宇宙の始まりと終わり

宇宙はこの先どうなるのか、ビッグフリーズ・ビッグクランチ・ビッグリップ

約6分で読めます

The Hubble Ultra Deep Field, is an image of a small region of space in the constellation Fornax, composited from Hubble Space Telescope data
Photo: NASA and the European Space Agency. / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

宇宙の終わり方には、大きく3つの説があります。ずっと広がって冷えていく「ビッグフリーズ」、縮んでつぶれる「ビッグクランチ」、すべてが引き裂かれる「ビッグリップ」です。どれになるかは、宇宙を広げているダークエネルギーの性質で決まります。

3行でわかる

  1. 今の観測でいちばん有力なのは、膨張がずっと続き、冷たく暗くなっていくビッグフリーズ。
  2. 宇宙の膨張は加速しているため、縮んでつぶれるビッグクランチは、今の観測が示す性質のままなら起きない。
  3. ただしダークエネルギーの正体はわかっていない。性質が変われば、未来の答えも変わる。

01 わかっていること宇宙の終わり方で、いちばん有力なのは?

いちばん有力なのはビッグフリーズです。宇宙の膨張は加速しており、宇宙はほぼ平らで、中身の約68%をダークエネルギーが占めます。この組み合わせが今のまま続くなら、宇宙は広がり続けて冷たく、からっぽになっていきます。

宇宙の未来は、2つの力の綱引きで決まります。物を引き寄せる重力と、宇宙を広げるダークエネルギーです。

重力が勝てば、膨張はいつか止まって縮みます。ダークエネルギーが勝てば、膨張は続きます。今の観測では、ダークエネルギーのほうが勝っています。

ビッグフリーズになっても、天の川銀河や太陽系のように重力で強く結びついたものは、膨張で引きはなされません。遠くの銀河がだんだん見えなくなっていきます。

02 どうやってわかったのかなぜビッグクランチは起きないと言えるの?

膨張が加速していることが、遠くの超新星で確かめられたからです。宇宙の中身の多くを占めるダークエネルギーが膨張を後押ししているため、重力だけで宇宙が縮みに転じる状態ではありません。

わかっているRiessら(1998、The Astronomical Journal)/Perlmutterら(1999、The Astrophysical Journal)[1][2]

遠くの超新星の観測から、膨張は加速しており、宇宙は永遠に膨張するモデルに合うとわかりました。ダークエネルギーがなく、物質だけで宇宙のつり合いが決まるモデル(ΩM=1)は、7〜8シグマという高い確かさで否定されました。

どうやって: 明るさのそろったIa型超新星を50個(Riessら)、42個(Perlmutterら)調べ、距離と膨張の速さの関係を測りました。

わかっているPlanck Collaboration(2020、Astronomy & Astrophysics)[3]

宇宙の曲がり具合は0.0007±0.0019で、ほぼゼロ(平ら)でした。ダークエネルギーは中身の約68%、宇宙の年齢は約138億年です。

どうやって: 生まれてまもない宇宙の光(宇宙マイクロ波背景放射)のむらを全天で測り、銀河の分布の観測と合わせました。

有力な仮説Caldwellら(2003、Physical Review Letters)[4]

ダークエネルギーが時間とともに強まる種類(ファントムエネルギー)なら、宇宙は有限の時間で引き裂かれます(ビッグリップ)。強まり方を1つ仮定した例では、終わりは約220億年後でした。

どうやって: 理論の計算です。この例では、終わりの約6000万年前に天の川銀河が、数か月前に地球が太陽から、約30分前に地球そのものがばらばらになり、最後は原子まで引き裂かれます。観測でこの種類だと確かめられたわけではありません。

有力な仮説DESI Collaboration(2025、Physical Review D)[5][6]

ダークエネルギーは時間とともに弱まっているかもしれない、という結果が出ました。今の値は、ビッグリップに必要な「強まる」性質を示していません。

どうやって: 1,400万を超える銀河とクエーサーの3年分の観測です。確からしさは2.8〜4.2シグマで、発見の目安の5シグマには届いていません。

03 数字と例えでいうと3つの終わり方は、何が違うの?

違いは、ダークエネルギーがこの先どうなるかです。今のまま変わらなければビッグフリーズ、強まればビッグリップ、宇宙を縮める向きに変われば、ビッグクランチの道も考えられます。

終わり方起きる条件と結果今の観測での評価
ビッグフリーズ膨張が続き、遠くの銀河が見えなくなり、冷たく暗くなる[4]有力な仮説いちばん有力。加速・平ら・約68%の観測と合う[1][3]
ビッグクランチ重力が勝って膨張が止まり、縮んでつぶれる[4]わかっている今の観測が示す性質のままなら起きない[1]
ビッグリップダークエネルギーが強まり、銀河から原子まで引き裂かれる。例では約220億年後[4]わかっていない観測で支持されていない。DESIは逆の「弱まる」向きを示す[5]

ビッグリップの例の約220億年は、今の宇宙の年齢(約138億年。宇宙の年齢の記事)の約1.6倍です。宇宙の曲がり具合のずれ(±0.0019)は、0.2%にも満たない小ささです。

04 まだわかっていないこと宇宙の未来がまだ決まらないのはなぜ?

決め手になるダークエネルギーの正体がわかっていないからです。今の観測は「これまでの膨張」を測ったもので、ダークエネルギーがこの先どう変わるかは、まだ観測で決められません。

05関連する記事

06よくある質問

宇宙はいつ終わるの?

今いちばん有力なビッグフリーズには、決まった「終わりの日」がありません。膨張が続き、冷たく暗くなっていきます。ビッグリップの理論の例では約220億年後ですが、観測で支持された説ではありません。

ビッグクランチはもう否定されたの?

今の観測が示すダークエネルギーが続くなら、ビッグクランチは起きません。ただしダークエネルギーの正体がわかっていないため、将来その性質が変わる可能性までは否定できません。

ビッグフリーズになると、地球や天の川銀河もバラバラになる?

なりません。天の川銀河や太陽系は重力で強く結びついているため、ダークエネルギーが今の性質のままなら、膨張で引きはなされません。見えなくなるのは、遠くの銀河です。

DESIの結果で、宇宙の未来は変わったの?

まだ変わったとは言えません。DESIは「ダークエネルギーが弱まっているかも」と示しましたが、確からしさは発見の目安の5シグマに届いていません。また、DESIが示した今の値は、ビッグリップに必要な「強まる」性質を示していません。

出典

  1. Riess, A. G. et al. (1998). Observational Evidence from Supernovae for an Accelerating Universe and a Cosmological Constant. The Astronomical Journal 116, 1009-1038. https://doi.org/10.1086/300499
  2. Perlmutter, S. et al. (1999). Measurements of Omega and Lambda from 42 High-Redshift Supernovae. The Astrophysical Journal 517, 565-586. https://doi.org/10.1086/307221
  3. Planck Collaboration (2020). Planck 2018 results. VI. Cosmological parameters. Astronomy & Astrophysics 641, A6. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201833910
  4. Caldwell, R. R., Kamionkowski, M. & Weinberg, N. N. (2003). Phantom Energy: Dark Energy with w<-1 Causes a Cosmic Doomsday. Physical Review Letters 91, 071301. https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.91.071301
  5. DESI Collaboration (2025). DESI DR2 results. II. Measurements of baryon acoustic oscillations and cosmological constraints. Physical Review D 112, 083515. https://doi.org/10.1103/tr6y-kpc6
  6. Fermilab / Berkeley Lab (2025). New DESI results strengthen hints that dark energy may evolve. https://news.fnal.gov/2025/03/new-desi-results-strengthen-hints-that-dark-energy-may-evolve/