中性子星とは何か、小さじ1杯で10億トンを超える星

小さじ1杯(5ミリリットル)で約15億トン。中性子星は、それほど重い物でできた星です。太陽より重いものが、直径25キロほどの球に詰まっています。1967年に偶然見つかってから重さと大きさが少しずつ測られてきましたが、中心がどうなっているかは、まだわかっていません。
3行でわかる
- 中性子星は、重い星が一生の最後に爆発したあと、残った芯が自分の重さでつぶれてできる星。ほとんどが中性子という粒でできている。
- NICERの観測では、ある中性子星は太陽の約1.34倍の重さで、半径は約12.7km。ここから計算すると、小さじ1杯で約15億トンになる。
- 見つかった中でいちばん重いものは太陽の約2倍。どこまで重くなれるのか、中心の物質がどんな状態なのかは、まだわかっていない。
01 わかっていること中性子星とはどんな星?
中性子星は、重い星の芯が自分の重さでつぶれてできた、とても小さく重い星です。太陽より重いものが、直径20数キロの球に詰まっています。
重い星は一生の最後に、超新星爆発(星が自分の重さを支えきれずに起こす大爆発)を起こします。このとき星の芯はつぶれます。NASAによると、つぶれる芯の重さが太陽の約1〜3倍なら中性子星になります[7]。それより重いと、つぶれ続けてブラックホールになります。
つぶれるときに、原子の中の陽子と電子が押しつぶされて合わさり、中性子になります[7]。中性子は電気を持たない粒です。星はほとんど中性子だけになり、中性子どうしが押し返す力で、それ以上つぶれずに止まります。
中性子星の多くは速く回り、地球の何兆倍も強い磁場を持っています[7]。回りながら灯台のように電波を出し、地球からは点滅して見えるものを、パルサーと呼びます。
02 どうやってわかったのか中性子星はどうやって見つけて、重さを量ったの?
中性子星は1967年、規則正しく点滅する電波として見つかりました。重さは電波が届く時間のわずかな遅れから、大きさは表面から出るX線の見え方から測られています。
わかっているHewishら(1968年、Nature)[1][8]
約1.337秒ごとに、同じ空の場所から規則正しく届く電波が見つかりました。大学院生のジョセリン・ベルが1967年8月に気づいた信号です。今では、回る中性子星(パルサー)の電波だとわかっています。
どうやって: 英国ケンブリッジ大学の電波望遠鏡で、空の電波を記録していて見つけました。あまりに規則正しいので、当初は冗談で「LGM-1(小さな緑の人)」と呼ばれました。
わかっているDemorestら(2010年、Nature)[2]
パルサー J1614-2230 の重さは、太陽の1.97倍(誤差±0.04)でした。当時、これほど確かに測られた中性子星の中で、いちばん重いものでした。
どうやって: パルサーの電波が、ペアの星のそばを通るとき、重力でほんの少し遅れて届きます(シャピロ遅延)。その遅れから重さを計算しました。
わかっているFonsecaら(2021年、The Astrophysical Journal Letters)[3]
パルサー J0740+6620 の重さは、太陽の約2.08倍(誤差±0.07)でした。2019年に発表された約2.14倍という値を、追加の観測で更新したものです。
どうやって: 同じくシャピロ遅延を使い、米国のグリーンバンク望遠鏡とカナダのCHIME望遠鏡で、電波が届く時刻を積み重ねて測りました。
わかっているRileyら(2019年、The Astrophysical Journal Letters)[4]
パルサー J0030+0451 は、重さが太陽の約1.34倍、赤道の半径が約12.7kmでした。中性子星の重さと大きさを、同じ星で同時に測った例です。
どうやって: NASAのX線望遠鏡NICERで、表面の熱い場所から出るX線が、回転で見え隠れする様子を測りました。熱い場所の形などを仮定した計算で、半径には約±1.2kmの幅があります。
わかっているLIGOとVirgoの共同研究(2017年、Physical Review Letters)[5]
2017年8月17日、2つの中性子星がぶつかって合体するときの重力波(空間のゆがみが波として伝わるもの)を、初めてとらえました。2つの重さの合計は太陽の約2.74倍、距離は約1億3000万光年でした。
どうやって: 米国と欧州の重力波望遠鏡で検出しました。合体の1.7秒後には、別の衛星がガンマ線の爆発をとらえ、中性子星の合体だという見方を裏づけました。
03 数字と例えでいうと中性子星はどれくらい重くて小さいの?
J0030+0451 の重さと半径で計算すると、中性子星の平均の密度は1立方センチあたり約3億トンです。小さじ1杯(5ミリリットル)なら約15億トンになります。
| 項目 | 値 | 身近な例えでいうと |
|---|---|---|
| 重さ(J0030+0451) | 太陽の約1.34倍[4] | 地球約45万個分(計算) |
| 半径(同じ星) | 約12.7km[4] | 直径は約25km。フルマラソン(42.195km)より短い |
| 平均の密度 | 1立方センチあたり約3億トン(計算) | 角砂糖1個ほどの大きさで約3億トン |
| 小さじ1杯(5ミリリットル) | 約15億トン(計算) | 世界の人全員(80億人、1人60kgとして)の体重の合計の約3倍 |
| いちばん速い回転 | 1秒に716回[6] | 1分に約4万3000回 |
| 確かに測られた中でいちばん重い | 太陽の約2.08倍[3] | 太陽2個分より少し重い |
密度は、星全体を同じ密度とみなした平均で計算しました。実際は中心ほど密度が高くなります。NASAは、中性子星の物質は角砂糖1個分で約1兆キログラム(10億トン)と説明しています[7]。
04 まだわかっていないこと中性子星の中心はどうなっているの?
中性子星の中心で物質がどんな状態になっているかは、まだわかっていません。中性子星が最大でどこまで重くなれるかも、決着していません。
- 中心の物質はどんな状態なのか中性子がさらに押しつぶされ、別の種類の粒(ハイペロンやクォーク)が現れるという説があります。太陽の約2倍の重さの中性子星が見つかったことで、原子核ほどの密度ではそうした粒はないと考えられるようになりました[2]。それより高い中心の密度でどうなるかは、まだ議論が続いています。
- どこまで重くなれるのか確かに測られた中でいちばん重いのは、太陽の約2倍です[3]。どの重さを超えるとブラックホールになるのかは、中の物質の性質がわからないため、はっきり決まっていません。
- 大きさの正確な値NICERの測定でも、半径には約±1.2kmの幅があります[4]。重さと大きさの組み合わせを多くの星で測ることが、中心の謎を解く手がかりになります。
05関連する記事
06よくある質問
中性子星はスプーン1杯でどれくらいの重さ?
J0030+0451という中性子星の重さ(太陽の約1.34倍)と半径(約12.7km)から平均の密度を計算すると、小さじ1杯(5ミリリットル)で約15億トンです。中心ほど密度が高く、NASAは角砂糖1個分で約10億トンと説明しています。
中性子星とブラックホールの違いは?
どちらも重い星の芯がつぶれてできます。NASAによると、芯の重さが太陽の約1〜3倍なら中性子星になり、表面があって光やX線を出します。それより重いとつぶれ続け、光も出られないブラックホールになります。
パルサーとは何?
パルサーは、速く回りながら灯台のように電波などを出す中性子星です。1967年に約1.337秒ごとに点滅する電波として初めて見つかりました。知られている中で最も速いものは1秒に716回転しています。
中性子星はどれくらいの大きさ?
NASAのNICER望遠鏡の観測では、J0030+0451という中性子星の半径は約12.7kmでした。直径にすると約25kmで、太陽より重いものがフルマラソンの距離より小さい球に詰まっています。
出典
- Hewish, A., Bell, S. J., Pilkington, J. D. H., Scott, P. F., Collins, R. A. (1968). Observation of a Rapidly Pulsating Radio Source. Nature 217, 709–713. https://doi.org/10.1038/217709a0
- Demorest, P. B., Pennucci, T., Ransom, S. M., Roberts, M. S. E., Hessels, J. W. T. (2010). A two-solar-mass neutron star measured using Shapiro delay. Nature 467, 1081–1083. https://doi.org/10.1038/nature09466
- Fonseca, E., Cromartie, H. T., Pennucci, T. T., et al. (2021). Refined Mass and Geometric Measurements of the High-mass PSR J0740+6620. The Astrophysical Journal Letters 915, L12. https://doi.org/10.3847/2041-8213/ac03b8
- Riley, T. E., Watts, A. L., Bogdanov, S., Ray, P. S., et al. (2019). A NICER View of PSR J0030+0451: Millisecond Pulsar Parameter Estimation. The Astrophysical Journal Letters 887, L21. https://doi.org/10.3847/2041-8213/ab481c
- Abbott, B. P., et al. (LIGO Scientific Collaboration and Virgo Collaboration) (2017). GW170817: Observation of Gravitational Waves from a Binary Neutron Star Inspiral. Physical Review Letters 119, 161101. https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.119.161101
- Hessels, J. W. T., Ransom, S. M., Stairs, I. H., Freire, P. C. C., et al. (2006). A Radio Pulsar Spinning at 716 Hz. Science 311, 1901–1904. https://doi.org/10.1126/science.1123430
- NASA Imagine the Universe. Neutron Stars. https://imagine.gsfc.nasa.gov/science/objects/neutron_stars1.html
- NRAO(米国国立電波天文台). Tick Tock, Pulsating Star. https://public.nrao.edu/tick-tock-pulsating-star/


