星と銀河

宇宙でいちばん大きいものは何か、星・銀河・構造のランキング

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巨大な銀河団の重力でゆがんで見える遠くの銀河(ハッブル宇宙望遠鏡)
Photo: ESA/Hubble & NASA Acknowledgement: Judy Schmidt / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

宇宙でいちばん大きいものは、ひとつの天体ではなく、銀河がずらりと並んだ「壁」や「網」です。確かめられた中では、長さ約13億7000万光年の銀河の並びがあります。さらに大きい、100億光年に近い構造も報告されていますが、本当にあるのかは研究者の間で意見が分かれています。

3行でわかる

  1. はっきり一番と決まった星はないが、星の大きさの上限は半径が太陽の約1500倍と見積もられている。銀河のブラックホールが噴き出すジェットは約2300万光年に達する。
  2. 銀河の集まりでは、超銀河団ラニアケア(直径約5億2000万光年)やスローン・グレートウォール(長さ約13億7000万光年)が確かめられている。
  3. 30億〜100億光年の「構造」の報告は、偶然の偏りではないかという反論があり、存在そのものが決着していない。

01 わかっていること宇宙でいちばん大きいものは何?

確かめられた中で最大級なのは、たくさんの銀河が並んだ「グレートウォール(銀河の壁)」で、スローン・グレートウォールは長さ約13億7000万光年です。それより大きいものも報告されていますが、存在に議論があります。

宇宙の銀河は均一に散らばってはいません。銀河が集まった糸や壁と、ほとんど銀河のない空洞(ボイド)が、網の目のように並んでいます(宇宙の大規模構造とは何か)。この網の中の大きなかたまりが、「宇宙でいちばん大きいもの」の候補です。

ただし「大きさ」の測り方は、ものによって違います。星は半径、ジェットは端から端の長さ、銀河の壁はいちばん長い方向の長さです。どこまでをひとつと数えるかも研究者の決め方しだいなので、ランキングは目安として見るのがよいでしょう。

02 どうやってわかったのか巨大な構造はどうやって見つけたの?

銀河やクエーサー(明るく輝く遠くの銀河の中心)の位置をたくさん地図にして、集まっている場所を探しました。見つけた集まりが偶然の偏りでないかを、統計で確かめるところで意見が分かれています。

わかっているOeiら(2022年 Astronomy & Astrophysics、2024年 Nature)[2][3]

ひとつの銀河が作った最大の構造は、中心のブラックホールが噴き出したジェットです。2022年に見つかった「アルキオネウス」は長さ約5メガパーセク(約1600万光年)、2024年の「ポルフィリオン」は約7メガパーセク(約2300万光年)でした。

どうやって: ヨーロッパの電波望遠鏡LOFARの画像から、ぼんやり広がる電波を探しました。アルキオネウスの元の銀河は、星の重さが太陽の約2400億倍で、巨大ジェットを持つ銀河としてはむしろ平凡でした。

わかっているTullyら(2014年、Nature)[4]

天の川銀河を含む超銀河団「ラニアケア」は、直径約160メガパーセク(約5億2000万光年)で、太陽の約10の17乗倍の重さを含みます。

どうやって: 8161件の銀河の距離と動きのデータから、宇宙の膨張を差し引いた「流れ」を地図にしました。川の分水嶺のように、流れが内向きになる範囲をひとつの超銀河団と定めています。

わかっているGottら(2005年、The Astrophysical Journal)[5]

スローン・デジタル・スカイ・サーベイの銀河の地図で、長さ約13億7000万光年の銀河の並び「スローン・グレートウォール」が見つかりました。

どうやって: スローン・デジタル・スカイ・サーベイで測った銀河やクエーサーの位置と距離を、太陽系から宇宙の果てまで1枚に収まる特別な地図にして、並びを読み取りました。

有力な仮説Lopezら(2022年、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)[6]

約1ギガパーセク(約33億光年)の弧の形に並んだ銀河の集まり「ジャイアント・アーク」を報告しました。スローン・グレートウォールの約2倍の大きさです。

どうやって: 遠くのクエーサーの光が、途中の銀河のガスに吸収された跡を手がかりに、見えにくい銀河の位置を地図にしました。3つの統計の方法で確かめ、著者自身も「慎重に」と書いています。

わかっていないClowesら(2013年)と、反論したNadathur(2013年)(どちらもMonthly Notices of the Royal Astronomical Society)[7][8]

73個のクエーサーの集まり「Huge-LQG」は、いちばん長い方向で約1240メガパーセク(約40億光年)と報告されました。これに対し、同じ探し方をでたらめな点の並びに使っても、もっと大きな「構造」が見つかってしまうという反論が出ました。

どうやって: 反論の研究では、本物の分布をまねた、わざと偏りのない点の集まりを作り、同じ探し方を当てはめて比べました。「点が近くにあるだけ」と「本当にひとつの構造」を区別するのは難しいということです。

わかっていないHorváthら(2014年、Astronomy & Astrophysics)[9]

約100億光年先に、大きさ約2000〜3000メガパーセク(約65億〜100億光年)の偏りがあると報告されました。のちに「ヘラクレス座・かんむり座グレートウォール」と呼ばれます。

どうやって: 距離のわかったガンマ線バースト(巨大な星の最期などに起きる爆発)283個を距離ごとに分け、ある距離の31個のうち14個が空の約8分の1に集まっていることを見つけました。爆発の数が少ないので、確かめるにはもっと多くの観測が必要です。

03 数字と例えでいうと星から構造まで、大きさを並べると?

星の大きさの上限と見積もられる半径でも約7天文単位で、光でも端から端まで約2時間かかります。いっぽう最大級の構造は数十億光年。見える宇宙の直径約920億光年と比べても、その1割に届くものがあります。

もの(確かさ)大きさ身近な例えでいうと
最大級の星(有力な仮説)半径 太陽の約1500倍、約7天文単位[1]。理論上の上限の見積もりで、はっきり一番と決まった星はない太陽の位置に置くと、木星の軌道(約5.2天文単位)より外まで届く
ジェット ポルフィリオン(わかっている)約7メガパーセク、約2300万光年[3]銀河ひとつが、この長さの電波の柱を作った
超銀河団 ラニアケア(わかっている)直径約160メガパーセク、約5億2000万光年[4]天の川銀河はこの中の1つ
スローン・グレートウォール(わかっている)長さ約13億7000万光年[5]ラニアケアの約2.6倍の長さ
ジャイアント・アーク(有力な仮説)約1ギガパーセク、約33億光年[6]スローン・グレートウォールの約2倍
Huge-LQG(議論中)最長約1240メガパーセク、約40億光年[7][8]偶然の偏りでも同じ大きさが出るという反論あり
ヘラクレス座・かんむり座グレートウォール(議論中)約2000〜3000メガパーセク、約65億〜100億光年[9]見える宇宙の直径の約7〜11%
見える宇宙(わかっている)半径約460億光年、直径約920億光年[10]光が届いた範囲。この外は見えない

表の( )の確かさの札は、出典の論文や反論の有無をもとにSEADICEが判断したものです。研究者の間で決まった分け方ではありません。いちばん大きい星については宇宙でいちばん大きい星は何かで詳しく書いています。1メガパーセクは約326万光年として換算しました。天文単位は地球と太陽の距離(約1億5000万km)です。

04 まだわかっていないこと超巨大構造は本当にあるのか?

数十億光年の構造が本当にひとつのまとまりなのか、それとも偶然の偏りなのかは、決着していません。本物なら、宇宙はどこでも平均すれば同じという前提が揺らぐため、慎重に調べられています。

05関連する記事

06よくある質問

宇宙でいちばん大きい構造は何?

報告された中で最大なのは、ガンマ線バーストの分布から見つかった「ヘラクレス座・かんむり座グレートウォール」で、大きさ約2000〜3000メガパーセク(約65億〜100億光年)とされます。ただし、たった31個の爆発の偏りから見つけたもので、本当にひとつの構造なのかは議論が続いています。

いちばん大きい銀河は何?

銀河が作った構造で最大級なのは、中心のブラックホールが噴き出したジェットです。2024年に報告された「ポルフィリオン」は端から端まで約7メガパーセク(約2300万光年)、2022年の「アルキオネウス」は約5メガパーセク(約1600万光年)です。星の集まりとしての銀河本体は、これよりずっと小さいです。

天の川銀河はどの超銀河団に入っている?

Tullyら(2014年)は、銀河の動きの流れから、天の川銀河を含む超銀河団「ラニアケア」を定めました。直径約160メガパーセク(約5億2000万光年)で、太陽の約10の17乗倍の重さを含みます。

宇宙より大きい構造はある?

ありません。見える宇宙の半径は約460億光年(直径約920億光年)で、報告された最大の構造でもその1割ほどです。ただし大きすぎる構造が本当にあると、宇宙はどこでも平均すれば同じという前提(宇宙原理)と合わない可能性があり、議論になっています。

出典

  1. Levesque, E. M., Massey, P., Olsen, K. A. G., Plez, B., et al. (2005). The Effective Temperature Scale of Galactic Red Supergiants: Cool, but Not as Cool as We Thought. The Astrophysical Journal 628, 973–985. https://doi.org/10.1086/430901
  2. Oei, M. S. S. L., van Weeren, R. J., Hardcastle, M. J., Botteon, A., et al. (2022). The discovery of a radio galaxy of at least 5 Mpc. Astronomy & Astrophysics 660, A2. https://doi.org/10.1051/0004-6361/202142778
  3. Oei, M. S. S. L., Hardcastle, M. J., Timmerman, R., Gast, A. R. D. J. G. I. B., et al. (2024). Black hole jets on the scale of the cosmic web. Nature 633, 537–541. https://doi.org/10.1038/s41586-024-07879-y
  4. Tully, R. B., Courtois, H., Hoffman, Y., Pomarède, D. (2014). The Laniakea supercluster of galaxies. Nature 513, 71–73. https://doi.org/10.1038/nature13674
  5. Gott, J. R., III, Jurić, M., Schlegel, D., et al. (2005). A Map of the Universe. The Astrophysical Journal 624, 463–484. https://doi.org/10.1086/428890
  6. Lopez, A. M., Clowes, R. G., Williger, G. M. (2022). A Giant Arc on the Sky. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 516, 1557–1572. https://doi.org/10.1093/mnras/stac2204
  7. Clowes, R. G., Harris, K. A., Raghunathan, S., Campusano, L. E., et al. (2013). A structure in the early Universe at z ~ 1.3 that exceeds the homogeneity scale of the R-W concordance cosmology. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 429, 2910–2916. https://doi.org/10.1093/mnras/sts497
  8. Nadathur, S. (2013). Seeing patterns in noise: gigaparsec-scale 'structures' that do not violate homogeneity. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 434, 398–406. https://doi.org/10.1093/mnras/stt1028
  9. Horváth, I., Hakkila, J., Bagoly, Z. (2014). Possible structure in the GRB sky distribution at redshift two. Astronomy & Astrophysics 561, L12. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201323020
  10. Davis, T. M., Lineweaver, C. H. (2004). Expanding Confusion: Common Misconceptions of Cosmological Horizons and the Superluminal Expansion of the Universe. Publications of the Astronomical Society of Australia 21, 97–109. https://doi.org/10.1071/AS03040