宇宙探査

宇宙飛行士はどうやって寝るのか、無重力の眠りでわかったこと

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宇宙ステーション「スカイラブ」で眠る宇宙飛行士(1973年)
Photo: NASA / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

国際宇宙ステーション(ISS)では、1日に16回も日が昇ります。上も下もない場所で、宇宙飛行士はどうやって眠っているのでしょうか。寝袋と小さな個室で眠ることはわかっていますが、研究で測ると、睡眠は平均で約6時間と短めでした。

3行でわかる

  1. ISSでは、壁に固定した寝袋に入り、音をさえぎる小さな個室で眠る。息のこもりを防ぐため換気が欠かせない。
  2. 85人の宇宙飛行士を調べた研究では、宇宙での睡眠は平均約6時間。予定の8.5時間より2時間以上短かった。
  3. ISSは約90分で地球を1周し、1日に16回の日の出がある。体内時計がずれると、さらに眠れなくなる。

01 わかっていること宇宙飛行士はどこでどうやって寝る?

ISSの宇宙飛行士は、壁や天井に固定した寝袋に入って眠ります。多くは自分専用の小さな個室を使い、ISSには寝る場所が6つあります。無重力なので、立ったままでも横向きでも寝心地は同じです。

個室は音をさえぎる小さなブースで、読書灯や物入れがあります[5]。寝袋を固定するのは、眠っている間にただよって機械にぶつからないためです。眠り以外の体の変化は宇宙に長くいると体はどうなるのかにまとめています。

換気も大切です。無重力では温かい空気が上へ動かないので、吐いた息の二酸化炭素が顔のまわりにたまることがあります[5]。NASAの資料によると、ISSの中は18〜27度、湿度30〜65%に保たれています[6]。

寝るときに「落ちていく感じ」がする人もいます。NASAの資料には、寝袋をハンモックのようにぴんと張り、体をベルトで押さえると落ち着いて眠れたという飛行士の声が載っています[6]。

02 どうやってわかったのか宇宙ではよく眠れるの?

あまり眠れていません。手首に付けた記録計で85人を調べた研究では、宇宙での睡眠は平均約6時間でした。体内時計のずれ、騒音、仕事の予定が理由に挙がっています。

わかっているBarger ら(2014年、The Lancet Neurology)[1]

スペースシャトルでの睡眠は平均5.96時間、ISSでは6.09時間でした。NASAは1晩8.5時間の睡眠を予定していましたが、2時間以上足りていませんでした。

どうやって: シャトルの64人とISSの21人の手首に記録計を付け、ISSだけで3248日分を集めました。打ち上げ3か月前の訓練中も平均6.29時間と短く、帰還後1週間で6.74時間に戻りました。ISSの乗組員の約4分の3は、少なくとも1回は睡眠薬を使ったと報告しています[4]。

わかっているFlynn-Evans ら(2016年、npj Microgravity)[2]

体内時計とずれた時間に寝た夜は、睡眠が平均5.4時間でした。ずれていない夜の6.4時間より、約1時間短くなりました。

どうやって: ISSの21人の動きと浴びた光を記録し、体内時計の位置を計算で推定しました。宇宙では、寝た時間の19%が体内時計とずれていました。

有力な仮説Dijk ら(2001年、American Journal of Physiology)[3]

シャトルの中は昼でもとても暗く、明るさは5.0〜79.4ルクスでした。睡眠は1日約6.5時間で、夜の後半に深い眠りが減っていました。

どうやって: 5人の脳波や体温を測りました。睡眠ホルモンのメラトニン(0.3mg)を飲んでも、睡眠は良くなりませんでした。対象は5人だけなので、結果は慎重に見る必要があります。

03 数字と例えでいうと宇宙の1日は何がちがう?

ISSは約90分で地球を1周するので、45分ごとに昼と夜が入れ替わる計算です。予定より1晩2.4時間短い睡眠は、1週間で約17時間の不足になります(計算)。

項目値身近な例えでいうと
1日の日の出の回数16回[7]約90分ごとに日が昇る。授業2コマ分ほどで「1日」が終わる
予定の睡眠と実際8.5時間に対して6.09時間[4]1晩約2.4時間、1週間で約17時間足りない(計算)
体内時計がずれた夜5.4時間(ずれない夜は6.4時間)[2]時差ぼけの中で眠るのに近い
寝る場所の数6つ[7]1人用の小さな個室が中心
睡眠薬を使ったことがある人ISSで約4分の3[4]4人に3人。ただし眠る時間そのものは長くならなかった[6]

ISSが約90分で1周する様子は、地上から肉眼でも見られます(国際宇宙ステーションは肉眼で見えるのか)。NASAの資料によると、睡眠薬を使うと寝つくまでが約8.5分早くなりましたが、合計の睡眠時間は変わりませんでした[6]。

04 まだわかっていないこと宇宙の眠りで、まだ謎なのは何?

無重力そのものが眠りの質を変えるのか、火星へ行くような何年もの旅でどう眠ればよいのかは、まだわかっていません。

05関連する記事

06よくある質問

宇宙飛行士はどうやって寝るの?

国際宇宙ステーションでは、壁や天井に固定した寝袋に入り、音をさえぎる小さな個室で眠ります。無重力なので向きは関係ありません。吐いた息が顔のまわりにたまらないよう、換気が欠かせません。

宇宙飛行士は何時間くらい寝ている?

85人を調べたBargerら(2014年)の研究では、平均でシャトル5.96時間、国際宇宙ステーション6.09時間でした。NASAが予定していた8.5時間より、2時間以上短くなっていました。

宇宙ではなぜ眠りにくいの?

国際宇宙ステーションは約90分で地球を1周し、1日に16回日が昇るため、体内時計がずれやすいからです。体内時計とずれた夜の睡眠は平均5.4時間で、ずれていない夜より約1時間短くなりました。騒音や仕事の予定も影響します。

宇宙飛行士は睡眠薬を使うの?

使う人は多いです。国際宇宙ステーションの乗組員の約4分の3が、少なくとも1回は使ったと報告しました。NASAの資料では、寝つきは約8.5分早くなりましたが、合計の睡眠時間は変わりませんでした。

出典

  1. Barger, L. K., Flynn-Evans, E. E., Kubey, A., Walsh, L., et al. (2014). Prevalence of sleep deficiency and use of hypnotic drugs in astronauts before, during, and after spaceflight: an observational study. The Lancet Neurology 13, 904–912. https://doi.org/10.1016/S1474-4422(14)70122-X
  2. Flynn-Evans, E. E., Barger, L. K., Kubey, A. A., Sullivan, J. P., Czeisler, C. A. (2016). Circadian misalignment affects sleep and medication use before and during spaceflight. npj Microgravity 2, 15019. https://doi.org/10.1038/npjmgrav.2015.19
  3. Dijk, D.-J., Neri, D. F., Wyatt, J. K., Ronda, J. M., et al. (2001). Sleep, performance, circadian rhythms, and light-dark cycles during two space shuttle flights. American Journal of Physiology - Regulatory, Integrative and Comparative Physiology 281, R1647–R1664. https://doi.org/10.1152/ajpregu.2001.281.5.R1647
  4. Brigham and Women's Hospital(ScienceDaily 掲載, 2014). Sleep deficiency and sleep medication use in astronauts. https://www.sciencedaily.com/releases/2014/08/140807215803.htm
  5. ESA Kids. Sleeping in space. https://kids.esa.int/kids/en/learn/Life_in_Space/Living_in_space/Sleeping_in_space
  6. NASA Office of the Chief Health and Medical Officer (2021). NASA-STD-3001 Technical Brief: Sleep Accommodations. https://www.nasa.gov/wp-content/uploads/2023/03/sleep-accomodations-technical-brief-ochmo.pdf
  7. NASA. Space Station Facts and Figures. https://www.nasa.gov/international-space-station/space-station-facts-and-figures/