ブラックホール

ブラックホールの大きさはどれくらいか、地球をブラックホールにすると何センチか

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ブラックホールのまわりのイメージ図
Photo: NOIRLab/NSF/AURA/P. Marenfeld / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

地球をぎゅっと押し縮めてブラックホールにすると、直径は約1.8センチ。1円玉より少し小さい大きさです。ブラックホールの大きさは、ほぼ重さだけで決まります。重さが2倍なら、大きさも2倍です。

3行でわかる

  1. ブラックホールの「大きさ」は、光も出られなくなる境目(事象の地平面)の大きさ。回転していなければ、半径は太陽1個分の重さにつき約2.95km。
  2. 天の川銀河の中で星が一生を終えてできたもの(この記事の例では太陽の約10〜33倍)は、直径60〜190kmほど。銀河の中心にあるものは太陽の数百万〜数百億倍の重さで、太陽系より大きいものもある。
  3. 観測で重さが測られた中で最大級は、銀河Holm 15Aの中心にある太陽の約400億倍のもの。計算すると境目の半径は海王星の軌道の約26倍になる。

01 わかっていることブラックホールの大きさは何で決まる?

ブラックホールの大きさは重さで決まります。回転していなければ、境目の半径は「重さ×2×重力の定数÷光の速さの2乗」。太陽1個分の重さで約2.95kmです。

ブラックホールには、岩のような表面はありません。あるのは「ここより内側に入ると、光も外へ出られない」という境目です。これを事象の地平面と呼びます。

この境目の半径を初めて計算したのは、ドイツの天文学者シュワルツシルトです。1916年、アインシュタインの重力の理論(一般相対性理論)から、重さ1点のまわりの空間の形を解きました[1]。この半径は重さに比例するので、重さが10倍なら半径も10倍になります。

実際のブラックホールは回転していることが多く、回転していると境目の大きさは変わりますが、どう変わるかは測り方(座標の取り方)によって数字が違います。この記事の数字は、回転していないとした値です。

02 どうやってわかったのか見えないのに、重さをどうやって量ったの?

まわりを回る星やガスの動きから重さを量り、その重さから境目の大きさを計算します。重さが測れたブラックホールは、太陽の約10倍から約400億倍まであります。

わかっているSchwarzschild(1916年、プロイセン科学アカデミー紀要)[1]

重さが一点に集まると、そのまわりに「光も出られない境目」ができることを、一般相対性理論の式から示しました。境目の半径は重さに比例します。

どうやって: 方程式を手計算で解きました。理論の解であり、後の観測(下の撮影など)がこの予測と合っています。

わかっているMiller-Jonesら(2021年、Science)[2]

はくちょう座X-1のブラックホールは、太陽の約21.2倍の重さでした。距離を約7200光年(2.22キロパーセク)と測り直した結果、それまでの見積もりより重くなりました。

どうやって: 電波望遠鏡で星の位置のわずかな揺れを測り、距離を求めました。そこに、相手の星が回る速さの観測を組み合わせて重さを出しました。

わかっているEl-Badryら(2022年、MNRAS)/Gaia Collaboration・Panuzzoら(2024年、Astronomy & Astrophysics)[3][4]

ヨーロッパの位置天文衛星ガイアのデータから、光を出さない相手と回り合う星が見つかりました。相手の重さは太陽の約9.6倍(Gaia BH1)と約32.7倍(Gaia BH3)で、ブラックホールと結論されました。

どうやって: 星が見えない相手のまわりを回るときの、空の上での小さな揺れを測りました。揺れの大きさと周期から、相手の重さがわかります。

わかっているEvent Horizon Telescope(EHT)チーム(2019年・2022年、The Astrophysical Journal Letters)[5][6]

銀河M87の中心は太陽の約65億倍、天の川銀河の中心(いて座A*)は約400万倍の重さで、どちらも黒い影を囲む光の輪が撮影されました。輪の見かけの大きさは、一般相対性理論の予測と合っていました。

どうやって: 世界各地の電波望遠鏡を組み合わせ、地球ほどの大きさの望遠鏡として使いました。M87の重さは、撮影した輪とシミュレーションを比べて求めました。

有力な仮説Mehrganら(2019年、The Astrophysical Journal)[7]

銀河団Abell 85の中心にある銀河Holm 15Aに、太陽の約400億倍(誤差は約80億倍)のブラックホールがあると報告されました。星の動きから直接重さを量った中では、近くの宇宙で最大です。

どうやって: 銀河の中心付近の星の速さを分光観測で測り、模型と比べました。1つのチームの1つの方法による結果で、別の方法での確認はまだ多くありません。

03 数字と例えでいうとどれくらいの大きさになる?

地球の重さなら直径約1.8cm、太陽なら約5.9km、天の川銀河の中心なら太陽の直径の約17倍です。いちばん重いものは、半径が太陽から海王星までの約26倍になります(計算)。

ブラックホール重さ(太陽=1)境目の直径(計算)と、身近な例え
地球と同じ重さ(たとえ話)約0.000003約1.8cm。1円玉(直径2cm)より少し小さい
太陽と同じ重さ(たとえ話)1約5.9km。歩いて1時間半ほどの距離
Gaia BH1(へびつかい座)[3]約9.6約57km
はくちょう座X-1[2]約21約125km。新幹線(時速300km)で約25分の距離
Gaia BH3(わし座)[4]約33約190km
いて座A*(天の川銀河の中心)[6]約400万約2400万km。太陽の直径の約17倍。水星の軌道の内側に十分収まる
M87の中心[5]約65億約380億km。半径は太陽から海王星までの約4.3倍
Holm 15Aの中心[7]約400億半径は太陽から海王星までの約26倍

直径は「重さ1太陽分につき半径約2.95km」として計算しました。重いブラックホールほど、境目の内側の平均の密度は小さくなります。M87の中心のブラックホールでは、計算すると1立方メートルあたり約0.44kgで、地上の空気(約1.2kg)より軽くなります。

EHTが撮った黒い影は、境目そのものより大きく写ります。光が境目のまわりで曲がるためで、回転していない場合で境目の約2.6倍です(一般相対性理論の計算)。

04 まだわかっていないこと大きさについて、まだわからないことは?

ブラックホールがどこまで重く・軽くなれるのか、そして境目の内側がどうなっているのかは、まだわかっていません。

05関連する記事

06よくある質問

地球をブラックホールにすると何センチになる?

直径約1.8センチです。回転していないブラックホールの境目の半径は、重さに比例し、太陽1個分の重さで約2.95kmです。地球の重さは太陽の約33万分の1なので、半径は約0.9cm、直径は約1.8cmになります(計算)。実際に地球がブラックホールになることはありません。

いちばん大きいブラックホールはどれくらい?

星の動きから重さを直接量った中で最大級は、銀河Holm 15Aの中心にある太陽の約400億倍のブラックホールです(Mehrganら 2019年)。境目の半径を計算すると、太陽から海王星までの距離の約26倍になります。間接的な見積もりではさらに重い候補もありますが、誤差が大きいです。

ブラックホールの写真の黒い部分が、ブラックホールの大きさ?

いいえ。黒い影は、光が強い重力で曲がるため、光も出られない境目より大きく見えます。回転していない場合、影の大きさは境目の約2.6倍です(一般相対性理論の計算)。

太陽はブラックホールになる?

なりません。太陽は重さが足りず、最後は白色矮星という小さな星になると考えられています。もし仮に同じ重さのまま縮めたとしても、直径約5.9kmになるだけで、地球を回す重力の強さは変わりません。

出典

  1. Schwarzschild, K. (1916). Über das Gravitationsfeld eines Massenpunktes nach der Einsteinschen Theorie. Sitzungsberichte der Königlich Preussischen Akademie der Wissenschaften, 189–196.(英訳: On the gravitational field of a mass point according to Einstein's theory, arXiv:physics/9905030) https://arxiv.org/abs/physics/9905030
  2. Miller-Jones, J. C. A. et al. (2021). Cygnus X-1 contains a 21-solar mass black hole—Implications for massive star winds. Science 371, 1046–1049. https://doi.org/10.1126/science.abb3363
  3. El-Badry, K. et al. (2022). A Sun-like star orbiting a black hole. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 518, 1057–1085. https://doi.org/10.1093/mnras/stac3140
  4. Gaia Collaboration, Panuzzo, P. et al. (2024). Discovery of a dormant 33 solar-mass black hole in pre-release Gaia astrometry. Astronomy & Astrophysics 686, L2. https://doi.org/10.1051/0004-6361/202449763
  5. Event Horizon Telescope Collaboration (2019). First M87 Event Horizon Telescope Results. I. The Shadow of the Supermassive Black Hole. The Astrophysical Journal Letters 875, L1. https://doi.org/10.3847/2041-8213/ab0ec7
  6. Event Horizon Telescope Collaboration (2022). First Sagittarius A* Event Horizon Telescope Results. I. The Shadow of the Supermassive Black Hole in the Center of the Milky Way. The Astrophysical Journal Letters 930, L12. https://doi.org/10.3847/2041-8213/ac6674
  7. Mehrgan, K. et al. (2019). A 40 Billion Solar-mass Black Hole in the Extreme Core of Holm 15A, the Central Galaxy of Abell 85. The Astrophysical Journal 887, 195. https://doi.org/10.3847/1538-4357/ab5856