星と銀河

銀河はいくつあるのか、「2兆個」説とその後の数え直し

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ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドに写った無数の銀河
Photo: NASA and the European Space Agency. Edited by Noodle snacks / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

「宇宙には銀河が2兆個ある」という話を聞いたことがあるかもしれません。ただ、この2兆個は、望遠鏡で1つずつ数えた数ではありません。どこまでが数えた数で、どこからが計算で足した数なのかを分けて見てみます。

3行でわかる

  1. 見える宇宙の銀河は約2兆個という推計(2016年)は、暗すぎて見えない小さな銀河を、計算で足し込んだ数です。
  2. ハッブル宇宙望遠鏡の深さで全天を撮った場合に見える銀河は、その約10分の1、2000億個ほどと見積もられています。
  3. 探査機ニュー・ホライズンズによる宇宙の背景の光の測定は、銀河の数そのものは決めていません。正確な数はまだわかっていません。

01 わかっていること宇宙に銀河はいくつあるの?

見える宇宙にある銀河は、数千億個から2兆個ほどと考えられています。幅があるのは、星の重さを合わせても太陽の100万倍ほどしかない小さく暗い銀河を、どこまで数に入れるかで答えが変わるからです。

銀河は、星やガスが重力でまとまった大きな集まりです。私たちの天の川銀河もその1つです。

全天の銀河を1つずつ数えた人はいません。実際には、空のごく狭い場所を深く撮影して数え、その数を全天の広さに広げて見積もります。

さらに、望遠鏡でも写らない暗い銀河がどれだけあるかは、銀河の数の増え方の傾向から推計します。「2兆個」はこの推計を含んだ数です。数える範囲も、光が地球に届く見える宇宙の中だけです。

02 どうやってわかったのか「2兆個」はどうやって数えたの?

ハッブル宇宙望遠鏡などで数えた銀河の数の変化から、見えない小さな銀河まで足して推計しました。その後、宇宙の背景の光を測る観測が続き、2024年には「背景の光はほぼ銀河で説明できる」という結果が出ています。

わかっているベックウィズら(2006年、The Astronomical Journal)[1]

ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドは、空の11平方分角という狭い範囲を合計100万秒かけて撮った写真です。そこに少なくとも1万個の天体が写っていました。

どうやって: 同じ場所を4つの色のフィルターで長く撮り続け、とても暗い天体まで写しました。写った天体のほとんどは遠くの銀河です。

有力な仮説コンセリスら(2016年、The Astrophysical Journal)[2]

赤方偏移8(宇宙がまだとても若かった時代)より手前にある銀河の総数を、2.0兆個(1.4兆〜2.7兆個)と推計しました。ハッブルの深さで全天を撮った場合に見える数の約10倍です。

どうやって: いろいろな時代の銀河の重さごとの数を集め、太陽の100万倍の重さの星を持つ小さな銀河まで数を延ばして計算しました。どこまで小さな銀河を数えるかを変えると、答えも変わります。

わかっているラウアーら(2021年、2022年、The Astrophysical Journal ほか)[3][4]

太陽から40億マイル以上離れた探査機ニュー・ホライズンズで、宇宙全体からくる淡い背景の光を測りました。空の暗さは、ハッブルが見られる最も暗い空の約10分の1でした。測った光は、知られている銀河の光の約2倍ありました。

どうやって: 地球の近くでは太陽の光がちりに散らされて空が明るくなります。冥王星を越えて飛ぶ探査機のカメラで撮り、星や天の川の光を引いて背景の光を取り出しました [5]。

有力な仮説ポストマンら(2024年、The Astrophysical Journal)[6]

16か所で測り直したところ、背景の光の大部分は、知られている銀河の光で説明できました。残りは、ゼロと区別できないほど小さいものでした。著者らは、背景の光はすべて銀河から来ていると考えるのが最も単純だとしています。

どうやって: 天の川のちりに散らされた光の見積もりを、別の衛星のデータで改めました。以前の測定より見積もりが良くなり、「正体不明の光」はほぼ消えました。

ニュー・ホライズンズの観測をまとめた宇宙望遠鏡科学研究所は、2021年の発表に訂正を出しています。この観測は、銀河の総数ではなく、すべての銀河が出す光の合計を確かめるものだ、という内容です [5]。「2兆個説が否定された」という言い方は正しくありません。

03 数字と例えでいうと2兆個はどれくらい多いの?

2兆個を1秒に1個ずつ数えると、休まず続けても約6万3000年かかります。ハッブルの最も深い写真の範囲は、満月の直径の約10分の1四方しかありません。

項目値身近な例えでいうと
推計された銀河の総数(赤方偏移8まで)2.0兆個(1.4兆〜2.7兆個)[2]1秒に1個数えて約6万3000年
ハッブルの深さで全天を撮った場合総数の約10分の1 [2]約2000億個。1秒に1個で約6300年
ウルトラ・ディープ・フィールドの広さ11平方分角 [1]約3.3分角四方。満月(直径約30分角)の直径の約10分の1
その写真に写った天体1万個以上 [1]同じ密度で全天に広げると約1350億個
ニュー・ホライズンズで見た空ハッブルの最も暗い空の約10分の1の明るさ [3][5]地球のそばより、ずっと暗い空から測れた

例えの数字はこの記事で計算したものです(1年は約3156万秒、全天は約1億4850万平方分角)。

04 まだわかっていないこと銀河の正確な数がわからないのはなぜ?

いちばん大きな理由は、暗くて小さな銀河がどれだけあるかを、まだ直接数えられないことです。どこからを銀河と呼ぶかでも、数は大きく変わります。

05関連する記事

06よくある質問

銀河の数は2兆個で決まりなの?

決まっていません。2兆個は2016年の推計で、見えない小さな銀河を計算で足した数です。ハッブルの深さで見える数は約2000億個と見積もられ、数え方しだいで数千億〜2兆個ほどの幅があります。

2兆個説は間違いだったの?

否定されたわけではありません。探査機ニュー・ホライズンズの観測は、銀河の光の合計を測るもので、銀河の総数を決めるものではないと、発表した研究所自身が訂正しています。暗い小さな銀河は光が弱いので、数が多くても光の合計は増えにくいのです。

見える宇宙の外にも銀河はあるの?

あると考えられていますが、光が地球に届いていないので数えられません。ここでの銀河の数は、すべて見える宇宙の中の話です。

出典

  1. Beckwith, S. V. W. et al. (2006). The Hubble Ultra Deep Field. The Astronomical Journal 132, 1729-1755. https://doi.org/10.1086/507302
  2. Conselice, C. J. et al. (2016). The Evolution of Galaxy Number Density at z < 8 and its Implications. The Astrophysical Journal 830, 83. https://doi.org/10.3847/0004-637X/830/2/83
  3. Lauer, T. R. et al. (2021). New Horizons Observations of the Cosmic Optical Background. The Astrophysical Journal 906, 77. https://doi.org/10.3847/1538-4357/abc881
  4. Lauer, T. R. et al. (2022). Anomalous Flux in the Cosmic Optical Background Detected with New Horizons Observations. The Astrophysical Journal Letters 927, L8. https://doi.org/10.3847/2041-8213/ac573d
  5. Space Telescope Science Institute (2021). New Horizons Spacecraft Answers Question: How Dark Is Space?(訂正つき)https://www.stsci.edu/contents/news-releases/2021/news-2021-001
  6. Postman, M. et al. (2024). New Synoptic Observations of the Cosmic Optical Background with New Horizons. The Astrophysical Journal 972, 95. https://doi.org/10.3847/1538-4357/ad5ffc