系外惑星と生命

星を持たない浮遊惑星とは何か、どれくらいあるのか

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ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が写したオリオン大星雲の中心
Photo: Mark McCaughrean / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

惑星はふつう、星のまわりを回っています。ところが、どの星も回らずに宇宙をただよう、惑星くらいの重さの天体があると考えられるようになってきました。浮遊惑星と呼ばれ、自分ではほとんど光らないので、望遠鏡で見つけるのは困難です。それでも、遠くの星の光が一瞬だけ明るくなる現象から、その手がかりが見つかっています。ただし、どれくらいあるかは、研究によって大きく違います。

3行でわかる

  1. 浮遊惑星は、星を回らずにただよう惑星くらいの重さの天体。重力で遠くの星の光が一時的に明るくなる「重力マイクロレンズ」で探す。
  2. 数の見積もりは研究で大きく変わってきた。木星くらいの重さのものは少なく、2023年の研究は、地球くらいの軽いものまで含めると星1つあたり約21個(8〜44個)と見積もった。ただし、明るくなる時間がとても短い現象6件という、わずかな観測からの見積もり。
  3. 見つかった天体の多くは、星から遠く離れて回る惑星と区別できていない。地球くらいの重さの候補も、1回きりの現象からの推定。

01 わかっていること星を持たない浮遊惑星とは何?

浮遊惑星は、星のまわりを回らずに宇宙をただよう、惑星くらいの重さの天体です。多くは、惑星ができるときに、ほかの惑星の重力ではじき出されたものと考えられています。

惑星ができたばかりのころは、惑星どうしが重力で引っぱり合います。そのとき、軽い惑星が星の重力を振り切って、外へ飛ばされることがあります。惑星ができるしくみの計算では、はじき出される惑星は地球の0.3〜1倍の重さが多いと予想されています[3]。

星の光を反射しないので、ふつうの見つけ方は使えません。星の前を横切って星が暗くなるトランジット法も、星のふらつきを測る方法も、回る星がなければ使えないからです。

NASAの系外惑星の全件データ(6,451件、2026年10月20日取得)は、どれも主星(回っている星)の名前がついた惑星です。そのうち292個は、これから説明するマイクロレンズ法で見つかりました[8]。全体の一覧は系外惑星 全6,451件の一覧で見られます。

02 どうやってわかったのか光らない惑星を、どうやって見つけるの?

重力マイクロレンズを使います。天体が遠くの星の手前を通ると、重力で光が曲がり、星が一時的に明るくなります。軽い天体ほど、明るくなる時間が短くなります。

重いものの近くでは、光の進む道が曲がります。手前の天体がレンズの役目をして、奥の星の光を集めるのです。木星くらいの重さなら1〜2日、地球くらいなら0.1日(約2時間半)ほどで、明るさが元に戻ります[2][3]。

わかっているMrózら(2017年、Nature)、Sumiら(2023年、The Astronomical Journal)[1][2][4]

木星くらいの重さの浮遊惑星は、多くありません。2011年には「星の約1.8倍の数がある」と報告されましたが、6倍のデータを使った2017年の研究で、星1つあたり0.25個より少ないとされました。

どうやって: 天の川銀河の中心の方向で、たくさんの星の明るさを毎晩測り続けました。2011年の報告をしたチーム自身も、2023年の論文で、木星くらいの浮遊惑星がたくさんあるという考えは否定されたとしています[4]。

有力な仮説Mrózら(2020年、The Astrophysical Journal Letters)[3]

これまでで最も短いマイクロレンズの現象「OGLE-2016-BLG-1928」を見つけました。レンズになった天体は、距離しだいで火星から地球くらいの重さと推定されています。

どうやって: 星の光の明るくなり方を細かく分析しました。近くに星があるかは、約8天文単位(太陽と地球の距離の8倍)以内なら否定できますが、それより遠くを回る惑星である可能性は残ります。

有力な仮説Sumiら(2023年、The Astronomical Journal)[4]

地球の3分の1から地球の約6,660倍(木星の約21倍)の重さまでの浮遊惑星が、星1つあたり約21個あると見積もりました。幅は8〜44個です。星から遠く離れて回る惑星も、この数に含まれています。

どうやって: 日本とニュージーランドのチームMOAが、2006〜2014年の9年分の観測を使いました。明るくなる時間が0.5日より短い現象は6件で、それをもとに、見落としを補正して数を出しています。

わかっていないPearson・McCaughrean(2023年、査読前の論文)、Luhman(2024年・2025年)[5][6][7]

ウェッブ望遠鏡でオリオン大星雲を写し、惑星くらいの重さの天体の候補540個と、その約9%が2つ組で浮いていると報告されました(JuMBOs)。その後、別の研究者は、多くは遠くの背景の天体だとしています。

どうやって: 最初の報告は、2026年10月20日時点で雑誌の審査を通った記録がない論文です。Luhmanは同じ画像の色を調べ直し、2025年にはウェッブ望遠鏡の分光(光を色に分ける観測)で調べた7個が、すべて背景の天体だったと報告しました。

03 数字と例えでいうと浮遊惑星は、どれくらいあるの?

見積もりは研究で大きく違います。木星くらいの重さは星1つあたり0.25個未満、軽いものまで含めると約21個(8〜44個)という値があります。

項目値身近な例えでいうと
木星くらいの浮遊惑星(2011年の報告)星の約1.8倍[1]のちの研究で否定された[2][4]
木星くらいの浮遊惑星(2017年)星1つあたり0.25個未満[2]星4つに1個より少ない
軽いものも含めた浮遊惑星(2023年)星1つあたり約21個(8〜44個)[4]太陽系の惑星8個の約2.6倍(21÷8で計算)
いちばん短い現象(MOAの観測)0.057日[4]約82分。映画1本より短い(0.057×24×60で計算)
マイクロレンズ法で見つかった惑星(星を回るもの)292個[8]確認済みの系外惑星6,451個の約4.5%(SEADICEが数えた)

約21個と8〜44個は、同じ研究の「いちばんありそうな値」と「幅」です[4]。幅の上と下で5倍以上違い、まだ数えた現象が少ないことを表しています。

04 まだわかっていないこと浮遊惑星について、まだ謎なのは何?

見つかった天体が本当に星を持たないのか、遠くの星を回っているだけなのかは、多くの場合わかっていません。正確な数や、どうやって生まれたのかも決着していません。

星を持たない惑星は暗く冷たいと考えられ、生命の話とは切り離して考える必要があります。生命が住めそうな惑星の条件は地球に似た惑星は見つかっているのかで整理しています。

05関連する記事

06よくある質問

浮遊惑星とは何?

星のまわりを回らず、宇宙をひとりでただよう、惑星くらいの重さの天体のことです。自由浮遊惑星やローグ・プラネットとも呼ばれます。惑星ができるときに、ほかの惑星の重力ではじき出されたものと考えられています。

浮遊惑星はどれくらいある?

研究で大きく違います。2023年の日本などのチームの研究は、地球の3分の1から木星の約21倍の重さまでで、星1つあたり約21個(8〜44個)と見積もりました。ただし、とても短い現象6件というわずかな観測からの見積もりです。一方、木星くらいの重さのものは、2017年の研究で星1つあたり0.25個より少ないとされています。

光らない浮遊惑星を、どうやって見つけるの?

重力マイクロレンズという現象を使います。浮遊惑星が遠くの星の手前を通ると、その重力で星の光が曲げられ、一時的に明るく見えます。惑星くらいの軽い天体だと、明るくなるのは1日より短い時間です。

ウェッブ望遠鏡が見つけたJuMBOsとは?

2023年に、オリオン大星雲の中で、木星くらいの重さの天体が2つ組で浮いているという報告です(査読前の論文)。その後、別の研究者がウェッブ望遠鏡のデータを調べ直し、多くは遠くにある背景の天体だとする論文を2024年と2025年に出しました。2026年10月時点で議論が続いています。

出典

  1. Sumi, T. et al. (2011). Unbound or distant planetary mass population detected by gravitational microlensing. Nature 473, 349–352. https://doi.org/10.1038/nature10092
  2. Mróz, P. et al. (2017). No large population of unbound or wide-orbit Jupiter-mass planets. Nature 548, 183–186. https://doi.org/10.1038/nature23276
  3. Mróz, P. et al. (2020). A Terrestrial-mass Rogue Planet Candidate Detected in the Shortest-timescale Microlensing Event. The Astrophysical Journal Letters 903, L11. https://doi.org/10.3847/2041-8213/abbfad
  4. Sumi, T. et al. (2023). Free-floating Planet Mass Function from MOA-II 9 yr Survey toward the Galactic Bulge. The Astronomical Journal 166, 108. https://doi.org/10.3847/1538-3881/ace688
  5. Pearson, S. G., McCaughrean, M. J. (2023). Jupiter Mass Binary Objects in the Trapezium Cluster. arXiv:2310.01231(査読前の論文。2026年10月20日確認). https://arxiv.org/abs/2310.01231
  6. Luhman, K. L. (2024). Candidates for Substellar Members of the Orion Nebula Cluster from JWST/NIRCam. The Astronomical Journal 168, 230. https://doi.org/10.3847/1538-3881/ad812a
  7. Luhman, K. L. (2025). JWST spectra of brown dwarf candidates in the Orion Nebula Cluster. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society: Letters 542, L126–L131. https://doi.org/10.1093/mnrasl/slaf072
  8. NASA Exoplanet Archive. Planetary Systems Composite Parameters(全件データ、2026年10月20日取得). https://exoplanetarchive.ipac.caltech.edu/