宇宙の始まりと終わり

宇宙に果てはあるのか、見える宇宙の大きさ

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遠くの銀河が数多く写る深宇宙の画像(ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡)
Photo: NASA, ESA, CSA, STScI, Webb ERO Production Team / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

私たちに見える宇宙には限りがあり、その半径は約460億光年です。宇宙の年齢は約138億年なのに、なぜそれより遠くまで見えるのでしょうか。そして見える範囲の外に、宇宙の「果て」はあるのでしょうか。

3行でわかる

  1. 見える宇宙(観測可能な宇宙)の半径は約460億光年。光が旅をしているあいだにも宇宙が広がったので、138億光年より大きくなる。
  2. これは「見える範囲の境目」で、宇宙そのものの端ではない。宇宙の曲がり具合を測ると、ほぼ平らだとわかっている。
  3. 宇宙全体が有限か無限か、端があるのかは、まだわかっていない。

01 わかっていること宇宙に果てはあるの?

見える範囲には境目がありますが、宇宙そのものの端は見つかっていません。境目は、宇宙が始まってから今までに光が届く距離で決まる「見える限界」です。

光の速さには限りがあり、宇宙には始まりがあります。だから、宇宙が始まってから今までに光が届く範囲しか見えません。この範囲を「観測可能な宇宙」、その境目を「粒子の地平線」と呼びます[1]。

境目は、宇宙が終わっている場所ではありません。海の水平線の向こうにも海が続いているように、見えないだけです。ビッグバンは1点からの爆発ではなく、宇宙のどこにも中心はありません(ビッグバンの証拠)。

境目までの距離は、今の距離で約460億光年です[1]。光が旅をした138億年のあいだに、空間そのものが広がり続けたため、光が進んだ距離より遠くなっています。

02 どうやってわかったのかどうやって調べたの?

見える宇宙の大きさは、膨張の速さと宇宙の中身から計算します。宇宙が平らか、小さく閉じていないかは、宇宙マイクロ波背景放射の模様で調べられています。

わかっているデイビスとラインウィーバー(2004年、Publications of the Astronomical Society of Australia)[1]

標準的な宇宙のモデルでは、見える宇宙の端(粒子の地平線)までの今の距離は約460億光年です。今も昔も光より速く遠ざかっている銀河も、私たちは見ることができると示しました。

どうやって: 一般相対性理論の計算で、宇宙の膨張にかかわるよくある誤解を整理しました。光より速く遠ざかるのは空間が広がるためで、特殊相対性理論には反しないと説明しています。

わかっているプランク・コラボレーション(2020年、Astronomy & Astrophysics)[2]

宇宙の曲がり具合を表す値はΩK=0.0007±0.0019で、0(平ら)とよく合いました。宇宙は高い精度で平らだと結論しています。

どうやって: 背景放射の温度のむらに、銀河の分布の観測(バリオン音響振動)を組み合わせました。平らな空間では、三角形の内角の和が180度になります。

わかっているコーニッシュら(2004年、Physical Review Letters)[3]

宇宙が小さく閉じていれば、背景放射の空に、同じ模様の円が向かい合って現れるはずです。半径25度より大きいそうした円は見つからず、多くのモデルで、宇宙のつながり方の大きさが240億パーセク(約780億光年)より小さい可能性を否定しました。

どうやって: WMAP衛星の1年目のデータで、空の上で温度の模様が一致する円の組を探しました。

わかっているプランク・コラボレーション(2016年、Astronomy & Astrophysics)[4]

見える範囲より小さい大きさで宇宙が閉じている証拠は、見つかりませんでした。立方体の箱の向かい合う面がつながった形(トーラス型)なら、その大きさは背景放射が出た場所までの距離の97%より大きいとしています。

どうやって: 背景放射の温度に加えて、偏光(光の振動の向き)も使って、模様の繰り返しを探しました。

わかっているカルニアーニら(2024年、Nature)[5]

JWSTで、赤方偏移14.32の銀河を光を分ける観測で確かめました。ビッグバンから約3億年後に出た光を見ています。

どうやって: 赤方偏移は、宇宙の膨張で光がどれだけ引き伸ばされたかを表す数です。この光が出た銀河は、今は約340億光年先にあります(プランクの値で計算)。

03 数字と例えでいうと見える宇宙はどれくらい大きいの?

見える宇宙の直径は約920億光年です。1光年を1ミリに縮めると、天の川銀河は直径100メートル、見える宇宙の半径は約4万6000キロで、地球1周より長くなります。

項目値身近な例えでいうと(1光年を1ミリに縮める)
見える宇宙の半径(粒子の地平線)約460億光年[1]約4万6000キロ。地球1周(約4万キロ)より長い
見える宇宙の直径約920億光年(計算)約9万2000キロ
宇宙の年齢約138億年[2]光が進んだのは138億年分でも、空間が広がったので端は約460億光年先
背景放射が出た場所の今の距離約450億光年(計算)見える宇宙の端のすぐ手前
赤方偏移14.32の銀河の今の距離約340億光年(計算)[5]約3万4000キロ
今、光より速く遠ざかる境目(ハッブル球)約145億光年(計算)[1]約1万4500キロ。この外の銀河の光も、見えることがある
天の川銀河の直径約10万光年(天の川銀河の形)約100メートル

04 まだわかっていないこと宇宙は有限なの?無限なの?

わかっていません。見える範囲では平らで、閉じている証拠もありません。ただ、見える範囲の外は観測できないので、宇宙全体の大きさや形は決められていません。

05関連する記事

06よくある質問

宇宙の果てには何があるの?

見える宇宙の境目(粒子の地平線)は約460億光年先にありますが、そこは宇宙の端ではなく、光が届く限界です。その外にも宇宙が続いていると考えられていますが、光が届かないので観測では確かめられません。

宇宙は138億歳なのに、なぜ460億光年先まで見えるの?

光が旅をしているあいだにも、空間そのものが広がり続けたからです。138億年前に出た光の出どころは、今では約460億光年先まで離れています。

宇宙は無限に広いの?

わかっていません。観測では宇宙はほぼ平らで、小さく閉じている証拠もありません。ただ、測定にはわずかな幅があり、見える範囲の外は確かめられないため、有限か無限かは決まっていません。

光より速く遠ざかる銀河があるのは、相対性理論に反しないの?

反しません。銀河が空間の中を光より速く動いているのではなく、間の空間が広がっているためです。約145億光年より遠い銀河は今、光より速く遠ざかっていますが、その光が私たちに届くこともあります。

出典

  1. Davis, T. M., Lineweaver, C. H. (2004). Expanding Confusion: Common Misconceptions of Cosmological Horizons and the Superluminal Expansion of the Universe. Publications of the Astronomical Society of Australia 21, 97–109. https://doi.org/10.1071/AS03040
  2. Planck Collaboration (2020). Planck 2018 results. VI. Cosmological parameters. Astronomy & Astrophysics 641, A6. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201833910
  3. Cornish, N. J., Spergel, D. N., Starkman, G. D., Komatsu, E. (2004). Constraining the Topology of the Universe. Physical Review Letters 92, 201302. https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.92.201302
  4. Planck Collaboration (2016). Planck 2015 results. XVIII. Background geometry and topology of the Universe. Astronomy & Astrophysics 594, A18. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201525829
  5. Carniani, S., Hainline, K., D’Eugenio, F., et al. (2024). Spectroscopic confirmation of two luminous galaxies at a redshift of 14. Nature 633, 318–322. https://doi.org/10.1038/s41586-024-07860-9