星と銀河

太陽の光は何年前に生まれたのか、中心から表面まで何万年

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太陽観測衛星SDOが撮った太陽
Photo: NASA/SDO/AIA / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

太陽の光は、表面から地球まで約8分19秒で届きます。ところが、そのエネルギーが太陽の中心で生まれてから表面に出てくるまでには、数万年から十数万年かかると見積もられています。一方、同じ中心で生まれるニュートリノという粒は、太陽をほぼ素通りして約8分20秒で地球に届きます。

3行でわかる

  1. 太陽の中心でできた光は、すぐにガスにぶつかって向きを変える。これをくり返すので、外へ出るまでにとても長くかかる。
  2. 見積もりは計算の仕方で変わる。オハイオ州立大学の講義ノートの概算では約3万年、太陽のモデルを使った1992年の研究では約17万年。ESAも約17万年と説明している。
  3. ニュートリノは中心から表面まで約2.3秒で抜け出す。地球で捕まえたニュートリノから、太陽のエネルギーの約99%が水素どうしの核融合で生まれていると確かめられた。

01 わかっていること太陽の光はなぜ中心から出るのに時間がかかる?

太陽の中はガスがとても濃く、光は数ミリ進むごとに吸い込まれては別の向きに出し直されるからです。まっすぐ進めず、酔っぱらいの千鳥足のように少しずつしか外へ広がりません。

太陽の中心では、水素がヘリウムに変わる核融合でエネルギーが生まれます。中心の温度は約1570万度(モデルによる値)で、密度は水の約160倍です[6]。

中心のまわりの「放射層」では、エネルギーは光として運ばれます。ESAによると、光は数ミリ進むたびに吸収されて出し直され、放射層を通り抜けるのに約17万年かかります[4]。でたらめな向きに少しずつ進むこの動きを、ランダムウォークと呼びます。

放射層の外側の深さ約20万kmは「対流層」です[4]。ここでは熱いガスそのものが上下に動いて、エネルギーを表面まで運びます。

注意: 地球に届く光の粒(光子)は、中心で生まれた光子そのものではありません。途中で何度も吸収と放出をくり返すので、「何年前に生まれた光か」は、正確には「何年前に生まれたエネルギーか」という意味です。

02 どうやってわかったのか何万年という数字はどうやって出した?

光の旅の時間は、直接測ったものではなく、太陽の内部のモデルを使った計算です。そのため、計算の前提によって数万年から十数万年まで幅があります。

有力な仮説Mitalas・Sills(1992年、The Astrophysical Journal)[1]

太陽の内部のモデルから、光が1回に進める平均の距離を求め、中心から表面まで広がる時間を約17万年と見積もりました。

どうやって: 太陽の中の温度と密度の分布をもとに、光がガスにぶつかるまでの距離を場所ごとに計算しました。それまでよく使われていた1回あたりの距離は長すぎたため、時間が短く見積もられていたと指摘しています。

有力な仮説オハイオ州立大学の天文学入門講義[5]

講義ノートは、太陽の中の光は約1cm進むごとに原子にぶつかって向きを変えると説明し、中心から表面までのランダムウォークに平均約3万年かかると書いています。まっすぐ進めば2.3秒です。

どうやって: 教室向けの概算で、途中の計算は書かれていません。1回に1cm進むとして「半径の2乗÷(1回の距離×光の速さ)」で計算すると約5000年になり、3万年にはなりません。3万年になるのは、1回に約1.7mm進むとした場合です(どちらも計算)。1回に進む距離が短いほど、かかる時間は大きく伸びます。

わかっているBorexino共同研究(2014年、Nature)[2]

太陽の中心で水素どうしがくっつく反応から出るニュートリノを、初めて直接とらえました。太陽が出すエネルギー(毎秒3.84×10の33乗エルグ)の約99%が、この反応で生まれていることが示されました。

どうやって: イタリアの地下深くの実験施設に置いた、大きなタンクの液体で、ニュートリノがまれにぶつかったときの光をとらえました。ニュートリノは今の中心のようすを、光は長い旅を経たエネルギーを伝えます。

わかっているBorexino共同研究(2020年、Nature)[3]

炭素・窒素・酸素を仲立ちにする別の核融合(CNOサイクル)からのニュートリノも見つけました。この反応が太陽のエネルギーに占める割合は約1%でした。

どうやって: 同じ検出器で、1日に100トンあたり数回しかない小さな信号を、まわりの雑音と見分けました。論文は、ニュートリノは太陽の奥深くを直接調べられるただ一つの手段だと書いています。

03 数字と例えでいうと中心から地球まで、光とニュートリノでどれだけ違う?

ニュートリノは中心から地球まで約8分20秒です。光のエネルギーは、表面に出るまでに約17万年(1992年の見積もり)かかり、その時間は地球までの8分20秒の約100億倍です(計算)。

道のりかかる時間身近な例えでいうと
光が中心から表面までまっすぐ進んだら約2.3秒(半径69万5700km÷光の速さで計算)ニュートリノはほぼこの時間で抜け出す
光のエネルギーが中心から表面まで(簡単な計算)約3万年[5]講義ノートの概算。1回に1cm進むとして計算すると約5000年、1回に約1.7mmなら約3万年(計算)
光のエネルギーが放射層を抜けるまで約17万年[1][4]まっすぐ進む場合の約2兆倍の時間(計算)
表面から地球まで約8分19秒(1億4960万km÷光の速さで計算)今見ている太陽は、約8分前の姿

太陽の半径(69万5700km)と地球までの平均距離(約1億4960万km)はNASAの資料の値です[6]。ニュートリノはほぼ光の速さで進むとして計算しました。

04 まだわかっていないこと光の旅の時間はなぜ1つに決まらない?

光の旅の時間は、太陽の中の密度や光の通りやすさの計算に左右され、直接は測れないため、1つの数字に決まっていません。何を「旅の時間」と数えるかでも答えが変わります。

05関連する記事

06よくある質問

太陽の光は何年前に生まれたの?

地球に届く太陽の光のエネルギーは、中心で生まれてから表面に出るまでに数万年から十数万年かかったと見積もられています。1992年の研究とESAの説明では約17万年です。表面から地球までは約8分19秒です。

太陽の光が地球に届くまで何分かかる?

表面から地球までは約8分19秒です。地球までの平均距離約1億4960万kmを光の速さで割ると計算できます。今見ている太陽は約8分前の姿です。

ニュートリノはなぜ太陽からすぐ出てこられるの?

ニュートリノはほかの物質とほとんどぶつからない粒なので、濃いガスの中もほぼまっすぐ抜けられます。中心から表面まで約2.3秒、地球まで約8分20秒で届くと計算できます。

17万年という数字は確かなの?

直接測った数字ではなく、太陽の内部のモデルを使った計算です。光が1回に進む距離の置き方で、約3万年から約17万年まで見積もりが変わるため、幅のある数字として読むのが正確です。

出典

  1. Mitalas, R., Sills, K. R. (1992). On the photon diffusion time scale for the sun. The Astrophysical Journal 401, 759. https://doi.org/10.1086/172103
  2. Borexino Collaboration (2014). Neutrinos from the primary proton–proton fusion process in the Sun. Nature 512, 383–386. https://doi.org/10.1038/nature13702
  3. Borexino Collaboration (2020). Experimental evidence of neutrinos produced in the CNO fusion cycle in the Sun. Nature 587, 577–582. https://doi.org/10.1038/s41586-020-2934-0
  4. ESA (2019). Anatomy of our Sun. https://www.esa.int/ESA_Multimedia/Images/2019/10/Anatomy_of_our_Sun
  5. Weinberg, D. H. Lecture 7: Principles of Stellar Structure(オハイオ州立大学の天文学入門講義ノート). https://www.astronomy.ohio-state.edu/weinberg.21/Intro/lec7.html
  6. NASA Goddard Space Flight Center. Sun Fact Sheet. https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/sunfact.html