ブラックホール

もし太陽がブラックホールになったら、地球は吸い込まれるのか

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ブラックホールの想像図
Photo: European Space Agency, NASA and Felix Mirabel (the French Atomic Energy Commissi / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

太陽がある日突然、同じ重さのブラックホールに変わったら、地球は吸い込まれるのでしょうか。答えは「吸い込まれない」です。地球は今と同じ軌道を回り続けます。困るのは重力ではなく、光と熱がなくなることです。ただし、太陽は重さが足りないので、実際にブラックホールになることはありません。

3行でわかる

  1. 重さが同じなら、離れた場所に届く重力は変わらない。地球は約1億5000万km離れたまま、今と同じ1年で回り続ける。
  2. 変わるのは光と熱。地球の中から出る熱は、ならした太陽の光の約3700分の1しかない。地面が熱を宇宙へ直接捨てると仮定すると、つり合う温度は約−237℃で、これは冷え方の下限の目安(計算)。
  3. 太陽はブラックホールにならない。観測では、太陽の0.85〜7.5倍の重さの星は白色矮星を残しており、太陽もその仲間になる。

01 わかっていること太陽がブラックホールになったら地球は吸い込まれる?

吸い込まれません。重力の強さは、相手の重さと距離で決まるからです。太陽が同じ重さのブラックホールに縮んでも、地球の場所で感じる重力は今と同じで、地球は同じ軌道を回り続けます。

NASAの解説は、太陽が同じ重さのブラックホールに入れ替わっても、変わるのは地球の温度だけだと説明しています[1]。ブラックホールは、近づいた物を遠くからでも吸い込む掃除機ではありません。

太陽の重さのブラックホールは、光も出られなくなる境目(事象の地平面)の半径が約3kmです(計算)。地球はその約5000万倍も遠くにいます。吸い込まれる心配があるのは、ごく近くまで行った物だけです。大きさの話はブラックホールの大きさの記事にまとめています。

この記事の「もしも」は、起こらないことを仮に考えたものです。書いているのは、重力の法則・観測・論文の計算で言えることだけです。

02 どうやってわかったのかどの研究からそう言えるの?

太陽がブラックホールにならないことは、白色矮星の観測と星の一生の計算からわかっています。光と熱が消えた地球については、地球の中から出る熱の測定と、星を持たない惑星の計算が手がかりになります。

わかっているCummingsら(2018年、The Astrophysical Journal)[2]

13の星団にある79個の白色矮星とシリウスBを調べ、太陽の0.85〜7.5倍の重さで生まれた星が、どれくらいの重さの白色矮星を残すかを測りました。一生のうちに失う重さは、要旨によると、太陽の0.83倍の星で生まれたときの重さの33%、7.5倍の星で83%でした(0.83倍は要旨の表記のまま)。

どうやって: 年齢がわかっている星団の白色矮星の重さを測り、その星が生まれたときの重さと結びつけました。太陽(1倍)はこの範囲に入ります。

有力な仮説Schröder & Smith(2008年、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)[3]

太陽は約76億年後の赤色巨星の時期までに、重さの約3分の1(太陽の0.332倍)を風で失うと計算されました。それでも地球は、ふくらんだ太陽に飲み込まれると見積もられています。

どうやって: 星の進化の計算に、巨星から失われる重さの式を入れて求めました。飲み込まれるかどうかは失う重さの見積もりで変わります。詳しくは太陽の未来の記事へ。

わかっているHegerら(2003年、The Astrophysical Journal)[4]

重い星が最後に中性子星になるか、ブラックホールになるかは、主に最期のときの芯(ヘリウムの核)と外側の水素の重さで決まります。星に含まれる重い元素の量によっても変わります。

どうやって: 星の重さと元素の割合ごとに一生を計算し、どんな爆発や残りかすになるかを地図のようにまとめました。

太陽が最後に残す白色矮星については白色矮星の記事で書いています。

わかっているDavies & Davies(2010年、Solid Earth)[5]

地球の中から地表へ出てくる熱は、全部で約47兆ワット(47±2TW)です。地球の表面1平方メートルあたりにすると約0.09ワットになります(計算)。

どうやって: 世界の3万8347か所で測った地面の熱の流れをまとめ、地質ごとの面積をかけて合計しました。

有力な仮説Abbot & Switzer(2011年、The Astrophysical Journal Letters)[6]

星を持たずにただよう地球のような惑星でも、地熱で氷の下に液体の海を保てるかを計算しました。地球と同じ材料なら、地球の約3.5倍の重さが必要でした。水がずっと多いか、凍った大気の厚い層があれば、地球の0.3倍ほどでも保てるとされました。

どうやって: 地熱、氷と凍った大気が熱を逃がしにくい性質をもとに、表面の氷の下の温度を計算しました。観測ではなくモデルの計算で、地球そのものの未来を予測したものではありません。

03 数字と例えでいうと光と熱がなくなると地球は何度になる?

地球との距離・1年の長さ・重力は変わりませんが、地球の中から出る熱は、ならした太陽の光の約3700分の1しかありません。地面が熱を宇宙へ直接捨てると仮定すると、つり合う温度は約−237℃です(計算)。これは冷え方の下限の目安で、実際に何度になるかは決まっていません。

項目数字身近な例えでいうと
太陽の重さのブラックホールの半径約3km(計算)今の太陽の半径(約69万6000km)[7]の約24万分の1
太陽が消えたと地球が知るまで約8分19秒(計算)光が太陽から地球まで進む時間。それまでは今の光が届き続ける
地球の大気の外に届く太陽の光1平方メートルあたり1361ワット[7]地球全体にならすと約340ワット
地球の中から出る熱1平方メートルあたり約0.09ワット([5]から計算)ならした太陽の光の約3700分の1
地面の温度のつり合い太陽の光だけなら約−19℃[7]、地熱だけなら約−237℃(熱を宇宙へ直接捨てると仮定した下限の目安、計算)太陽の光でのつり合いより約220℃低い

「約8分19秒」は、地球と太陽の平均距離(約1億4960万km)を光の速さで割った値です。重さが変わらないので、その後も地球の軌道は変わりません。

今の地球は、大気の温室効果を除いて太陽の光だけでつり合うと、約−19℃(254K)になる星です[7]。地熱だけでつり合うとすると、地面の温度は約36K(約−237℃)と計算できます。地面が熱を宇宙へ直接捨てると仮定した、冷え方の下限の目安です。大気や氷が熱を逃がしにくくすれば、これより高くなります。星を持たない惑星の話は浮遊惑星の記事にあります。

04 まだわかっていないことこの「もしも」で答えが出ていないのは?

地球がどれくらいの速さで冷えるのか、海がどこまで凍るのかは、確かな答えがありません。星を持たない惑星の計算はあっても、地球そのものを細かく追った研究は見つかりませんでした。

05関連する記事

06よくある質問

太陽がブラックホールになったら地球は吸い込まれる?

吸い込まれません。重力は相手の重さと距離で決まるので、太陽が同じ重さのブラックホールに縮んでも、地球が感じる重力は今と同じです。地球は約1億5000万km離れたまま、同じ1年で回り続けます。NASAの解説も、変わるのは地球の温度だけだと説明しています。

太陽はいつかブラックホールになる?

なりません。観測では、太陽の0.85〜7.5倍の重さで生まれた星は、最後に白色矮星という芯を残しています。太陽もその範囲に入り、赤色巨星になったあと白色矮星になると考えられています。ブラックホールになるのは、ずっと重い星です。

太陽の光がなくなったら地球は何度になる?

地球の中から出る熱は1平方メートルあたり約0.09ワットで、ならした太陽の光の約3700分の1です。この熱だけでつり合い、地面が熱を宇宙へ直接捨てると仮定すると、地面の温度は約36K(約−237℃)と計算できます。これは冷え方の下限の目安で、実際に何度になるか、何年かかるかは、確かな計算が見つかっていません。

太陽が消えたら地球はすぐ気づく?

光が太陽から地球に届くまで約8分19秒かかるので、その間は今の光が届き続けます。太陽が同じ重さのブラックホールになった場合は、重さが変わらないので、地球の軌道はその後も変わりません。

出典

  1. NASA Goddard Space Flight Center. The Anatomy of Black Holes, page 26(Imagine the Universe! 教材). https://imagine.gsfc.nasa.gov/educators/blackholes/imagine/page26.html
  2. Cummings, J. D., Kalirai, J. S., Tremblay, P.-E., Ramirez-Ruiz, E., Choi, J. (2018). The White Dwarf Initial–Final Mass Relation for Progenitor Stars from 0.85 to 7.5 M⊙. The Astrophysical Journal 866, 21. https://doi.org/10.3847/1538-4357/aadfd6
  3. Schröder, K.-P., Smith, R. C. (2008). Distant future of the Sun and Earth revisited. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 386, 155–163. https://doi.org/10.1111/j.1365-2966.2008.13022.x
  4. Heger, A., Fryer, C. L., Woosley, S. E., Langer, N., Hartmann, D. H. (2003). How Massive Single Stars End Their Life. The Astrophysical Journal 591, 288–300. https://doi.org/10.1086/375341
  5. Davies, J. H., Davies, D. R. (2010). Earth's surface heat flux. Solid Earth 1, 5–24. https://doi.org/10.5194/se-1-5-2010
  6. Abbot, D. S., Switzer, E. R. (2011). The Steppenwolf: A Proposal for a Habitable Planet in Interstellar Space. The Astrophysical Journal Letters 735, L27. https://doi.org/10.1088/2041-8205/735/2/L27
  7. NASA NSSDC. Earth Fact Sheet / Sun Fact Sheet(太陽の光の強さ1361W/m²・地球の黒体温度254K・太陽の半径695,700km). https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/earthfact.html