星座と星空

惑星は肉眼で見えるのか、星と惑星の見分け方

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夕方の空に並ぶ月・金星・木星
Photo: nanamori / CC BY 3.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

夕方の空に、ほかの星より先に光りだす「一番星」。それは恒星ではなく、金星や木星のこともあります。国立天文台も、金星や木星はとても明るく見えることがあると説明しています。肉眼で見える惑星はどれか、星とどう見分けるのかを、論文と公式の情報で確かめます。

3行でわかる

  1. 肉眼で見やすい惑星は、水星・金星・火星・木星・土星の5つ。天王星は肉眼で見える限界の6等級前後で、とても暗い空でないと難しい。海王星は肉眼では見えない明るさ。
  2. 見分けるコツは、明るさ(金星と木星は、夜空でいちばん明るい恒星シリウスより明るい)、星座の中を少しずつ動くこと、またたきが少ないことの3つ。
  3. 惑星がまたたきにくいのは、小さな円盤として見えて空気のゆらぎがならされるため。地平線の近くでは惑星もまたたくことがあるので、「またたかない=惑星」は傾向として使うとよい。

01 わかっていること肉眼で見える惑星はどれ?

肉眼で見やすいのは、水星・金星・火星・木星・土星の5つです。天王星は平均約5.7等で肉眼の限界の6等級に近く、海王星は約7.7〜8等で肉眼では見えません。

MallamaとHilton(2018年)は、50年以上の期間について惑星の明るさを計算し、それぞれの平均やいちばん明るいとき・暗いときをまとめました[1]。金星・木星・火星・土星・水星は、平均すると1等星と同じかそれより明るく見えます[1]。

明るさを表す「等級」は、数字が小さいほど明るく、1等級ちがうと明るさは約2.5倍ちがいます。くわしくは等級のしくみの記事で紹介しています。

水星は太陽のすぐ近くにいるので、日の入り直後か日の出前の低い空でしか見られず、見つけにくい惑星です[6]。惑星は星座をつくる恒星の間を移動するので、星座早見盤には描かれていません[5]。

惑星の見える場所や時間は、月ごとに変わります。見る前に、国立天文台の「ほしぞら情報」でその月の惑星を確かめるのが確実です[6]。例として、2026年10月(この記事を書いた時点)の東京の夜空の惑星は次のとおりです[6]。

02 どうやってわかったのか星と惑星はどうやって見分けるの?

明るさ、動き、またたき方の3つで見分けられます。決め手になるのは動きで、数日から数週間おきに見比べると、惑星は星座の中で位置が少しずつ変わっていきます。

わかっているMallamaとHilton(2018年、Astronomy and Computing)[1]

金星は最も明るいとき−4.92等で、ほかのどの惑星よりも約2等級明るくなります。木星は−2.94〜−1.66等、火星は−2.94〜+1.86等と、火星は時期によって明るさが大きく変わります。

どうやって: 1950年代からの観測をもとに惑星の明るさの式を作り直し、少なくとも50年分の明るさを計算して統計をとりました。天体暦『The Astronomical Almanac』で使うための式です。

わかっているNASA(Imagine the Universe!)[3]

恒星はとても遠いので、点のような光に見えます。惑星も肉眼では点に見えますが、実際の見かけの大きさは大気のゆらぎの大きさより大きいので、ゆらぎの効果がならされて、落ち着いて見えます。

どうやって: NASAの天文学者が、読者の「なぜ星はまたたき、惑星はまたたかないのか」という質問に答えた解説です。

わかっているOsbornら(2015年、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)[2]

星の光のちらつき(シンチレーション)は、真上から離れて地平線に近づくほど強くなります。よく使われる近似の式では、ちらつきの分散(明るさのゆれの大きさを2乗した量)が、真上からの角度の余弦(cos)の3乗に反比例して大きくなります。

どうやって: 大きな天文台での大気のゆらぎの測定と、望遠鏡での星の明るさの測定を比べた研究です。肉眼での見え方を直接調べたものではありません。

わかっている国立天文台[4]

明るい光がほとんど動かず、数分から数十分見え続けるなら惑星かもしれません。星の間をゆっくり動く光の点は、たいてい人工衛星です。

どうやって: 「明るい光を見たが何だったのか」という質問への国立天文台の回答です。動く光の点については国際宇宙ステーションが見える記事も参考になります。

03 数字と例えでいうと惑星はどれくらい明るく、大きく見えるの?

金星は最も明るいとき、夜空でいちばん明るい恒星シリウスの約25倍明るく見えます(計算)。木星は最も暗いときでもシリウスより明るい一方、見かけの大きさは最大でも満月の約38分の1です。

惑星明るさ(等級)見かけの直径例えでいうと
金星−4.92〜−2.98(平均−4.14)[1]9.7〜66.1秒角[7]最も明るいとき、シリウス(−1.44等[8])の約25倍(計算)
木星−2.94〜−1.66(平均−2.20)[1]30.5〜50.1秒角[7]最も暗いときでもシリウスの約1.2倍明るい(計算)
火星−2.94〜+1.86(平均+0.71)[1]3.5〜25.6秒角[7]明るい時期と暗い時期で、明るさが約83倍ちがう(計算)
土星−0.55〜+1.17(平均+0.46)[1]14.5〜19.9秒角(本体)[7]平均すると明るい1等星と同じくらい
水星平均+0.23[1]4.5〜13.0秒角[7]明るいが、太陽のそばの低い空にしか見えない
天王星5.38〜6.03(平均5.68)[1]3.3〜4.1秒角[7]肉眼の限界の6等級前後
海王星7.67〜8.00(平均7.78)[1]—肉眼では見えず、双眼鏡や望遠鏡が必要

1等級の差は約2.512倍として計算しました。たとえば金星とシリウスの差は3.48等級なので、2.512を3.48回かけて約25倍です。月の見かけの直径は平均約1896秒角なので[9]、最も大きく見えるときの木星(50.1秒角)でも約38分の1、金星(66.1秒角)でも約29分の1です(計算)。

Osbornらの近似の式で計算すると、高さ30度(真上から60度)の星のちらつきは、分散で真上の約8倍、明るさのゆれの大きさ(標準偏差)で約2.8倍です。高さ20度では、分散で約25倍、標準偏差で約5倍になります(計算)。これは望遠鏡で測るちらつきの式で、肉眼の見え方をそのまま表すものではありませんが、低い空ほど光がゆれやすいことを示しています[2]。

見分けるためのチェック: (1) まわりの星よりずっと明るいか。(2) 数日おきに同じ時刻に見て、近くの星との位置が変わっているか。(3) 空の高いところで、ちらちらせず落ち着いて光っているか。3つとも当てはまれば、惑星の可能性が高くなります。国立天文台の「ほしぞら情報」で、その月の惑星の位置と照らし合わせると確かめられます[5]。

04 まだわかっていないこと惑星の見え方について、まだわからないことは?

「惑星はまたたかない」は大気のゆらぎで説明されていますが、肉眼でどれくらい違って見えるかを数字で比べた研究は、今回確かめた範囲では見つかりませんでした。惑星の明るさの式にも、観測のない条件で推定に頼る部分が残っています。

05関連する記事

06よくある質問

肉眼で見える惑星はいくつ?

肉眼で見やすいのは、水星・金星・火星・木星・土星の5つです。天王星は肉眼で見える限界の6等級前後で、とても暗い空でないと難しく、海王星は約7.7〜8等で肉眼では見えません。

惑星は本当にまたたかないの?

空の高いところでは、恒星よりまたたきにくく、落ち着いて見えます。惑星は小さな円盤として見えるので、大気のゆらぎがならされるためです。ただし地平線の近くでは光が通る空気が厚くなり、惑星もまたたいて見えることがあります。

一番星は惑星なの?

金星や木星のことがあります。金星は最も明るいとき−4.92等で、夜空でいちばん明るい恒星シリウスの約25倍明るく見えます(計算)。夕方の西の空でひときわ明るい光は、金星であることがあります。

2026年10月に見える惑星は?

国立天文台の星空情報では、土星がほぼ一晩中、木星が明け方の東から南東の空、火星が真夜中ごろに昇ってから見られます。水星と金星は太陽に近く、観察が難しい時期です。惑星の位置は月ごとに変わるので、ほかの月は国立天文台の「ほしぞら情報」で確かめてください。

星と惑星を見分けるいちばん確かな方法は?

数日おきに同じ時刻に見て、近くの星との位置が変わるかを確かめる方法です。惑星は星座の中を少しずつ動きます。国立天文台の「ほしぞら情報」でその月の惑星の位置と照らし合わせると、さらに確かになります。

出典

  1. Mallama, A., Hilton, J. L. (2018). Computing apparent planetary magnitudes for The Astronomical Almanac. Astronomy and Computing 25, 10–24. https://doi.org/10.1016/j.ascom.2018.08.002
  2. Osborn, J., Föhring, D., Dhillon, V. S., Wilson, R. W. (2015). Atmospheric scintillation in astronomical photometry. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 452, 1707–1716. https://doi.org/10.1093/mnras/stv1400
  3. NASA Goddard. Ask an Astrophysicist: Why do the stars appear to twinkle while the planets don’t? Imagine the Universe! https://imagine.gsfc.nasa.gov/ask_astro/night_sky.html
  4. 国立天文台. 明るい光を見たのですが、なんだったのでしょう? よくある質問. https://www.nao.ac.jp/faq/a1003.html
  5. 国立天文台. 惑星がどこに見えるのかはどうすればわかるの? よくある質問. https://www.nao.ac.jp/faq/a0503.html
  6. 国立天文台 (2026). 東京の星空・カレンダー・惑星(2026年10月). ほしぞら情報. https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2026/10.html
  7. NASA NSSDCA. Planetary Fact Sheets(Mercury / Venus / Mars / Jupiter / Saturn / Uranus). https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/
  8. ESA (1997). The Hipparcos and Tycho Catalogues(カタログ I/239、VizieR). https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR?-source=I/239
  9. NASA NSSDCA. Moon Fact Sheet. https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/moonfact.html