日食と月食はなぜ起きるのか、次に日本で見られるのはいつ

太陽の直径は月の約400倍。そして地球からの距離も、月の約390倍です(計算)。この偶然のおかげで、空では太陽と月がほぼ同じ大きさに見え、月がちょうど太陽を隠す皆既日食が起こります。日食と月食のしくみと、次に日本で見られる日を、国立天文台の情報で確かめます。
3行でわかる
- 日食は月が太陽を隠す現象、月食は月が地球の影に入る現象。月の通り道が太陽の通り道に対して約5.1度傾いているので、毎月は起こらない。
- 2026年10月時点の国立天文台の情報では、日本で次に見られる月食は2028年7月7日の部分月食、次の皆既月食は2029年1月1日、次の日食は2030年6月1日(北海道の大部分で金環日食)。
- 昔の人が残した日食・月食の記録は、地球の自転が少しずつおそくなっていることや、中世の火山噴火の時期を調べる手がかりにも使われている。
01 わかっていること日食と月食はどうして起きるの?
日食は、月が太陽の前を横切って太陽を隠す現象です。月食は、月が地球の影の中に入る現象です。どちらも太陽・地球・月がほぼ一直線に並んだときだけ起こり、月の通り道が傾いているので毎月は起こりません。
日食は新月のとき、月食は満月のときに起こります[4]。新月と満月は毎月あるのに、日食や月食がめったにないのはなぜでしょうか。
月の通り道は、太陽の通り道に対して約5.1度傾いています[4]。2つの道が交わる点の近くで新月や満月になったときだけ、3つの天体がそろうのです。太陽がこの交点の近くに来るのは、およそ半年に1回です[4]。
日食には3種類あります。月が地球に近く大きく見えるときは太陽を全部隠す「皆既日食」、遠くて少し小さく見えるときは月のまわりに太陽が環のようにはみ出す「金環日食」、一部だけ隠すのが「部分日食」です[5]。月の距離のちがいはスーパームーンの記事でもくわしく紹介しています。
月食は、月が見えている場所なら地球の約半分のどこからでも、同じ時刻に見られます[3]。日食、特に皆既日食は、月の影が届く限られた地域でしか見られません[3]。
02 どうやってわかったのか日食や月食の記録から、何がわかってきたの?
日食と月食は、月の動きの計算で何年も先まで予報できます。逆に、昔の人が書き残した日食・月食の記録を計算と比べると、地球の自転がおそくなっていることや、昔の火山噴火の時期がわかります。
わかっている国立天文台 暦計算室[4]
似た日食は、約6585.3日(約18年11日)ごとにくり返します。これを「サロス周期」といい、紀元前から食の予測に使われてきました。
どうやって: 月が交点を基準に1周する日数(約27.21日)の242倍と、満ち欠けの周期(約29.53日)の223倍が、ほぼ同じ長さになることから求められます。
わかっているStephensonら(2016年、Proceedings of the Royal Society A)[7]
紀元前720年から西暦1600年までの日食・月食の記録などを調べると、1日の長さは平均して1世紀に約1.8ミリ秒ずつ長くなっていました。潮の満ち引きによるブレーキだけから予想される約2.3ミリ秒より、小さい値でした。
どうやって: 昔の記録に残る「どこで、いつ食が見えたか」と、地球の自転が一定だった場合の計算とのずれを測りました。1600年から2015年は、月が星を隠す「星食」の記録を使いました。
わかっているKeen(1983年、Science)[8]
皆既月食の月の明るさから、成層圏(高い空の層)にただよう細かい粒の量を見積もりました。1982年のエルチチョン火山の噴火は、1963年のアグン火山の噴火と同じくらいの量の粒を地球全体に広げていたとわかりました。
どうやって: 1960〜1982年の21回の月食で観測された明るさを、粒のない大気で計算した明るさと比べました。
有力な仮説Guilletら(2023年、Nature)[9]
1100〜1300年ごろの皆既月食の記録に書かれた月の暗さから、成層圏のにごりを読み取りました。年輪のデータなどと組み合わせて、5つの大きな噴火の時期を絞り込みました。
どうやって: 同じ時代の人が書いた皆既月食の記録を集め、月が暗く見えた年を、火山の粒の計算や気候の記録と照らし合わせました。
皆既月食の月が赤黒く見えるのは、地球の大気を通りぬけた赤い光が、影の中に曲がって入りこむからです[3]。大気にちりが多いと暗く、少ないと明るいオレンジ色に見えます[3]。
03 数字と例えでいうと次に日本で見られるのはいつ?太陽と月の大きさは?
2026年10月時点で、日本で次に見られる皆既月食は2029年1月1日、日食は2030年6月1日です。太陽は月の約400倍大きく、約390倍遠いので、空ではほぼ同じ大きさに見えます。
国立天文台の一覧から、2026年10月時点で日本で見られる予定の日食・月食をまとめました[1][2][3][5]。時刻は日本時間です。
| 日付 | 種類 | 日本での見え方 |
|---|---|---|
| 2028年7月7日 | 部分月食 | 全国で見られる。食の最大は3時20分ごろ。一部の地域では欠けたまま月が沈む[3] |
| 2029年1月1日 | 皆既月食 | 全国で見られる。食の最大は1時52分ごろ[3] |
| 2029年12月21日 | 皆既月食 | 日本で見える。欠けたまま月が沈む(月入帯食)[2] |
| 2030年6月1日 | 金環日食 | 北海道の大部分で金環日食、全国で部分日食[1][5] |
| 2030年6月16日 | 部分月食 | 日本で見える。欠けたまま月が沈む(月入帯食)[2] |
| 2035年9月2日 | 皆既日食 | 日本で皆既日食が見られる地域がある[1] |
2026年8月28日の部分月食や、2027年8月2日の皆既日食(北アフリカなどで見られる)は、日本からは見られません[1][2]。
| 項目 | 値 | 身近な例えでいうと |
|---|---|---|
| 太陽と月の半径 | 約69万5700kmと約1737km[6] | 約400倍。月を直径2cmの1円玉にすると、太陽は直径約8mの球(計算) |
| 地球からの距離 | 約1億4960万kmと約38万4400km[6] | 約390倍。1円玉の月を2.2m先に置くと、太陽は約860m先(計算) |
| 月の通り道の傾き | 約5.1度[4] | この傾きのせいで、日食と月食はおよそ半年ごとの時期に集まる |
| サロス周期 | 約6585.3日[4] | 約18年11日。同じような日食が、約18年ごとにくり返す |
| 2026年3月3日の皆既月食の皆既の長さ | 20時04.0分〜21時03.4分[3] | 約59分(計算) |
| 1日の長さがのびるペース | 1世紀に約1.8ミリ秒[7] | 同じペースが1億年続くと、1日は約30分長くなる(計算) |
倍率は、NASAの資料の太陽と月の半径・距離から計算しました。月を1円玉にする例えは、月の直径(約3475km)を2cmに縮めた縮尺です。
04 まだわかっていないこと日食と月食について、まだ謎なのは何?
地球の自転のおそくなり方が、潮の満ち引きから予想されるより小さい理由は決着していません。また、月が地球から離れ続けると、いつ皆既日食が起こらなくなるのかも、はっきりとは言えません。
- 地球の自転は、なぜ予想ほどおそくならないのか昔の食の記録から求めた1日ののびは1世紀に約1.8ミリ秒で、潮の満ち引きのブレーキだけから予想される約2.3ミリ秒より小さい値でした[7]。氷河がとけたあとに地面が持ち上がる動きや、地球の中心の核とマントルの結びつきなどが原因の候補として挙げられていますが、決着していません。約1500年の周期のゆれがあるらしい、という兆しも報告されています[7]。
- 皆既日食はいつまで見られるのか月は年に約3.8cmずつ地球から離れています[6]。月が遠いほど小さく見えるので[5]、計算の上ではいつか太陽を全部隠せなくなります。ただ、離れる速さがこの先もずっと同じかはわからず、時期をはっきり言うことはできません。
- 昔の火山噴火の時期グリーンランドなどの氷(氷床コア)に残る記録で噴火の年を決める方法にも、まだ不確かさが残っています[9]。月食の記録はそれを補う手がかりですが、記録が残っている時代と地域に限られます。
05関連する記事
06よくある質問
次に日本で見られる皆既月食はいつ?
2026年10月時点の国立天文台の情報では、2029年1月1日です。日本全国で見られ、食の最大は1時52分ごろです。その前の2028年7月7日には、全国で部分月食が見られます。
次に日本で見られる日食はいつ?
2026年10月時点の国立天文台の情報では、2030年6月1日です。北海道の大部分で金環日食、全国で部分日食になります。日本で皆既日食が見られるのは、2035年9月2日です。
日食や月食はなぜ毎月起きないの?
月の通り道が、太陽の通り道に対して約5.1度傾いているからです。2つの道が交わる点の近くで新月や満月になったときだけ、太陽・地球・月が一直線に並びます。
皆既月食のとき、月はなぜ赤く見えるの?
地球の大気を通りぬけた太陽の光のうち、散らばりにくい赤い光が、大気で曲げられて地球の影の中に入りこみ、月を照らすからです。夕日が赤く見えるのと同じしくみです。
日食はサングラスで見てもいいの?
いいえ、危険です。国立天文台は、サングラスやすすを付けたガラスでは目を痛めるおそれがあるとして、日食専用のグラスを正しく使うよう呼びかけています。
出典
- 国立天文台. 日食一覧(2010年から2035年). https://www.nao.ac.jp/astro/basic/solar-eclipse-list.html
- 国立天文台. 月食一覧. https://www.nao.ac.jp/astro/basic/lunar-eclipse-list.html
- 国立天文台 (2026). 2026年3月3日 皆既月食 解説資料. https://www.nao.ac.jp/contents/astro/sky/2026/03/lunar-eclipse-factsheet.pdf
- 国立天文台 暦計算室. 日食・月食の周期. https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/topics/html/topics2019_1.html
- 国立天文台 (2023). 2023年4月20日 日食(金環皆既日食) 解説資料. https://www.nao.ac.jp/contents/astro/sky/2023/04/partial-eclipse-factsheet.pdf
- NASA NSSDCA. Moon Fact Sheet / Sun Fact Sheet / Earth Fact Sheet. https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/moonfact.html
- Stephenson, F. R., Morrison, L. V., Hohenkerk, C. Y. (2016). Measurement of the Earth’s rotation: 720 BC to AD 2015. Proceedings of the Royal Society A 472, 20160404. https://doi.org/10.1098/rspa.2016.0404
- Keen, R. A. (1983). Volcanic Aerosols and Lunar Eclipses. Science 222, 1011–1013. https://doi.org/10.1126/science.222.4627.1011
- Guillet, S., Corona, C., Oppenheimer, C., Lavigne, F., Khodri, M., et al. (2023). Lunar eclipses illuminate timing and climate impact of medieval volcanism. Nature 616, 90–95. https://doi.org/10.1038/s41586-023-05751-z


