ブラックホール

ブラックホールはどうやって見つけたのか、見えない天体を見つけた方法

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Since its discovery in 1964, Cygnus X-1 has been one of the most intensively studied cosmic X-ray sources. About a decade after its discover
Photo: NASA's Chandra X-ray Observatory; Credits: NASA/CXC / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

ブラックホールは、光さえ出てこられない天体です。それなのに、天の川銀河の中だけでも、いくつも見つかっています。見つけた方法は、どれも本体ではなく「まわりへの影響」を見るものでした。

3行でわかる

  1. ブラックホールそのものは見えないので、まわりの星やガスの動きから見つける。
  2. 1972年、はくちょう座X-1で、見えない相手と5.6日ごとに回り合う星が見つかったのが始まり。
  3. 今は、星の軌道・星の位置のゆれ・重力波・影の撮影という別々の方法でも確かめられている。

01 わかっていること見えないブラックホールが、なぜあるとわかる?

ブラックホールは光を出しませんが、強い重力でまわりの星やガスを動かします。その動きや、落ちこむガスが出すX線から、そこに「重いのに見えない天体」があるとわかります。

ブラックホールは、たくさんの重さが小さな場所に詰めこまれた天体です。重力が強すぎて、ある境目より内側からは光も出られません。この境目を「事象の地平面」と呼びます。

見えないものは、影響を見て見つけます。風は見えなくても、木の葉がゆれれば風があるとわかります。ブラックホールでは、ゆれる木の葉にあたるのが、まわりの星やガスです。

02 どうやってわかったのか最初のブラックホールはどうやって見つけた?

最初の手がかりは、X線と星のゆれでした。1972年、強いX線を出すはくちょう座X-1で、見えない相手と5.6日ごとに回り合う星が見つかりました。相手は重すぎて、ブラックホールと考えるのが自然でした。

わかっているWebster・Murdin(1972、Nature)[1][2]

はくちょう座X-1の位置にある明るい星(HDE 226868)が、目に見えない相手と5.6日ごとに回り合っていた。相手の重さは太陽の約15倍と見積もられ、中性子星(ブラックホールの次に詰まった星)の上限よりずっと重かった。

どうやって: 星の光を色ごとに分けて、光の色のずれから、星が近づく・遠ざかる速さを測った。そのゆれ方から、見えない相手の重さを計算した。

わかっているMiller-Jonesら(2021、Science)[3]

はくちょう座X-1までの距離を測り直すと約7200光年(2.22キロパーセク)だった。これにより、ブラックホールの重さは太陽の約21倍と求め直された。

どうやって: 電波で天体の位置を精密に測り、地球の公転による見かけの位置のずれから距離を求めた。距離がわかると、重さの計算がより正確になる。

わかっているGhezら(2008、ApJ)・Gillessenら(2009、ApJ)[4][5]

天の川銀河の中心で、何も見えない1点のまわりを回る星たちを十数年追いかけた。2つのチームがそれぞれ計算し、中心の重さはどちらも太陽の約400万倍(Gillessenらは約431万倍)となった。

どうやって: 大きな望遠鏡で星の位置を毎年測り、軌道の形と周期から中心の重さを求めた。Ghezらはハワイのケック望遠鏡で1995〜2007年、Gillessenらは16年分のデータを使った。

わかっているGRAVITYチーム(2018、A&A)[6][8]

中心のまわりを約16年で回る星S2が、2018年5月に最も近づいた。そのときの速さは秒速約7650kmで、星の光が重力で引きのばされる効果が、一般相対性理論(アインシュタインの重力の理論)の予想どおりに見えた。

どうやって: チリにあるESOの超大型望遠鏡VLTの装置GRAVITYで星の位置を、別の装置SINFONIで星の速さを精密に測った。ニュートンの重力の理論だけでは説明できない結果だった。

わかっているガイア共同研究チーム(2024、A&A)[7]

約1900光年先で、太陽の約33倍のブラックホール「Gaia BH3」が見つかった。相手の星と11.6年ごとに回り合っている。星からできたブラックホールとしては、天の川銀河で見つかった中で最も重い。

どうやって: ガイア衛星が星の位置をくり返し精密に測り、星が見えない相手に引かれて小さな輪を描いていることを見つけた。X線ではなく、星の位置のゆれだけが手がかりだった。

このほか、ブラックホール同士がぶつかるときの空間のゆれ(重力波)や、まわりのガスの中に浮かぶブラックホールの影の撮影でも確かめられています。中心の巨大ブラックホールについては天の川銀河の中心のブラックホールでくわしく書いています。

03 数字と例えでいうと見つけ方ごとに、何を見ている?

見つけ方は大きく5つあり、どれも「重いのに光らない天体」の影響を見ています。星のゆれ・星の軌道・星の位置・空間のゆれ・ガスの中の影と、見ているものはそれぞれちがいます。

見つけ方代表例と数字見ているもの・例え
X線と星のゆれはくちょう座X-1。5.6日で回り合い、ブラックホールは太陽の約21倍 [1][3]落ちこむガスが出すX線と、相手の星の速さの変化
星の軌道天の川銀河の中心。重さは太陽の約400万倍、S2の最接近は秒速約7650km [5][6]秒速7650kmなら、東京から大阪(直線で約400km)まで約0.05秒
星の位置のゆれGaia BH3。太陽の約33倍、約1900光年先、11.6年周期 [7]見えない相手に引っぱられて、星が空の上で小さな輪を描く動き
重力波2015年9月14日、太陽の36倍と29倍のブラックホールが合体空間そのものの伸び縮み(重力波の記事)
影の撮影2019年に公開されたM87の中心。太陽の約65億倍光るガスの中の黒い影(写真の記事)

04 まだわかっていないことまだ見つかっていないブラックホールは?

見つかっているのは、X線を出す、近くに星がいるなど、見つけやすいものだけです。天の川銀河にブラックホールがいくつあるのか、正確な数はわかっていません。

05関連する記事

06よくある質問

ブラックホールは本当にあるの?

あると考えられています。星のゆれ、星の軌道、重力波、影の撮影という別々の方法が、どれも「とても重いのに光を出さない天体」がそこにあることを示しています。天の川銀河の中心では、星の動きから太陽の約400万倍の重さが求められています。

最初に見つかったブラックホールはどれ?

はくちょう座X-1が、星の重さほどのブラックホールとして最初に広く認められた例です。1972年、強いX線を出すこの場所で、見えない相手と5.6日ごとに回り合う星が見つかりました。2021年の測定では、ブラックホールの重さは太陽の約21倍です。

X線を出さないブラックホールも見つけられる?

見つけられます。2024年に報告されたGaia BH3は、ガイア衛星が星の位置の小さなゆれを測って見つけました。重さは太陽の約33倍、距離は約1900光年です。ただし、こうした静かなブラックホールは見つけにくく、天の川銀河にいくつあるかはわかっていません。

出典

  1. Webster, B. L. & Murdin, P. (1972). Cygnus X-1 - a Spectroscopic Binary with a Heavy Companion? Nature 235, 37-38. https://doi.org/10.1038/235037a0
  2. Pounds, K. (2013). Searching for Black Holes in Space. Space Science Reviews 183, 5-19. https://doi.org/10.1007/s11214-013-0011-9
  3. Miller-Jones, J. C. A. et al. (2021). Cygnus X-1 contains a 21-solar mass black hole - Implications for massive star winds. Science 371, 1046-1049. https://doi.org/10.1126/science.abb3363
  4. Ghez, A. M. et al. (2008). Measuring Distance and Properties of the Milky Way's Central Supermassive Black Hole with Stellar Orbits. The Astrophysical Journal 689, 1044. https://doi.org/10.1086/592738
  5. Gillessen, S. et al. (2009). Monitoring Stellar Orbits Around the Massive Black Hole in the Galactic Center. The Astrophysical Journal 692, 1075. https://doi.org/10.1088/0004-637X/692/2/1075
  6. GRAVITY Collaboration (2018). Detection of the gravitational redshift in the orbit of the star S2 near the Galactic centre massive black hole. Astronomy & Astrophysics 615, L15. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201833718
  7. Gaia Collaboration, Panuzzo, P. et al. (2024). Discovery of a dormant 33 solar-mass black hole in pre-release Gaia astrometry. Astronomy & Astrophysics 686, L2. https://doi.org/10.1051/0004-6361/202449763
  8. ESO (2018). First Successful Test of Einstein's General Relativity Near Supermassive Black Hole(プレスリリース eso1825). https://www.eso.org/public/news/eso1825/