系外惑星と生命

生命はどうやって生まれたのか、わかっていることと仮説

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深海の海底から熱い水が噴き出す熱水噴出孔
Photo: MARUM − Zentrum für Marine Umweltwissenschaften, Universität Bremen / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

地球の生き物はすべて、遠い昔の共通の祖先につながると考えられています。では、いちばん最初の生命はどうやって生まれたのでしょうか。先に答えを言うと、まだわかっていません。わかっているのは、生命の材料が生き物なしの化学反応でもできること、そしていくつかの有力な仮説があることです。

3行でわかる

  1. 生命がどうやって生まれたのかは、まだわかっていない。実験で確かめられたのは、材料ができる段階や、しくみの一部だけ。
  2. 1953年のミラーの実験では、ガスに電気の火花を当てるとアミノ酸ができた。RNAの部品も、生き物なしで作れる道筋が実験で示されている。
  3. 生まれた場所は、深海の熱水噴出孔とする説と、陸の温泉とする説などがあり、決着していない。

01 わかっていること生命の始まりについて、何がわかっている?

生命の材料になるアミノ酸やRNAの部品が、生き物なしの化学反応でできることはわかっています。材料から最初の生命へ進んだ道筋は、まだわかっていません。

生命の始まりの研究は、大きく2つの問いに分かれます。1つは「材料はどこから来たのか」。もう1つは「材料がどうやって、自分で増える生き物になったのか」です。

1つ目の問いには、実験や観測で答えが出てきました。アミノ酸(たんぱく質の材料)は、1953年に実験室で生き物なしで作られました[1]。小惑星リュウグウの砂からも見つかっています(リュウグウの砂から何がわかったのか)。

難しいのは2つ目の問いです。生き物は、自分の設計図を写し取って増え、外から取り込んだもので体を動かし、膜で外と区切られています。この3つがそろった「最初の1つ」を実験で作れた人は、まだいません。

02 どうやってわかったのかどんな実験や研究で調べてきたの?

昔の地球をまねた実験で材料を作る方法と、今の生き物の遺伝子をさかのぼって共通の祖先の姿を推定する方法の、2つの方向から調べられています。

わかっているMiller(1953年、Science)[1]

メタン・アンモニア・水素・水蒸気を入れたガラスの装置に、雷のかわりの電気の火花を当てると、グリシンなどのアミノ酸ができました。

どうやって: 昔の地球の空気と海を、ガラスの装置でまねました。ただし、これは「材料ができる」ことを示した実験で、生き物ができたわけではありません。

わかっているJohnsonら(2008年、Science)[2]

ミラーが保管していた当時の試料を最新の方法で調べ直すと、火山の噴煙をまねた装置からは、もとの装置より多くの種類のアミノ酸が見つかりました。

どうやって: 1950年代の試料を分析し直しました。著者らは、雷をともなう火山の噴火のまわりで、こうした材料が局所的にたまったかもしれないとしています。

有力な仮説Pownerら(2009年、Nature)[3]

RNA(遺伝情報を運ぶ物質)の部品のうち2種類を、昔の地球にありえた簡単な材料から、生き物なしで作る道筋が見つかりました。

どうやって: それまで難しかった「糖と塩基をつなぐ」段階を、別の順番の化学反応で回り道しました。RNAが最初の生命の中心だったとする「RNAワールド説」を支える結果ですが、説そのものの証明ではありません。

有力な仮説LincolnとJoyce(2009年、Science)[4]

2種類のRNAが、たんぱく質なしでお互いを作り合い、約1時間で数が2倍になるように増え続けました。

どうやって: 研究者が設計したRNAを、材料の入った液に入れました。RNAだけで「増える」しくみが作れることを示しましたが、自然の中でこうしたRNAが生まれたかは別の問題です。

有力な仮説Weissら(2016年、Nature Microbiology)[5]

すべての生き物の共通の祖先(LUCA)は、酸素を使わず、水素と二酸化炭素を利用し、熱い場所に住んでいたと推定されました。

どうやって: 細菌などの遺伝子610万個を調べ、共通の祖先までさかのぼれる355のたんぱく質の仲間を選びました。著者らは、熱水の出る場所で生命が始まったという考えを支えるとしています。

有力な仮説Moodyら(2024年、Nature Ecology & Evolution)[6]

共通の祖先LUCAは約42億年前(40億9000万〜43億3000万年前)に生きていて、約2,600個のたんぱく質を持つ、今の細菌に近い生き物だったと推定されました。

どうやって: 遺伝子の変わり方の速さを、化石や岩の記録で目盛り合わせして計算しました。LUCAは「最初の生命」ではなく、すでに進化した生き物です。

有力な仮説DamerとDeamer(2020年、Astrobiology)[7]

深海ではなく、陸の火山地帯の温泉で、水たまりが乾いたり濡れたりをくり返すうちに、膜に包まれた生命のもとができたとする説を示しました。

どうやって: 乾燥と湿りをくり返すと、膜に包まれた長い分子ができるという実験をもとにした仮説です。著者ら自身も、これから確かめる道筋として示しています。

03 数字と例えでいうと生命の始まりは、どれくらい昔のこと?

遺伝子からの推定では、共通の祖先は約42億年前にいました。太陽系の歴史を1年に縮めると、1月30日ごろにはもう生き物がいた計算です。

太陽系が生まれた45億6730万年前を1月1日の0時、今を12月31日の24時として、比例で計算しました(100万年がおよそ1時間55分)。太陽系の年齢は太陽系はどうやってできたのかで紹介した値です。

できごといつ・どれくらい太陽系の歴史を1年にすると
太陽系の誕生45億6730万年前1月1日 0時
共通の祖先LUCAがいた(推定)[6]約42億年前(40億9000万〜43億3000万年前)1月30日ごろ(1月19日〜2月8日ごろ)
ミラーの実験[1]1953年(73年前)12月31日、年が明ける約0.5秒前
数え方数どういうことか
調べたたんぱく質のグループ[5]28万6514今の細菌などの遺伝子610万個を、似たもの同士でまとめた数
うち共通の祖先までさかのぼれたもの[5]355(約0.1%)1,000グループに1つほど(計算)
LUCAが持っていたたんぱく質(推定)[6]約2,600個別の方法の推定で、数は研究によって違う

生命が生まれてから、惑星の上で生き物がどう移り変わるのかは、惑星と生命の一生シミュレーターで、わかっていることとわからないことを分けて見られます。

04 まだわかっていないこと生命の始まりで、まだ謎なのは何?

材料が生き物になった道筋、生まれた場所、RNAワールドが本当にあったのかは、どれも決着していません。確かにそれと決まった最初の生命の化石や分子は、見つかっていないからです。

05関連する記事

06よくある質問

生命はどうやって生まれたの?

まだわかっていません。アミノ酸やRNAの部品などの材料が、生き物なしの化学反応でできることは実験で確かめられています。しかし、材料が集まって自分で増える生き物になった道筋は、再現されていません。

ミラーの実験とは何?

1953年にスタンリー・ミラーが行った実験です。メタン・アンモニア・水素・水蒸気を入れた装置に電気の火花を当てると、アミノ酸ができました。生命の材料が生き物なしでできることを示しましたが、生き物そのものができたわけではありません。

RNAワールド説とは?

最初の生命では、DNAやたんぱく質のかわりに、RNAが遺伝情報を運び、化学反応も助けていたとする説です。RNAの部品を作る道筋や、RNAだけで増えるしくみの一部は実験で示されましたが、昔の地球で実際にあった証拠はまだありません。

生命は海の底で生まれたの?

有力な説の1つですが、決まってはいません。共通の祖先が熱い場所で水素を使っていたという推定は、深海の熱水噴出孔説を支えます。一方で、陸の温泉で乾いたり濡れたりをくり返す場所だったとする説もあり、対立しています。

出典

  1. Miller, S. L. (1953). A Production of Amino Acids Under Possible Primitive Earth Conditions. Science 117, 528–529. https://doi.org/10.1126/science.117.3046.528
  2. Johnson, A. P., Cleaves, H. J., Dworkin, J. P., et al. (2008). The Miller Volcanic Spark Discharge Experiment. Science 322, 404. https://doi.org/10.1126/science.1161527
  3. Powner, M. W., Gerland, B., Sutherland, J. D. (2009). Synthesis of activated pyrimidine ribonucleotides in prebiotically plausible conditions. Nature 459, 239–242. https://doi.org/10.1038/nature08013
  4. Lincoln, T. A., Joyce, G. F. (2009). Self-Sustained Replication of an RNA Enzyme. Science 323, 1229–1232. https://doi.org/10.1126/science.1167856
  5. Weiss, M. C., Sousa, F. L., Mrnjavac, N., et al. (2016). The physiology and habitat of the last universal common ancestor. Nature Microbiology 1, 16116. https://doi.org/10.1038/nmicrobiol.2016.116
  6. Moody, E. R. R., Álvarez-Carretero, S., Mahendrarajah, T. A., et al. (2024). The nature of the last universal common ancestor and its impact on the early Earth system. Nature Ecology & Evolution 8, 1654–1666. https://doi.org/10.1038/s41559-024-02461-1
  7. Damer, B., Deamer, D. (2020). The Hot Spring Hypothesis for an Origin of Life. Astrobiology 20, 429–452. https://doi.org/10.1089/ast.2019.2045
  8. Martin, W., Baross, J., Kelley, D., Russell, M. J. (2008). Hydrothermal vents and the origin of life. Nature Reviews Microbiology 6, 805–814. https://doi.org/10.1038/nrmicro1991