宇宙に果てはあるのか、見える宇宙の大きさ

私たちに見える宇宙には限りがあり、その半径は約460億光年です。宇宙の年齢は約138億年なのに、なぜそれより遠くまで見えるのでしょうか。そして見える範囲の外に、宇宙の「果て」はあるのでしょうか。
3行でわかる
- 見える宇宙(観測可能な宇宙)の半径は約460億光年。光が旅をしているあいだにも宇宙が広がったので、138億光年より大きくなる。
- これは「見える範囲の境目」で、宇宙そのものの端ではない。宇宙の曲がり具合を測ると、ほぼ平らだとわかっている。
- 宇宙全体が有限か無限か、端があるのかは、まだわかっていない。
01 わかっていること宇宙に果てはあるの?
見える範囲には境目がありますが、宇宙そのものの端は見つかっていません。境目は、宇宙が始まってから今までに光が届く距離で決まる「見える限界」です。
光の速さには限りがあり、宇宙には始まりがあります。だから、宇宙が始まってから今までに光が届く範囲しか見えません。この範囲を「観測可能な宇宙」、その境目を「粒子の地平線」と呼びます[1]。
境目は、宇宙が終わっている場所ではありません。海の水平線の向こうにも海が続いているように、見えないだけです。ビッグバンは1点からの爆発ではなく、宇宙のどこにも中心はありません(ビッグバンの証拠)。
境目までの距離は、今の距離で約460億光年です[1]。光が旅をした138億年のあいだに、空間そのものが広がり続けたため、光が進んだ距離より遠くなっています。
02 どうやってわかったのかどうやって調べたの?
見える宇宙の大きさは、膨張の速さと宇宙の中身から計算します。宇宙が平らか、小さく閉じていないかは、宇宙マイクロ波背景放射の模様で調べられています。
わかっているデイビスとラインウィーバー(2004年、Publications of the Astronomical Society of Australia)[1]
標準的な宇宙のモデルでは、見える宇宙の端(粒子の地平線)までの今の距離は約460億光年です。今も昔も光より速く遠ざかっている銀河も、私たちは見ることができると示しました。
どうやって: 一般相対性理論の計算で、宇宙の膨張にかかわるよくある誤解を整理しました。光より速く遠ざかるのは空間が広がるためで、特殊相対性理論には反しないと説明しています。
わかっているプランク・コラボレーション(2020年、Astronomy & Astrophysics)[2]
宇宙の曲がり具合を表す値はΩK=0.0007±0.0019で、0(平ら)とよく合いました。宇宙は高い精度で平らだと結論しています。
どうやって: 背景放射の温度のむらに、銀河の分布の観測(バリオン音響振動)を組み合わせました。平らな空間では、三角形の内角の和が180度になります。
わかっているコーニッシュら(2004年、Physical Review Letters)[3]
宇宙が小さく閉じていれば、背景放射の空に、同じ模様の円が向かい合って現れるはずです。半径25度より大きいそうした円は見つからず、多くのモデルで、宇宙のつながり方の大きさが240億パーセク(約780億光年)より小さい可能性を否定しました。
どうやって: WMAP衛星の1年目のデータで、空の上で温度の模様が一致する円の組を探しました。
わかっているプランク・コラボレーション(2016年、Astronomy & Astrophysics)[4]
見える範囲より小さい大きさで宇宙が閉じている証拠は、見つかりませんでした。立方体の箱の向かい合う面がつながった形(トーラス型)なら、その大きさは背景放射が出た場所までの距離の97%より大きいとしています。
どうやって: 背景放射の温度に加えて、偏光(光の振動の向き)も使って、模様の繰り返しを探しました。
わかっているカルニアーニら(2024年、Nature)[5]
JWSTで、赤方偏移14.32の銀河を光を分ける観測で確かめました。ビッグバンから約3億年後に出た光を見ています。
どうやって: 赤方偏移は、宇宙の膨張で光がどれだけ引き伸ばされたかを表す数です。この光が出た銀河は、今は約340億光年先にあります(プランクの値で計算)。
03 数字と例えでいうと見える宇宙はどれくらい大きいの?
見える宇宙の直径は約920億光年です。1光年を1ミリに縮めると、天の川銀河は直径100メートル、見える宇宙の半径は約4万6000キロで、地球1周より長くなります。
| 項目 | 値 | 身近な例えでいうと(1光年を1ミリに縮める) |
|---|---|---|
| 見える宇宙の半径(粒子の地平線) | 約460億光年[1] | 約4万6000キロ。地球1周(約4万キロ)より長い |
| 見える宇宙の直径 | 約920億光年(計算) | 約9万2000キロ |
| 宇宙の年齢 | 約138億年[2] | 光が進んだのは138億年分でも、空間が広がったので端は約460億光年先 |
| 背景放射が出た場所の今の距離 | 約450億光年(計算) | 見える宇宙の端のすぐ手前 |
| 赤方偏移14.32の銀河の今の距離 | 約340億光年(計算)[5] | 約3万4000キロ |
| 今、光より速く遠ざかる境目(ハッブル球) | 約145億光年(計算)[1] | 約1万4500キロ。この外の銀河の光も、見えることがある |
| 天の川銀河の直径 | 約10万光年(天の川銀河の形) | 約100メートル |
04 まだわかっていないこと宇宙は有限なの?無限なの?
わかっていません。見える範囲では平らで、閉じている証拠もありません。ただ、見える範囲の外は観測できないので、宇宙全体の大きさや形は決められていません。
- 宇宙全体は有限か無限か平らだという測定にも、±0.0019ほどの幅があります[2]。ごくわずかに曲がっていれば、宇宙は巨大な球の表面のように閉じていて、有限かもしれません。
- 見える範囲の外はどうなっているか標準的なモデルでは、外にも同じような宇宙が続いていると考えます。ただ、光が届かない場所なので、観測で確かめる方法はありません。
- 宇宙のつながり方(形)見える範囲より小さい大きさで閉じている証拠は見つかっていません[3][4]。見える範囲より大きな大きさで閉じている可能性は、残っています。
- 見える範囲の大きさの数字460億光年という値は、宇宙の膨張の速さと中身の割合から計算したものです。膨張の速さは測り方で約8%食い違っていて(ハッブル・テンション)、細かい値は前提で変わります。
05関連する記事
06よくある質問
宇宙の果てには何があるの?
見える宇宙の境目(粒子の地平線)は約460億光年先にありますが、そこは宇宙の端ではなく、光が届く限界です。その外にも宇宙が続いていると考えられていますが、光が届かないので観測では確かめられません。
宇宙は138億歳なのに、なぜ460億光年先まで見えるの?
光が旅をしているあいだにも、空間そのものが広がり続けたからです。138億年前に出た光の出どころは、今では約460億光年先まで離れています。
宇宙は無限に広いの?
わかっていません。観測では宇宙はほぼ平らで、小さく閉じている証拠もありません。ただ、測定にはわずかな幅があり、見える範囲の外は確かめられないため、有限か無限かは決まっていません。
光より速く遠ざかる銀河があるのは、相対性理論に反しないの?
反しません。銀河が空間の中を光より速く動いているのではなく、間の空間が広がっているためです。約145億光年より遠い銀河は今、光より速く遠ざかっていますが、その光が私たちに届くこともあります。
出典
- Davis, T. M., Lineweaver, C. H. (2004). Expanding Confusion: Common Misconceptions of Cosmological Horizons and the Superluminal Expansion of the Universe. Publications of the Astronomical Society of Australia 21, 97–109. https://doi.org/10.1071/AS03040
- Planck Collaboration (2020). Planck 2018 results. VI. Cosmological parameters. Astronomy & Astrophysics 641, A6. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201833910
- Cornish, N. J., Spergel, D. N., Starkman, G. D., Komatsu, E. (2004). Constraining the Topology of the Universe. Physical Review Letters 92, 201302. https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.92.201302
- Planck Collaboration (2016). Planck 2015 results. XVIII. Background geometry and topology of the Universe. Astronomy & Astrophysics 594, A18. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201525829
- Carniani, S., Hainline, K., D’Eugenio, F., et al. (2024). Spectroscopic confirmation of two luminous galaxies at a redshift of 14. Nature 633, 318–322. https://doi.org/10.1038/s41586-024-07860-9


