星と銀河

ガンマ線バーストとは何か、宇宙でいちばん激しい爆発

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ガンマ線バーストGRB 221009Aの残光を写した写真
Photo: Филипп Романов (Filipp Romanov) / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

1960年代の終わり、核実験を見張るアメリカの人工衛星が、思いがけないものをとらえました。地球でも太陽でもない方向から届く、ガンマ線(光の仲間で、いちばんエネルギーが高いもの)の短い閃光です。これがガンマ線バーストです。正体がわかるまで、30年以上かかりました。

3行でわかる

  1. ガンマ線バーストは、数ミリ秒から数分だけ強いガンマ線を出す爆発。光っている短い間は、観測できる宇宙でいちばん明るいガンマ線の源になる。
  2. 2秒より長いものの多くは重い星がつぶれる超新星にともない、短いものの少なくとも一部は中性子星どうしの合体で起きる。後者は2017年に重力波と同時にとらえて確かめられた。
  3. なぜ一部の星だけが強いジェット(細い噴き出し)を出すのかや、天の川銀河の中で起きたときに地球がどれだけ影響を受けるかは、まだ決着していない。

01 わかっていることガンマ線バーストとは何?

ガンマ線バーストは、遠い銀河で起きる、短く強いガンマ線の爆発です。光っている数ミリ秒から数分の間は、観測できる宇宙でいちばん明るいガンマ線の源になります。長さで2種類に分かれ、起き方がちがいます。

NASAの解説によると、ガンマ線バーストは典型的な超新星の数百倍明るく、太陽の約100京倍(10の18乗倍)の明るさで光ります[10]。NASAが示す大まかな目安で、バーストごとに明るさはちがいます。ただし続くのはほんの一瞬です。

バーストは、続く時間で2つの仲間に分けられます[2]。2秒より長い「長いバースト」は平均約30秒で、重い星の最期の爆発にともないます。2秒より短い「短いバースト」は平均約0.3秒で、中性子星どうしなどの合体で起きると考えられています[10]。

長いバーストでは、つぶれた星の中心から光の速さに近い細いジェット(噴き出し)が飛び出し、それがバーストと、あとに残る光を生むと考えられています[4]。

02 どうやってわかったのか正体はどうやって突き止めたの?

最初は軍事衛星が偶然見つけ、その後、長さで2種類あることがわかりました。長いバーストは超新星と同時に起きる例、短いバーストは重力波と同時に届いた例が見つかり、正体が結びつきました。

わかっているKlebesadelら(1973年、The Astrophysical Journal)[1][11]

1969年7月から1972年7月の間に、宇宙から来たガンマ線の閃光を16回とらえたと報告しました。地球や太陽の方向から来たものではありませんでした。

どうやって: 核実験を見張るために打ち上げられたヴェラ衛星(4機)の記録を調べ、届いた時刻のずれから方向を割り出しました。

わかっているKouveliotouら(1993年、The Astrophysical Journal)[2]

たくさんのバーストを続いた時間で並べると、約2秒を境に「短い」と「長い」の2つの山に分かれることを示しました。2つは別の仕組みで起きていると考えられるようになりました。

どうやって: NASAのコンプトンガンマ線観測衛星に載ったBATSEという装置が記録したバーストの長さを集計しました。

わかっているHjorthら(2003年、Nature)/WoosleyとBloom(2006年、Annual Review of Astronomy and Astrophysics)[3][4]

2003年3月29日の長いバーストと同じ場所・ほぼ同じ時期に、とても強い超新星爆発が起きていたことがわかりました。2006年のまとめでは、長いバーストの多くは重い星の爆発をともなうと結論しています。

どうやって: バーストのあとに残る光(残光)を望遠鏡で追い、その光の中から超新星に特有の光の特徴を見つけました。ただし、すべての超新星がバーストを出すわけではありません[4]。

わかっているLIGO・Virgo共同研究チームとFermi・INTEGRALのチーム(2017年、The Astrophysical Journal Letters)[5]

2017年8月17日、中性子星どうしの合体による重力波GW170817が届いてから約1.74秒後に、短いバーストGRB 170817Aがとらえられました。偶然重なる確率は約2000万分の1で、中性子星の合体が短いバーストを起こすことが確かめられました。

どうやって: 重力波の装置と、2つの人工衛星のガンマ線の装置が、別々に同じ出来事をとらえました。このバーストは、距離がわかっている他の短いバーストより100分の1〜100万分の1ほど弱いものでした。

有力な仮説Burnsら/Williamsら(2023年、The Astrophysical Journal Letters)[6][7]

2022年10月9日のGRB 221009Aは、約50年の観測の中で最も明るいバーストでした。これほど明るいものが地球に届くのは、1万年に1回ほどと見積もられています。

どうやって: 半世紀分のバーストの明るさの分布をのばして、どれくらいまれかを計算しました。Williamsらは、これほど強く近いバーストは1000年に1回以下と別の方法で見積もっています。どちらも見積もりで、幅があります。

03 数字と例えでいうとどれくらい明るくて、どれくらい遠いの?

光るのは平均で約0.3秒か約30秒だけですが、その間の明るさは太陽の約100京倍です。2008年には、遠い宇宙のバーストの光が一瞬だけ肉眼で見える明るさになりました。

項目値身近な例えでいうと
短いバーストの長さ2秒未満、平均約0.3秒 [10]1秒の3分の1ほど
長いバーストの長さ2秒〜数分、平均約30秒 [10]CMの30秒ほど
光っている間の明るさ太陽の約100京倍 [10]1京は1兆の1万倍。その100倍
重力波からガンマ線までの遅れ約1.74秒 [5]約1億3000万年の旅のあと、2秒もずれずに届いた
GRB 221009Aの光が出た時期赤方偏移0.151 [7]から約20億年前(計算)光の速さで約20億年かかって届いた
肉眼で見えたバースト(GRB 080319B)いちばん明るいときに5.3等 [8]肉眼で見える限界の6等より少し明るい

「約20億年前」は、赤方偏移0.151を、ハッブル定数67.7km/s/Mpc・物質の割合0.31の標準的な宇宙のモデルで光の旅の時間に直して計算しました(約19.6億年)。モデルの数字を変えると、少し変わります。等級のしくみは1等星と6等星の記事で説明しています。

04 まだわかっていないことガンマ線バーストで、まだ謎なのは何?

なぜ一部の星だけがバーストを出すのか、ジェットがどうやって生まれるのかは決着していません。天の川銀河の近くで起きたときに地球の生き物がどれだけ影響を受けるかも、仮説の段階です。

05関連する記事

06よくある質問

ガンマ線バーストとは何?

遠い銀河で起きる、数ミリ秒から数分だけ強いガンマ線を出す爆発です。2秒より長いものの多くは重い星がつぶれる超新星にともない、短いものの少なくとも一部は中性子星どうしの合体で起きることが、観測で確かめられています。

ガンマ線バーストが地球に当たったら危ないの?

2022年の観測史上最も明るいバーストでも、報告された影響は上空の電離層の乱れで、その大きさにも議論があります。天の川銀河の近くで起きた場合はオゾン層がこわれるおそれがあるという研究があり、約4億4000万年前の大量絶滅との関係を考える1つの研究チームの推定(有力な仮説の段階)もありますが、決着していません。

観測史上いちばん明るいガンマ線バーストは?

2022年10月9日のGRB 221009Aです。約50年の観測の中で最も明るく、BOAT(史上最も明るい)と呼ばれました。これほど明るいものが届くのは1万年に1回ほどと見積もられています。

ガンマ線バーストと重力波はどう関係するの?

2017年8月17日、中性子星どうしの合体による重力波GW170817が届いた約1.74秒後に、短いガンマ線バーストがとらえられました。これで、中性子星の合体が短いバーストを起こすことが確かめられました。

ガンマ線バーストは肉眼で見える?

ガンマ線そのものは目に見えず、大気にさえぎられるので人工衛星で観測します。ただし2008年3月19日のGRB 080319Bでは、同時に出た目に見える光が5.3等まで明るくなり、一瞬だけ肉眼で見える明るさになりました。

出典

  1. Klebesadel, R. W., Strong, I. B., Olson, R. A. (1973). Observations of Gamma-Ray Bursts of Cosmic Origin. The Astrophysical Journal 182, L85. https://doi.org/10.1086/181225
  2. Kouveliotou, C., Meegan, C. A., Fishman, G. J., et al. (1993). Identification of two classes of gamma-ray bursts. The Astrophysical Journal 413, L101. https://doi.org/10.1086/186969
  3. Hjorth, J., Sollerman, J., Møller, P., Fynbo, J. P. U., et al. (2003). A very energetic supernova associated with the γ-ray burst of 29 March 2003. Nature 423, 847–850. https://doi.org/10.1038/nature01750
  4. Woosley, S. E., Bloom, J. S. (2006). The Supernova–Gamma-Ray Burst Connection. Annual Review of Astronomy and Astrophysics 44, 507–556. https://doi.org/10.1146/annurev.astro.43.072103.150558
  5. Abbott, B. P., et al. (LIGO Scientific Collaboration, Virgo Collaboration, Fermi Gamma-ray Burst Monitor, INTEGRAL) (2017). Gravitational Waves and Gamma-Rays from a Binary Neutron Star Merger: GW170817 and GRB 170817A. The Astrophysical Journal Letters 848, L13. https://doi.org/10.3847/2041-8213/aa920c
  6. Burns, E., Svinkin, D., Fenimore, E., Kann, D. A., et al. (2023). GRB 221009A: The BOAT. The Astrophysical Journal Letters 946, L31. https://doi.org/10.3847/2041-8213/acc39c
  7. Williams, M. A., Kennea, J. A., Dichiara, S., Kobayashi, K., et al. (2023). GRB 221009A: Discovery of an Exceptionally Rare Nearby and Energetic Gamma-Ray Burst. The Astrophysical Journal Letters 946, L24. https://doi.org/10.3847/2041-8213/acbcd1
  8. Racusin, J. L., Karpov, S. V., Sokolowski, M., Granot, J., et al. (2008). Broadband observations of the naked-eye γ-ray burst GRB 080319B. Nature 455, 183–188. https://doi.org/10.1038/nature07270
  9. Melott, A. L., Lieberman, B. S., Laird, C. M., Martin, L. D., et al. (2004). Did a gamma-ray burst initiate the late Ordovician mass extinction? International Journal of Astrobiology 3, 55–61. https://doi.org/10.1017/S1473550404001910
  10. NASA Goddard Space Flight Center. Gamma-ray Bursts(Imagine the Universe!). https://imagine.gsfc.nasa.gov/science/objects/bursts1.html
  11. NASA. A Brief History of the Discovery of Cosmic Gamma-Ray Bursts. https://science.nasa.gov/apod/a-brief-history-of-the-discovery-of-cosmic-gamma-ray-bursts/
  12. Hayes, L. A., Gallagher, P. T. (2022). A Significant Sudden Ionospheric Disturbance Associated with Gamma-Ray Burst GRB 221009A. Research Notes of the AAS 6, 222(査読のない短報). https://doi.org/10.3847/2515-5172/ac9d2f
  13. He, M., Li, Q., Zhang, S.-R., et al. (2026). Reassessment of Ionospheric Responses to GRB 221009A: Disentangling Instrumental, Illumination and Geophysical Effects. arXiv:2605.19608(査読前の論文). https://arxiv.org/abs/2605.19608