超新星爆発とは何か、私たちの体の元素は星から来たのか

「私たちは星くずからできている」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これはたとえ話ではなく、多くの部分が研究で確かめられています。体の水素以外の元素の多くは、星の中で作られ、星の最期にまき散らされたものです。その代表が、重い星の大爆発「超新星爆発」です。
3行でわかる
- 超新星爆発は、太陽の約8倍より重い星が一生の最後に起こす大爆発。中心はつぶれて中性子星やブラックホールになる。
- ヘリウムより重い元素は星の中で作られ、超新星爆発などで宇宙にまかれる。体の炭素や酸素、骨のカルシウムもその仲間。
- 金やプラチナのような重い元素が主にどこで作られるか(中性子星の合体か、特別な超新星か)は、まだ決着していない。
01 わかっていること超新星爆発とは何?
超新星爆発は、太陽の約8倍より重い星が燃料を使い切り、中心が一気につぶれて外側が吹き飛ぶ大爆発です。中心には中性子星か、さらに重い星ではブラックホールが残ります。
重い星は、中心で水素からヘリウム、炭素、酸素と、より重い元素を順に作りながら輝きます。NASAによると、最後にケイ素が鉄に変わると、星は数日のうちに燃料を使い果たします[7]。
鉄ができると、それ以上燃やせる燃料がなくなります[7]。支えを失った中心はつぶれ、外側の層は宇宙へ吹き飛びます[5]。NASAによると、生まれたときの重さが太陽の約8〜20倍の星は中性子星を、それより重い星はブラックホールを残します(目安で、境目は星の成分などで変わります。残る芯は元の星よりずっと軽くなります)[8]。
太陽はこれより軽いので、超新星爆発は起こしません。太陽の最期は「太陽はいつか消えるのか」で書いています。
02 どうやってわかったのか体の元素が星から来たと、なぜわかるの?
星の中の核融合で元素ができる仕組みは、1957年の理論の論文で体系的に示されました。その後、超新星から届いたニュートリノや、中性子星の合体で生まれた元素の光が実際に観測され、裏づけが積み重なっています。
わかっているBurbidge・Burbidge・Fowler・Hoyle(1957年、Reviews of Modern Physics)[1]
水素とヘリウムより重い元素の多くは、星の中の核融合や、星の最期の爆発の中で作られることを、元素ごとに整理して示しました。4人の頭文字から「B2FH論文」と呼ばれています。
どうやって: 原子核の反応の実験データと、星の中の温度や密度の計算を組み合わせ、太陽系の元素の割合を説明できるかを確かめました。
Johnson(2019年)のまとめでは、重い星は超新星爆発で元素をまき、軽い星も最期に外側の層を手放して元素を宇宙に戻します。超新星のあとに残った中性子星どうしの合体も、重い元素を作ります[2]。
わかっているHirataら(1987年、Physical Review Letters)[3]
1987年2月、約16万光年先の大マゼラン雲で起きた超新星SN 1987Aから、ニュートリノ(物をほとんど素通りする小さな粒)がまとまって届き、岐阜県のカミオカンデがとらえました。星の中心がつぶれたことを示す直接の証拠です。
どうやって: 地下の大きな水のタンクで、ニュートリノが水とぶつかって出す光を捕まえました。NASAによると、肉眼で見えた超新星は1604年のケプラーの超新星以来でした[9]。
わかっているDiehlら(2006年、Nature)[4]
天の川銀河の中では、重い星の中心がつぶれる超新星が100年に約1.9回(誤差±1.1回)起きていると見積もられました。
どうやって: 重い星や超新星が作る放射性のアルミニウム26(半分に減るのに約72万年)が出すガンマ線を、衛星INTEGRALで測りました。銀河全体に今あるアルミニウム26は、太陽約2.8個分の重さでした。
有力な仮説Kasenら(2017年、Nature)[6]
2017年に重力波で見つかった中性子星どうしの合体(GW170817)の光は、金やプラチナのような重い元素が新しく作られたときの光で説明できました。こうした合体が、宇宙の重い元素の主な作り手だと論じています。
どうやって: 合体で飛び出した物質がどう光るかを計算し、実際に観測された可視光と赤外線の明るさの変化と比べました。重力波については「重力波とは何か」でも書いています。
03 数字と例えでいうと超新星はどれくらいの頻度で起きる?
天の川銀河で中心がつぶれるタイプの超新星は、100年に約1.9回起きると見積もられています。平均すると約50年に1回で、人の一生(80年)のあいだに1〜2回の計算です。
| 項目 | 値 | 身近な例えでいうと |
|---|---|---|
| 天の川銀河の超新星の頻度 | 100年に約1.9回(±1.1回)[4] | 平均で約53年に1回。誤差まで入れると約33〜125年に1回 |
| 超新星になる星の重さ | 太陽の約8倍より重い[8] | 太陽8個分以上をひとまとめにした星 |
| SN 1987Aまでの距離 | 約16万光年[9] | 1987年に届いた光は、約16万年前に星を出た光 |
| 肉眼で見えた超新星の間かく | 1604年 → 1987年[9] | 383年ぶり。江戸幕府が開かれた翌年から、昭和62年まで |
| 銀河にあるアルミニウム26 | 太陽約2.8個分[4] | 約72万年で半分に減るので、今も星が作り続けている証拠になる |
「約53年に1回」は100÷1.9、「約33〜125年に1回」は100÷3.0と100÷0.8で計算しました。人の一生(80年)での回数は、80×0.019=約1.5回です。
04 まだわかっていないこと超新星と元素の謎で、まだ解けていないのは何?
星がなぜ、どうやって爆発までいたるのかの細かい仕組みと、金やプラチナのような重い元素が主にどこで作られるのかは、まだ決着していません。
- 重い元素の主な作り手はどこかKasenら(2017年)は中性子星の合体が主な作り手だと論じました[6]。一方、Siegelら(2019年)は、速く回転する重い星がつぶれる特別な超新星(コラプサー)が、80%以上を作っている可能性を示しました[10]。
- 爆発の仕組みは何か中心から出るニュートリノが周りを温めて爆発を起こす、という説が有力です。しかしJanka(2012年)は、とても強い爆発はこれだけでは説明しきれないかもしれないとまとめています[5]。
- 次に天の川銀河で超新星が見えるのはいつか平均は約50年に1回ですが、いつどの星が爆発するかは予測できません。SN 1987Aの中心に中性子星がある証拠は、2024年にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測でようやく報告されました[11]。
05関連する記事
06よくある質問
私たちの体は星くずでできているって本当?
かなりの部分は本当です。水素とヘリウムより重い元素は、星の中の核融合や星の最期の爆発で作られたと、1957年以来の研究で確かめられています。体の炭素・酸素・窒素・カルシウムなどがこれにあたります。体の水素は、星より前のビッグバン直後にできたものです。
超新星爆発はどれくらいの頻度で起きる?
天の川銀河では、中心がつぶれるタイプの超新星が100年に約1.9回(誤差±1.1回)起きると見積もられています(Diehlら、2006年)。肉眼で見えたのは、1604年のケプラーの超新星と、1987年のSN 1987Aが最近の例です。
金はどこで作られた?
金やプラチナは、鉄より重い元素の仲間で、中性子をたくさん取り込む反応でできます。2017年の観測から中性子星どうしの合体が主な作り手だという説が有力になりましたが、特別な超新星が主だという研究もあり、まだ決着していません。
太陽は超新星爆発する?
しません。超新星爆発を起こすのは太陽の約8倍より重い星です。太陽は赤色巨星になったあと、外側のガスを手放して白色矮星になります。
出典
- Burbidge, E. M., Burbidge, G. R., Fowler, W. A., Hoyle, F. (1957). Synthesis of the Elements in Stars. Reviews of Modern Physics 29, 547–650. https://doi.org/10.1103/RevModPhys.29.547
- Johnson, J. A. (2019). Populating the periodic table: Nucleosynthesis of the elements. Science 363, 474–478. https://doi.org/10.1126/science.aau9540
- Hirata, K., et al. (1987). Observation of a neutrino burst from the supernova SN1987A. Physical Review Letters 58, 1490–1493. https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.58.1490
- Diehl, R., et al. (2006). Radioactive 26Al from massive stars in the Galaxy. Nature 439, 45–47. https://doi.org/10.1038/nature04364
- Janka, H.-T. (2012). Explosion Mechanisms of Core-Collapse Supernovae. Annual Review of Nuclear and Particle Science 62, 407–451. https://doi.org/10.1146/annurev-nucl-102711-094901
- Kasen, D., Metzger, B., Barnes, J., Quataert, E., Ramirez-Ruiz, E. (2017). Origin of the heavy elements in binary neutron-star mergers from a gravitational-wave event. Nature 551, 80–84. https://doi.org/10.1038/nature24453
- NASA Science. Stars. https://science.nasa.gov/universe/stars/
- NASA Science. Types of Stars. https://science.nasa.gov/universe/stars/types/
- NASA Science (2024). Webb Finds Evidence for Neutron Star at Heart of Young Supernova Remnant. https://science.nasa.gov/missions/webb/webb-finds-evidence-for-neutron-star-at-heart-of-young-supernova-remnant/
- Siegel, D. M., Barnes, J., Metzger, B. D. (2019). Collapsars as a major source of r-process elements. Nature 569, 241–244. https://doi.org/10.1038/s41586-019-1136-0
- Fransson, C., et al. (2024). Emission lines due to ionizing radiation from a compact object in the remnant of Supernova 1987A. Science 383, 898–903. https://doi.org/10.1126/science.adj5796


