太陽はいつか消えるのか、50億年後の太陽と地球

太陽は、いつまでも今のまま輝き続けるわけではありません。研究者の計算では、太陽は少しずつ明るくなり、数十億年後には大きくふくらんだ「赤色巨星」になります。そのとき地球はどうなるのか。計算でわかっていることと、まだ意見が分かれていることを分けて見ていきます。
3行でわかる
- 太陽が生まれたのは約45.7億年前。中心の水素を燃やす今の時期は、あと約50億年続く。
- その間も太陽は10億年で約10%明るくなる。地球は、太陽が巨星になるずっと前の約10億年後に、生き物が住めない暑さになると見積もられている。
- 約76億年後、太陽は半径が今の約256倍までふくらむ。地球が飲み込まれるかどうかは、太陽が失う重さの見積もりしだいで、まだ決着していない。
01 わかっていること太陽はいつか消えるの?
太陽は爆発せず、ゆっくり年をとります。あと約50億年で中心の水素を使い切り、赤色巨星にふくらんだあと、外側のガスを手放して、地球ほどの大きさの白色矮星(燃えかすの星)になります。
太陽は、中心で水素をヘリウムに変える核融合で輝いています。NASAによると、太陽は一生のおよそ半分を過ぎたところで、今の輝き方はあと約50億年続きます[5]。太陽がガスの雲からどう生まれたかは「星はどうやって生まれるのか」で書いています。
中心の水素がなくなると、太陽の外側は大きくふくらみ、表面は冷えて赤くなります。これが赤色巨星です[1]。
最後は外側のガスを宇宙に手放し、中心の芯だけが残ります。NASAによると、この白色矮星は地球ほどの大きさで、何十億年もかけてゆっくり冷えていきます[4][6]。太陽は軽いので、重い星のような超新星爆発は起こしません(超新星爆発の記事)。
02 どうやってわかったのか何十億年も先のことが、なぜわかるの?
太陽の未来は、星の中で起きる核融合とガスの動きを計算する「恒星進化モデル」で求めます。モデルが正しいかは、今の太陽の明るさや大きさ、年をとったほかの星の観測と比べて確かめています。
わかっているConnellyら(2012年、Science)[2]
太陽系で最初にできた固い粒は、45億6700万年前にできました。太陽系の年齢は、この値から約45.7億年とされます。
どうやって: 隕石の中に残っている、太陽系で最初にできた粒のウランと鉛の割合を測りました。ウランが鉛に変わる速さは決まっているので、時計として使えます。
わかっているSchröder & Smith(2008年、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)[1]
太陽は今、1億1000万年ごとに約1%、10億年で約10%明るくなっています。太陽の年齢が約100億年になると、中心の水素を燃やす時期が終わり、明るさは今の1.84倍、大きさは37%大きくなります。
どうやって: 星の進化を計算するプログラムで、今の太陽の明るさや表面温度に合うモデルを作り、未来へ進めました。計算プログラムは、ほかの星の観測で確かめられてきたものです。
有力な仮説Schröder & Smith(2008年、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)[1]
約76億年後、赤色巨星の太陽は半径が今の256倍(約1.2天文単位)、明るさは約2730倍になります。それまでに太陽は重さの約3分の1を失いますが、地球は太陽の潮の力で引き寄せられ、飲み込まれると計算されました。
どうやって: 赤色巨星が失うガスの量の式と、地球と太陽の間の潮の力を1ステップずつ計算しました。生き残るには、今の地球の軌道より少し外側の約1.15天文単位以上が必要だと見積もられています。
有力な仮説Gesickiら(2018年、Nature Astronomy)[3]
新しい星の進化モデルでは、太陽も最期に「惑星状星雲(星が手放したガスが光って見える雲)」を作りますが、その光はかなり淡いと予測されました。
どうやって: 星が巨星の段階を終えたあとの進化を新しく計算し、ほかの銀河の惑星状星雲の明るさの観測と比べました。Schröder & Smith(2008年)は、ふつうの惑星状星雲はできないと予測しており、見方が分かれています[1]。
03 数字と例えでいうと太陽の一生を1日に縮めると、今は何時?
太陽が生まれてから最も大きくふくらむまでの約122億年を1日に縮めると、今は午前9時ごろです。地球が住めなくなるのは午前11時ごろ、中心の水素がなくなるのは午後7時40分ごろです。
| できごと | 太陽の年齢 | 1日に縮めると |
|---|---|---|
| 太陽が輝き始める | 0年 | 午前0時 |
| 今 | 約45.7億年[1] | 午前9時ごろ |
| 明るさが今より約10%増え、地球が住める範囲から外れる(見積もり) | 約56億年(今から約10億年後)[1] | 午前11時ごろ |
| 中心の水素を燃やす時期が終わる | 約100億年[1] | 午後7時40分ごろ |
| 赤色巨星として最も大きくなる(半径は今の256倍) | 約121.7億年[1] | 24時(1日の終わり) |
大きさの例えです。今の太陽を直径1cmのビーズにすると、地球は約1.08m先を回る砂粒です。最も大きくなった太陽は半径約1.28m(直径約2.6m)で、今の地球の軌道をすっぽり包む大きさになります[1]。
時刻は、太陽の年齢を121.7億年で割り、24時間をかけて計算しました。例えの距離は、1天文単位=太陽の半径の215倍として計算しました[1]。
04 まだわかっていないこと地球は太陽に飲み込まれるの?
地球が飲み込まれるかどうかは、まだ決着していません。巨星の太陽がどれだけ重さを失うか、地球との間の潮の力がどれだけ働くかで、答えが変わるためです。
- 地球は飲み込まれるのか太陽が重さを失うと引力が弱まり、地球の軌道は外へ広がります。Schröder & Smith(2008年)は、それでも潮の力で引き寄せられて飲み込まれると計算しましたが、失う重さの見積もりには幅があります[1]。
- 太陽は惑星状星雲を作るのかふつうの惑星状星雲はできないという計算[1]と、淡い星雲ができるという計算[3]があり、どちらが正しいかはまだわかりません。
- 地球が住めなくなるのは正確にいつか約10億年後という数字は、雲が太陽の光をどれだけはね返すかを考えに入れていない、大まかな見積もりです。雲の影響しだいで、早くも遅くもなりえます[1]。
05関連する記事
06よくある質問
太陽はあと何年で消える?
太陽が中心の水素を燃やして今のように輝く時期は、あと約50億年続きます。そのあと赤色巨星にふくらみ、最後は地球ほどの大きさの白色矮星になります。白色矮星は消えずに、何十億年もかけてゆっくり冷えていきます。
太陽は超新星爆発する?
しません。NASAによると、超新星爆発を起こすのは太陽の約8倍より重い星です。太陽は赤色巨星になったあと、外側のガスを手放して白色矮星になります。
地球に人が住めなくなるのはいつ?
Schröder & Smith(2008年)の計算では、太陽は10億年で約10%明るくなり、約10億年後に地球は生き物が住める範囲から外れ、海が蒸発し始めると見積もられています。ただし雲の影響を入れていない大まかな数字です。
地球は太陽に飲み込まれる?
まだ決着していません。2008年の計算では、約76億年後に半径が今の256倍になった太陽に飲み込まれるとされました。ただし太陽が失う重さの見積もりには幅があり、結果が変わる可能性があります。
出典
- Schröder, K.-P., Smith, R. C. (2008). Distant future of the Sun and Earth revisited. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 386, 155–163. https://doi.org/10.1111/j.1365-2966.2008.13022.x
- Connelly, J. N., et al. (2012). The Absolute Chronology and Thermal Processing of Solids in the Solar Protoplanetary Disk. Science 338, 651–655. https://doi.org/10.1126/science.1226919
- Gesicki, K., Zijlstra, A. A., Miller Bertolami, M. M. (2018). The mysterious age invariance of the planetary nebula luminosity function bright cut-off. Nature Astronomy 2, 580–584. https://doi.org/10.1038/s41550-018-0453-9
- NASA Science. Stars. https://science.nasa.gov/universe/stars/
- NASA Science. Sun: Facts. https://science.nasa.gov/sun/facts/
- NASA Science. Types of Stars. https://science.nasa.gov/universe/stars/types/


