隕石は毎年どれくらい地球に落ちてくるのか

地球には、宇宙から毎日ものが降ってきています。ほとんどは目に見えないほど小さなちりで、地上に届く量は1年に約5200トンと見積もられています。地面まで届く石(隕石)は、重さ50グラムほど以上のものが地球全体で年に1万7000個以上と推定されています。ただし、どちらの数字も推定で、研究によって幅があります。
3行でわかる
- 宇宙から地球に入ってくるものの大部分は、髪の毛の太さほどのちり。南極の雪から数えた研究では、地上に届くのは年に約5200トン。
- 地上に落ちる隕石は、南極で集めた隕石の数から、重さ50グラムほど以上で年に1万7000個以上と推定された。赤道の近くほど多く落ちる。
- 日本で確認された隕石は、2023年3月23日時点の国立科学博物館のリストで54個。このリストの中で最も新しい落下は2020年の習志野隕石。
01 わかっていること宇宙から地球には毎年どれくらい物が降ってくる?
宇宙から地上に届くちりは、南極の雪を使った研究で年に約5200トン(1日あたり約14トン)と見積もられています。大気に入る前の量は年に約1万5000トンと推定されています。
降ってくるものの大部分は、直径1ミリより小さい微隕石(宇宙のちり)です[1]。多くは大気に飛び込むときに熱で溶けたり、燃え尽きたりします。夜空に見える流れ星の多くも、このちりより少し大きな粒です(流れ星とは何か)。
一方、石ころ以上の大きさで地面まで届くものが隕石です。地球全体での推定を1日あたりにすると、平均40個以上がどこかに落ちている計算です[3]。ほとんどは海や山、人のいない場所に落ち、見つかりません。
02 どうやってわかったのか落ちてくる隕石の数はどうやって数えたの?
隕石の数は、南極やさばくのように隕石が見つけやすい場所で集めた数と、火球(とても明るい流れ星)を撮るカメラの記録から推定します。どの方法でも、数え漏れや面積の見積もりに幅が出ます。
わかっているRojas ら(2021年、Earth and Planetary Science Letters)[1]
南極の雪の中から宇宙のちり2088個を見つけ、地上に届くちりは年に約5200トン(約4000〜6700トンの幅)と見積もりました。大気に入る前の量は年に約1万5000トンと計算しています。
どうやって: 南極のコンコルディア基地の近くで、とてもきれいな雪を大量に溶かし、直径0.03〜0.35ミリの粒を数えました。雪が毎年決まった量だけ積もるので、何年分のちりかがわかります。
有力な仮説Plane(2012年、Chemical Society Reviews)[2]
宇宙のちりの量の見積もりは、方法によって1日あたり約5〜50トンから約100〜300トンまで、10倍以上も違っていました。
どうやって: 人工衛星の測定、氷や海底の泥にたまった成分、上空のレーダーやレーザーの観測など、これまでの見積もりを比べたまとめの論文です。
有力な仮説Evatt ら(2020年、Geology)[3]
地球全体で、重さ50グラムほど以上の隕石の落下は年に1万7000回以上と推定しました。極に落ちる数は、赤道の約65%でした。
どうやって: 南極の氷の流れで隕石が集まる場所を計算し、実際に2回の夏の調査で120個を見つけて予測と合うか確かめました。その数を、緯度による落ち方の違いを入れて地球全体に広げました。
有力な仮説Bland ら(1996年、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)[4]
10グラム以上の隕石は、100万平方キロあたり年に36〜116個落ちると見積もりました。10グラム〜1キロの隕石の重さを全部足すと、地球全体で年に約2.9〜7.3トンです。この割合は、過去5万年ほとんど変わっていませんでした。
どうやって: アメリカ・サハラ・オーストラリアのさばくで見つかった隕石98個のさびの進み方と年代を調べました。今の火球カメラの観測からの見積もりとも合っていました。
03 数字と例えでいうと日本にはどれくらい隕石が落ちている?
地球全体の推定を日本の面積に当てはめると、日本には年に十数個ほど隕石が落ちている計算になります。ただ、実際に見つかって確認された隕石は、2023年3月23日時点の国立科学博物館のリストで、1100年以上の間に54個です。
| 項目 | 数字 | 例えると |
|---|---|---|
| 地上に届く宇宙のちり | 年に約5200トン[1] | 1日あたり約14トン(計算) |
| 隕石(50グラムほど以上) | 地球全体で年に1万7000回以上[3] | 100万平方キロあたり年に約33回(計算) |
| 日本の面積に当てはめると | 年に約13回(計算) | 地球全体に同じ割合で落ちると仮定した場合。10グラム以上なら年に約14〜44個[4] |
| 日本で確認された隕石 | 54個(うち落ちるところを見られた落下が44個)[5] | 国立科学博物館のリスト(2023年3月23日時点) |
日本の面積は約38万平方キロとして計算しました。計算上は毎年いくつも落ちていても、多くは海や山林に落ちて見つかりません。10グラム〜1キロの隕石の重さを全部足しても年に数トンで、地上に届くちりの約1000分の1です(計算)。
このリストの中で最も新しい落下は、2020年7月2日に千葉県習志野市と船橋市に落ちた習志野隕石です。マンションの廊下や、アパートの屋根瓦を割って見つかりました[6]。宇宙線で作られる放射性の成分を測り、落ちたばかりの隕石だと確かめています。大きな小惑星がぶつかる確率は恐竜を絶滅させた小惑星の記事で書いています。
04 まだわかっていないこと隕石の落ちる数で、まだわからないことは?
宇宙のちりの量は、測り方によって10倍以上違う見積もりがあり、まだ決着していません。隕石の数も、どこまで小さいものを数えるかや数え漏れで、推定に幅があります。
- 宇宙のちりは本当はどれくらい降っているのか人工衛星などの測定と、上空の大気の測定とで、見積もりが合いません[2]。小さくてもろい粒が、地上の採集で見落とされている可能性も指摘されています[1]。
- 落ちる隕石の数の正確な値火球カメラは観測できる範囲や期間が限られ、南極やさばくの数は氷の動きや風化の見積もりに左右されます[3][4]。研究ごとに数え方が違うので、数字をそのまま比べられないこともあります。
- 日本の隕石は今後も見つかるのか越谷隕石のように、1902年に落ちて家で保管されていた石が、2023年に隕石として登録された例もあります[7]。越谷隕石は、2023年3月23日時点のリストの54個にも入っています[5]。家や倉庫に眠っている隕石が、まだあるかもしれません。
05関連する記事
06よくある質問
隕石は1年にいくつ地球に落ちてくる?
南極の隕石の数から推定した研究では、重さ50グラムほど以上の隕石の落下は、地球全体で年に1万7000回以上とされています。ほとんどは海や人のいない場所に落ちるため、見つかるのはごく一部です。数え方によって推定には幅があります。
宇宙のちりはどれくらい地球に降ってくる?
南極の雪から宇宙のちりを数えた2021年の研究では、地上に届く量は年に約5200トン(1日あたり約14トン)と見積もられました。ただし研究によって1日5トンほどから300トンほどまで見積もりに大きな差があり、まだ決着していません。
日本に落ちた隕石はいくつある?
国立科学博物館の日本の隕石リスト(2023年3月23日時点)には54個が載っています。そのうち44個は落ちるところが見られた「落下」、10個は後から見つかった「発見」です。このリストの中で最も新しい落下は2020年の習志野隕石です。1902年に落ちて2023年に登録された越谷隕石も、この54個に入っています。
隕石が建物に当たることはある?
あります。2020年の習志野隕石では、マンションの廊下に破片が落ち、アパートの屋根瓦が割れていました。
隕石かどうかはどうやって確かめる?
日本で見つかった隕石は、国立科学博物館などで成分や組織を分析し、国際隕石学会に登録申請されます。習志野隕石は、宇宙線で作られる放射性の成分を測って、落ちたばかりの隕石だと確かめられました。1902年に落ちた越谷隕石は、2021年に分析の依頼があり、2023年に登録されました。
出典
- Rojas, J., Duprat, J., Engrand, C., Dartois, E., et al. (2021). The micrometeorite flux at Dome C (Antarctica), monitoring the accretion of extraterrestrial dust on Earth. Earth and Planetary Science Letters 560, 116794. https://doi.org/10.1016/j.epsl.2021.116794
- Plane, J. M. C. (2012). Cosmic dust in the earth's atmosphere. Chemical Society Reviews 41, 6507–6518. https://doi.org/10.1039/c2cs35132c
- Evatt, G. W., Smedley, A. R. D., Joy, K. H., Hunter, L., et al. (2020). The spatial flux of Earth's meteorite falls found via Antarctic data. Geology 48, 683–687. https://doi.org/10.1130/G46733.1
- Bland, P. A., Smith, T. B., Jull, A. J. T., Berry, F. J., et al. (1996). The flux of meteorites to the Earth over the last 50 000 years. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 283, 551–565. https://doi.org/10.1093/mnras/283.2.551
- 国立科学博物館. 日本の隕石リスト(2023年3月23日現在). https://www.kahaku.go.jp/research/db/science_engineering/inseki/inseki_list.html
- 国立科学博物館(2020). 企画展示「関東上空の大火球に伴って落下した新隕石 習志野隕石」案内. https://web.kahaku.go.jp/event/2020/11narashino/2020narashino.pdf
- 国立科学博物館(2023). 企画展示「越谷隕石」案内. https://www.kahaku.go.jp/event/2023/07koshigaya/images/koshigaya2023.pdf


