星と銀河

もし太陽が今すぐ消えたら、地球はいつ気づくのか

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日食で欠けた太陽
Photo: Brocken Inaglory / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

太陽が今この瞬間に消えたら、私たちはすぐに気づくでしょうか。答えは「約8分19秒後」です。空が暗くなるのと、地球が太陽の重力から外れるのは、ほぼ同時にやってきます。2017年の観測で重力波が光と同じ速さで進むと確かめられ、一般相対性理論では重力の変化も同じ速さで伝わるからです(太陽が突然消えること自体はありえない仮定で、その先は理論からの推論です)。

3行でわかる

  1. 太陽の光が地球に届くまで、平均で約8分19秒かかります。太陽が消えても、その間は太陽が見え続けます。
  2. 重力の変化も同じ約8分19秒で届きます。2017年、重力波とガンマ線が約1億3000万光年を旅して1.7秒差で届き、重力の速さと光の速さの差は1000兆分の3以下とわかりました。
  3. 8分19秒後、地球は秒速約30kmのまま、まっすぐ宇宙へ飛んでいきます。月は地球のまわりを回ったまま、一緒についていく計算です。
この「もしも」は思考実験です。物理の法則では、太陽ほどの重さやエネルギーが一瞬で消えることは起こりません。「重力はどれくらいの速さで伝わるのか」を考えるために、よく使われる問いです。

01 わかっていること太陽が消えたら、地球はいつ気づく?

約8分19秒後です。光も重力の変化も、同じ光の速さで伝わるからです。暗くなるのと、地球が太陽に引かれなくなるのは、ほぼ同時に起きます。

太陽から地球までは、平均で約1億4960万km。光は1秒に約30万km進むので、届くまで約499秒、つまり約8分19秒かかります。私たちが見ている太陽は、いつも約8分19秒前の姿です。

では重力はどうでしょう。もし重力が一瞬で伝わるなら、地球は暗くなる8分以上前に、太陽のまわりを回るのをやめるはずです。一般相対性理論は「重力の変化も光の速さで伝わる」と予言していました。

この予言は、2017年の観測で強く裏づけられました。重力の変化が波として伝わる「重力波」と、光の仲間であるガンマ線が、ほぼ同時に届いたのです。重力波そのものの話は重力波とは何かで説明しています。

02 どうやってわかったのか重力の速さは、どうやって測ったの?

2017年8月17日、2つの中性子星の合体から出た重力波とガンマ線が、約1億3000万光年を旅して1.7秒差で届きました。この差から、重力と光の速さはほとんど同じだとわかりました。

わかっているLIGOとVirgoの共同研究(2017年、Physical Review Letters)[1]

2017年8月17日、2つの中性子星が合体するときの重力波「GW170817」を初めてとらえました。距離は約40メガパーセク(約1億3000万光年)で、合体の1.7秒後にガンマ線のバーストが観測されました。

どうやって: アメリカのLIGOとヨーロッパのVirgoの重力波望遠鏡で、空間のごくわずかな伸び縮みを測りました。同じ方向から、フェルミ衛星などがガンマ線をとらえています。

わかっているLIGO、Virgo、フェルミ、インテグラルの共同研究(2017年、The Astrophysical Journal Letters)[2]

重力波とガンマ線の到着の差は1.74秒でした。この差から、重力の速さと光の速さの違いは、光の速さの「1000兆分の3遅い」から「1000兆分の0.7速い」の範囲に収まるとわかりました。

どうやって: 2つの信号の到着時刻の差と、距離の見積もりのいちばん近い値(26メガパーセク)から計算しました。ガンマ線が合体と同時に出た場合と、10秒遅れて出た場合を考え、慎重な範囲を求めています。

わかっているカーリップ(2000年、Physics Letters A)[3]

重力が光の速さで伝わるなら、地球は「8分19秒前の太陽の位置」に引かれて、軌道がずれていくのでは?という疑問に答えました。一般相対性理論では、動く天体の速さに関係する効果がずれをほぼ打ち消し、軌道は安定します。

どうやって: 理論の計算です。重力を単純な引っぱり合いとして考えると、軌道がずれないためには重力が光の200億倍以上速くなければなりません。一般相対性理論ではその必要がないことを示しました。

03 数字と例えでいうと気づくまでの時間と、その後の地球は?

気づくまでの時間は、地球と太陽の距離によって約8分11秒から約8分27秒まで変わります。気づいた後、地球は1日に約257万km進み、1年で地球と太陽の距離の約6.3倍まで離れる計算です。

項目値身近な例えでいうと
地球と太陽の平均距離約1億4960万km [4]光で約8分19秒(計算)
いちばん近いとき約1億4710万km [4]光で約8分11秒(計算)
いちばん遠いとき約1億5210万km [4]光で約8分27秒(計算)
重力と光の到着の差速さの差は光の1000兆分の3以下 [2]8分19秒の旅で、ずれは最大でも約1兆分の1.5秒(計算)
地球の公転の速さ秒速約29.78km [4]消えた後もこの速さで直進。1日に約257万km(計算)
1年後の位置元の太陽の位置から約6.3天文単位(計算)今の地球と太陽の距離の約6.3倍

最後の2行は、ほかの惑星の重力を無視して、地球がまっすぐ進むと仮定した計算です。ほかの惑星も、それぞれの速さでまっすぐ飛び去っていきます。

04 まだわかっていないことこの「もしも」で答えが出ないのは?

太陽が「消える」こと自体が物理の法則に反するので、消えた瞬間の重力の変わり方を、一般相対性理論でそのまま計算することはできません。また、気づいた後に地球がどこまで冷えるかも、確かな答えはありません。

05関連する記事

06よくある質問

太陽が消えたら、すぐに暗くなる?

すぐには暗くなりません。消える直前に太陽を出た光は、地球に届くまで約8分19秒かかるため、その間は太陽が見え続けます。暗くなるのと、地球が太陽に引かれなくなるのは、ほぼ同時です。

太陽が消えたら、月はどうなる?

月は地球の重力で地球のまわりを回っているので、回り続けたまま、地球と一緒にまっすぐ飛んでいく計算です。ただし太陽の光を反射しなくなるので、月は見えなくなります。

重力が光より速く伝わる可能性はないの?

2017年の観測では、重力と光の速さの違いは、光の速さの1000兆分の3より小さいとわかりました。重力が一瞬で伝わる、という考えは観測と合いません。

出典

  1. LIGO Scientific Collaboration and Virgo Collaboration, Abbott, B. P. et al. (2017). GW170817: Observation of Gravitational Waves from a Binary Neutron Star Inspiral. Physical Review Letters 119, 161101. https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.119.161101
  2. LIGO Scientific Collaboration, Virgo Collaboration, Fermi Gamma-ray Burst Monitor and INTEGRAL, Abbott, B. P. et al. (2017). Gravitational Waves and Gamma-Rays from a Binary Neutron Star Merger: GW170817 and GRB 170817A. The Astrophysical Journal Letters 848, L13. https://doi.org/10.3847/2041-8213/aa920c
  3. Carlip, S. (2000). Aberration and the speed of gravity. Physics Letters A 267, 81-87. https://doi.org/10.1016/S0375-9601(00)00101-8
  4. NASA Goddard Space Flight Center. Earth Fact Sheet. https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/earthfact.html