星と海王星の記事)。
1号は1998年2月17日に探査機パイオニア10号を追い越し、人が作ったものの中でいちばん遠い物体になりました[6]。距離は毎日のびていて、NASAは1号が2026年11月18日に地球から約259億kmに達すると発表しています[5]。これは光が24時間で進む距離(1光日)です。
ここでの距離は、NASAジェット推進研究所(JPL)が公開している軌道計算システムHorizonsで、2026年10月20日0時(世界時)の値を取り出して計算しました[4]。
02 どうやってわかったのか「太陽系の外に出た」はどうやって確かめたの?
太陽からはガスの風(太陽風)が吹き出し、まわりに大きな泡を作っています。ボイジャーは、まわりのガスが急に濃くなり、太陽系の外から来る粒子が増えたことで、泡の外に出たと確かめました。
太陽風が作る泡を太陽圏、その境目をヘリオポーズと呼びます。境目の外は、星と星の間のガスが広がる星間空間です。ボイジャーは、この境目をまたいだようすを、その場で測りました。
わかっているGurnettら(2013年、Science)[1]
ボイジャー1号のまわりの電子の濃さは、1立方センチあたり約0.08個でした。太陽圏の外側の部分で考えられていた約0.002個の約40倍で、星間空間で予想される値に近いものでした。
どうやって: 2013年4月9日から、1号のプラズマ波の観測装置が約2.6キロヘルツの振動をとらえました。この振動の高さから、電子の濃さを計算しています。NASAは、1号が太陽圏の外に出た日を2012年8月25日としています[6]。
わかっているStoneら(2019年、Nature Astronomy)[2]
ボイジャー2号は2018年11月5日、太陽から約119天文単位(約178億km)のところでヘリオポーズを越えました。1号より約6年あとです。
どうやって: 太陽から来る低いエネルギーの粒子が急に減り、同時に、銀河から来る宇宙線(高いエネルギーの粒子)が増えたことから判断しました。2号の5つの装置の結果が、同じ時期に別々の論文で発表されています。
わかっているNASA(2026年)[5][8]
電力を節約するため、観測装置は少しずつ止められています。2026年10月時点で動いているのは、1号が2つ(磁場とプラズマ波)、2号が3つ(宇宙線、磁場、プラズマ波)です。
どうやって: ボイジャーの電気は、プルトニウムが崩れるときの熱を電気に変える装置で作っています。出せる電気は毎年少しずつ減るため、1号の低エネルギー粒子の装置は2026年4月17日に止められました。
03 数字と例えでいうとどれくらい遠くて、どれくらい速いの?
ボイジャー1号は秒速約17kmで進んでいますが、それでも隣の恒星の距離まで行くには約7万5000年かかる計算です。新幹線の速さで今の位置まで行くと、約1万年かかります。
| 項目 | 値(2026年10月20日) | 身近な例えでいうと |
|---|---|---|
| 1号と地球の距離 | 約172.6天文単位(約258億km)[4] | 電波で約23.9時間。命令を送って返事が来るまで約2日(計算) |
| 2号と地球の距離 | 約144.3天文単位(約216億km)[4] | 電波で約20.0時間(計算) |
| 1号の太陽に対する速さ | 秒速約16.9km[4] | 時速約6万1000km。400kmを約24秒で進む(計算) |
| 2号の太陽に対する速さ | 秒速約15.0km[4] | 時速約5万4000km(計算) |
| 新幹線で1号まで行くと | 時速300kmとして | 約9800年(計算) |
| 1号が4.2光年進むのにかかる時間 | 1年に約3.56天文単位進む[4] | 約7万5000年。太陽にいちばん近い恒星までの距離と同じだけ進む時間(向きは考えない計算) |
| 1号がオールトの雲の内側のふちに着くまで | 約300年(NASAの見積もり)[9] | NASAはこの見積もりで、内側のふちを「近ければ約1000天文単位」としている[9]。NASAは別の資料で内側の端を2000〜5000天文単位ともしており[11]、今の速さのまま進むとすると約500〜1400年(計算)。通り抜けるには約3万年かかるかもしれないとNASAは見積もる |
1天文単位(太陽と地球の平均距離)は約1億4960万km、電波は秒速約30万kmとして計算しました。地球からの距離は、地球が太陽のまわりを回るので、1年の中で少し増えたり減ったりします。
04 まだわかっていないことボイジャーについて、まだわかっていないことは?
太陽圏がどんな形をしているのか、ボイジャーがあと何年交信できるのかは、まだわかっていません。太陽系の本当の果てとされるオールトの雲も、直接は見えていません。
- 太陽圏はどんな形なのか太陽圏は、彗星のように長い尾を引く形だと考えられてきました。一方、計算モデルから「小さくて丸い形」を示した研究もあり[3]、決着していません。境目を直接測ったのは、2機のボイジャーの2か所だけです。
- なぜ1号と2号で境目の場所や様子が違ったのか2号は1号より少し近い約119天文単位で境目を越え、1号で見えた境目の手前の前ぶれも見えませんでした[2]。なぜ違ったのかは、2か所の測定だけでは決めきれていません。
- オールトの雲はどこにあるのかオールトの雲は、彗星のふるさとと考えられている、太陽系のいちばん外側の領域です。NASAは、遠すぎて直接の画像はないとしています[10]。その意味でボイジャーは、星間空間には出ましたが、太陽系の果てにはまだ届いていません(彗星とオールトの雲の記事)。
- あと何年交信できるのか電力は毎年減っていて、NASAは装置を順に止めながら観測を続けています[8]。いつ最後の装置が止まるかは、2026年10月時点で決まった日付は示されていません。
05関連する記事
06よくある質問
ボイジャー1号は今どこにいる?
2026年10月20日時点で、地球から約258億km(約172.6天文単位)にいます。NASA JPLの軌道データから計算した値で、電波が届くのに約23.9時間かかります。NASAは、2026年11月18日に光で24時間かかる距離に達すると発表しています。
ボイジャーは太陽系の外に出たの?
太陽風が作る泡(太陽圏)の外には出ています。1号は2012年、2号は2018年に星間空間に入りました。ただし、太陽系のいちばん外側とされるオールトの雲には、まだ届いていません。NASAは、内側のふちを近ければ約1000天文単位として、1号が着くまで約300年と見積もっています。内側の端を2000〜5000天文単位とするNASAの別の説明で計算すると約500〜1400年で、内側の端の場所そのものに幅があります。
ボイジャーとはまだ通信できるの?
できます。2026年10月時点で、1号は2つ、2号は3つの観測装置が動いています。電気は毎年少しずつ減るため、NASAは装置を順に止めながら観測を続けています。
ボイジャーはどれくらいの速さで進んでいる?
太陽に対して、1号は秒速約16.9km、2号は秒速約15.0kmです(2026年10月20日、NASA JPLの軌道データ)。時速にすると、1号は約6万1000kmです。
出典
- Gurnett, D. A., Kurth, W. S., Burlaga, L. F., Ness, N. F. (2013). In Situ Observations of Interstellar Plasma with Voyager 1. Science 341, 1489–1492. https://doi.org/10.1126/science.1241681
- Stone, E. C., Cummings, A. C., Heikkila, B. C., Lal, N. (2019). Cosmic ray measurements from Voyager 2 as it crossed into interstellar space. Nature Astronomy 3, 1013–1018. https://doi.org/10.1038/s41550-019-0928-3
- Opher, M., Loeb, A., Drake, J., Toth, G. (2020). A small and round heliosphere suggested by magnetohydrodynamic modelling of pick-up ions. Nature Astronomy 4, 675–683. https://doi.org/10.1038/s41550-020-1036-0
- NASA JPL. Horizons System(Voyager 1: -31、Voyager 2: -32、2026年10月20日0時UTの距離と速さを取得). https://ssd.jpl.nasa.gov/horizons/
- NASA. Where Are Voyager 1 and Voyager 2 Now?(2026年10月15日更新、2026年10月20日確認). https://science.nasa.gov/mission/voyager/where-are-voyager-1-and-voyager-2-now/
- NASA. Voyager 1. https://science.nasa.gov/mission/voyager/voyager-1/
- NASA. Voyager 2. https://science.nasa.gov/mission/voyager/voyager-2/
- NASA JPL (2026). NASA Shuts Off Instrument on Voyager 1 to Keep Spacecraft Operating(2026年4月17日). https://www.jpl.nasa.gov/news/nasa-shuts-off-instrument-on-voyager-1-to-keep-spacecraft-operating/
- NASA. Voyager Goes Interstellar (Artist Concept), PIA17046. https://science.nasa.gov/photojournal/voyager-goes-interstellar-artist-concept/
- NASA. Oort Cloud. https://science.nasa.gov/solar-system/oort-cloud/
- NASA. Oort Cloud: Facts. https://science.nasa.gov/solar-system/oort-cloud/facts/


