天王星はなぜ横倒しなのか、海王星はなぜ青いのか

天王星は、自転の軸が約98度もかたむき、横倒しのまま太陽のまわりを回っています。また、海王星は濃い青、天王星は薄い水色という写真がよく知られていますが、2024年の研究では、2つの本当の色は思われていたよりずっと近いとされました。
3行でわかる
- 天王星の自転の軸は97.77度かたむいている。大きな天体がぶつかった説が有力だが、昔あった大きな衛星が少しずつ傾けた説もあり、決着していない。
- 天王星と海王星が青っぽく見えるのは、大気のメタンが赤い光を吸収するから。
- 2024年の研究では、2つの惑星の本当の色の差は思われていたより小さく、天王星が少し淡いのは、もやの層が厚いためとされた。
01 わかっていること天王星の横倒しと海王星の青さ、何がわかっている?
天王星の自転の軸は97.77度かたむき、ほぼ横倒しです。天王星と海王星が青っぽいのは、大気のメタンが赤い光を吸収するためです。2つの本当の色はよく似ていることも、2024年に示されました。
地球の自転の軸は23.44度かたむいていますが、天王星は97.77度です[6][7]。そのため、北極や南極が太陽のほうを向いたまま長い時間がたちます。NASAによると、極では21年続く暗い冬があります[5]。
天王星も海王星も、大気にメタンというガスをふくみます。メタンは赤い光を吸収するので、雲で反射して戻ってくる光は青や緑っぽく見えます[5][8]。
天王星にはボイジャー2号が1986年に、海王星には1989年に近づき、写真を撮りました[5][8]。ボイジャーの今についてはボイジャーの記事で、太陽系の惑星の数え方は冥王星の記事で説明しています。
02 どうやってわかったのか横倒しの理由や本当の色は、どうやって調べたの?
横倒しの理由は、コンピューターで衝突や衛星の動きを再現して調べています。本当の色は、ハッブル宇宙望遠鏡などの観測で、ボイジャーの写真の色合いを正しく直して求めました。
有力な仮説Kegerreisら(2018年、The Astrophysical Journal)[1]
地球の2倍以上の重さの天体が若い天王星にぶつかると、今のような速い自転になりうることを計算で示しました。ぶつかっても、天王星の大気の90%以上は残るという結果でした。
どうやって: 天体を多数の粒の集まりとして表すシミュレーションで、ぶつかり方を変えながら結果を比べました。実際の衝突を観測したわけではありません。
有力な仮説Saillenfestら(2022年、Astronomy & Astrophysics)[2]
衝突ではなく、昔あった大きな衛星が少しずつ天王星から遠ざかるあいだに、軸を横倒しまで傾けた可能性を示しました。著者ら自身は、天王星にそれほど大きな衛星が本当にあったかは、まだ確かめる必要があるとしています。
どうやって: 天王星の軸がゆっくり首ふりをする動きと、衛星の動きが重なる条件を計算で探しました。
有力な仮説Irwinら(2024年、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)[4]
天王星は海王星より青みが少ないものの、その差は一般に思われているよりずっと小さいと結論しました。天王星が淡いのは、大気の中のもや(細かい粒)の層が厚いためで、差がいちばん大きくなるのは天王星の夏至・冬至のころです。
どうやって: ローウェル天文台の1950〜2016年の記録と、ハッブル宇宙望遠鏡の2016〜2022年のデータを使い、天王星の明るさと色の季節変化を模型で説明しました。ボイジャー2号の写真から本当の色を作る方法も示しました。
有力な仮説Irwinら(2022年、Journal of Geophysical Research: Planets)[3]
天王星と海王星の両方の光の特徴を、共通の「3層のもや」の模型で説明できました。海王星だけは、高いところに薄いメタンの氷の層を足す必要がありました。
どうやって: 複数の観測装置で測った、紫外線に近い光から赤外線までの反射の強さを見直し、どんな粒の層があれば説明できるかを計算しました。
03 数字と例えでいうと天王星と海王星はどれくらい遠くて大きいの?
天王星は太陽から地球の約19倍、海王星は約30倍遠くにあります。届く太陽の光は、地球に比べて天王星で約370分の1、海王星で約910分の1です。
| 項目 | 値 | 身近な例えでいうと |
|---|---|---|
| 天王星の軸のかたむき | 97.77度[6] | 地球(23.44度)[7]が地球儀なら、天王星は机に寝かせた地球儀 |
| 天王星の半径 | 約2万5362km[6] | 地球の約4.0倍(計算) |
| 天王星の1年 | 約3万685日[6] | 地球の約84年(計算)。極の暗い冬は21年続く[5] |
| 海王星の半径 | 約2万4622km[9] | 地球の約3.9倍(計算) |
| 海王星の1年 | 約6万189日[9] | 地球の約165年(計算) |
| 太陽からの平均距離 | 天王星 約28億6700万km[6]、海王星 約45億1500万km[9] | 地球の約19倍と約30倍。届く光は約370分の1と約910分の1(計算) |
| 海王星の風 | 時速約2000km(NASAは「時速1200マイル以上」)[8] | 1200マイルは約1930km(計算)。NASAは海王星を「太陽系でいちばん風の強い世界」としている |
何倍かは、NASAの表の値を地球の値(半径6371km、1年365.256日、距離約1億4960万km)で割って求めました[7]。光の強さは距離の2乗に反比例するので、19.2の2乗で約370、30.2の2乗で約910です。
04 まだわかっていないこと天王星と海王星で、まだ謎なのは何?
天王星が横倒しになった本当の理由は決着していません。衝突だとしても、ぶつかった天体の大きさや回数は決まっていません。海王星の黒い斑点がどうしてできるのかも、はっきりしていません。
- 衝突か、衛星か大きな天体の衝突説[1]と、昔の大きな衛星が少しずつ傾けた説[2]があり、どちらも計算で「ありうる」と示された段階です。衛星説の著者らも、天王星にそんな大きな衛星があったかは、まだ確かめる必要があるとしています[2]。
- ぶつかった天体の大きさNASAは「地球くらいの天体との衝突かもしれない」と説明しています[5]。一方、Kegerreisらの計算では地球の2倍以上の重さの天体を調べていて[1]、ぶつかった天体の大きさや回数は決まっていません。
- 海王星の黒い斑点の正体ボイジャー2号やハッブル宇宙望遠鏡が見た海王星の黒い斑点は、深いところのもやの層が暗くなったか、あるいは晴れたためと説明できるとされましたが、どちらなのかは決まっていません[3]。
05関連する記事
06よくある質問
天王星はなぜ横に倒れているの?
まだ決着していません。できたばかりの天王星に大きな天体がぶつかったという説が有力ですが、昔あった大きな衛星が少しずつ軸を傾けたという説もあります。どちらも計算で「ありうる」と示された段階です。
海王星はなぜ青いの?
大気にふくまれるメタンというガスが赤い光を吸収し、残った青っぽい光が反射して見えるからです。天王星も同じ理由で青緑っぽく見えます。
天王星と海王星の本当の色は違うの?
2024年のIrwinらの研究では、天王星は海王星より少し青みが少ないものの、その差は一般に思われていたよりずっと小さいとされました。よく知られた濃い青の海王星の写真は、模様を見やすくするために色が強められていたと、NASAも説明しています。
天王星の季節はどうなっているの?
天王星は軸がほぼ横倒しで、太陽のまわりを約84年で1周します。そのため、極では太陽の光が当たらない冬が21年も続きます。
出典
- Kegerreis, J. A., Teodoro, L. F. A., Eke, V. R., Massey, R. J., et al. (2018). Consequences of Giant Impacts on Early Uranus for Rotation, Internal Structure, Debris, and Atmospheric Erosion. The Astrophysical Journal 861, 52. https://doi.org/10.3847/1538-4357/aac725
- Saillenfest, M., Rogoszinski, Z., Lari, G., et al. (2022). Tilting Uranus via the migration of an ancient satellite. Astronomy & Astrophysics 668, A108. https://doi.org/10.1051/0004-6361/202243953
- Irwin, P. G. J., Teanby, N. A., Fletcher, L. N., et al. (2022). Hazy Blue Worlds: A Holistic Aerosol Model for Uranus and Neptune, Including Dark Spots. Journal of Geophysical Research: Planets 127, e2022JE007189. https://doi.org/10.1029/2022JE007189
- Irwin, P. G. J., Dobinson, J., James, A., et al. (2024). Modelling the seasonal cycle of Uranus's colour and magnitude, and comparison with Neptune. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 527, 11521–11538. https://doi.org/10.1093/mnras/stad3761
- NASA. Uranus: Facts. https://science.nasa.gov/uranus/facts/
- NASA. Uranus Fact Sheet(NSSDCA). https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/uranusfact.html
- NASA. Earth Fact Sheet(NSSDCA). https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/earthfact.html
- NASA. Neptune Facts. https://science.nasa.gov/neptune/neptune-facts/
- NASA. Neptune Fact Sheet(NSSDCA). https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/neptunefact.html


