星座と星空

1等星と6等星はどれくらい明るさが違うのか、等級のしくみ

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アルマ望遠鏡の上に広がる星空
Photo: ESO/B. Tafreshi (twanight.org) / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

1等星は、6等星のちょうど100倍明るい星です。この「5等級で100倍」という決まりは、1856年にイギリスの天文学者ポグソンが、計算しやすい数として選んだものでした。等級のしくみと、肉眼で見える星の数を、論文とカタログで確かめます。

3行でわかる

  1. 等級は数字が小さいほど明るい。5等級の差がちょうど100倍で、1等級の差は約2.512倍。1等星と6等星の差は100倍になる。
  2. 1856年、ポグソンは観測者によって2.4倍や2.83倍とばらついていた比を見比べ、計算に便利な2.512倍を選んだ。これが今の等級のもとになった。
  3. ヒッパルコス衛星のカタログで数えると、全天で6.5等より明るい星は約8900個、6.0等までなら約5000個。ただし日本では人口の約7割が天の川の見えない明るい空の下に住んでいる。

01 わかっていること1等星と6等星は、どれくらい明るさが違うの?

1等星は6等星の100倍明るく見えます。等級は5違うと明るさがちょうど100倍違い、1違うと約2.512倍違う決まりです。数字が小さいほど明るく、とても明るい星はマイナスの等級になります。

国際天文学連合(IAU)の教育用の用語集では、等級は「天体がどれだけ明るく見えるかの目安」で、昔の人が星を明るい順にランク付けしたことから始まったと説明されています[2]。今は、5等級の差が明るさ100倍にあたる、決まった目盛りになっています[2]。

この目盛りは対数(かけ算を足し算に直した目盛り)です。1等級ごとに約2.512倍なので、2.512を5回かけるとちょうど100になります。明るさが2倍、3倍と増えても、等級は少しずつしか変わりません。

02 どうやってわかったのか「5等級で100倍」は、誰がどうやって決めたの?

1856年、イギリスのポグソンが、それまでの観測者の星の等級が約2.4〜2.5倍の比におおむねそろっていることを確かめ、計算に便利な2.512倍を選びました。これが今の決まりのもとです。

わかっているPogson(1856年、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)[1]

ポグソンは、8等星は9等星の2.512倍の光を持つとする比を使いました。ほかの研究者の比は、ドーズが4倍、ジョンソンが2.43倍、シュタインハイルが2.83倍、シュタンプファーが2.519倍と分かれていました。ポグソン自身の測定は平均2.4倍で、計算に便利な2.512倍を選んだと書いています。

どうやって: 望遠鏡の口をしぼり、星が見えなくなるときの口の大きさを、等級の違う星どうしで比べました。昔の大きな星表の等級と照らし合わせ、観測者ごとの比を求めています。

わかっているFalchiら(2016年、Science Advances)[4]

世界の人の80%以上、アメリカとヨーロッパの人の99%以上が、人工の光で明るくなった空の下に住んでいます。人類の3分の1以上は天の川が見えません。国別の表では、日本の人口の70.4%が、天の川が見えなくなるほど明るい空の下に住んでいます。

どうやって: 人工衛星が測った地上の明かりのデータと、地上で測った空の明るさをもとに、光が大気で散らばるようすを計算して、世界の夜空の明るさの地図を作りました。

わかっているKybaら(2023年、Science)[5]

2011〜2022年に世界の市民が報告した5万1351件の観察から、見える星の数が減っていることがわかりました。その減り方は、夜空が1年に7〜10%ずつ明るくなっていると考えると説明できます。

どうやって: 世界の市民が「肉眼でどこまで暗い星が見えたか」を報告した観察(市民科学)を集め、見える星の変化から空の明るさの変化を見積もりました。

03 数字と例えでいうと肉眼で見える星はいくつあるの?

ヒッパルコス衛星のカタログで数えると、全天で6.5等より明るい星は8870個、6.0等までなら5041個です。日本から見える範囲で、空の暗い場所ならおよそ7900個が対象になります。

等級の差明るさの比(計算)身近な例えでいうと
1等級約2.512倍ベガ(0.03等)とポラリス(1.97等)は約2等級差で、ベガが約6倍明るい[3]
5等級100倍1等星1つの光は、6等星100個分
7.44等級約950倍夜空でいちばん明るい恒星シリウス(-1.44等)と6.0等星の差[3]
10等級1万倍100倍を2回かけた差
明るさ(V等級)全天の星の数日本(北緯35.7度)から見える範囲
1.5等より明るい23個17個
2.5等より明るい93個79個
3.5等より明るい288個249個
4.5等より明るい919個802個
5.5等より明るい2848個2519個
6.0等より明るい5041個4467個
6.5等より明るい8870個7861個

数え方: ヒッパルコス衛星のカタログ(1997年)[3]のV等級を数えました。日本から見える範囲は、東京の緯度で一度でも地平線より上に出る星(赤緯-54.3度より北)としています。二重星はカタログのとおり別々に数えたので、数え方で数十〜数百個変わります。

よく聞く「肉眼で見える星は約8600個」は、6等星を6.5等くらいまで含めた数に近いことがわかります。ただし、一度に地平線より上にあるのはそのおよそ半分です。地平線近くの星は空気で暗くなり、町明かりがあればさらに減ります。

04 まだわかっていないこと何等星まで見えるかは、決まっているの?

決まっていません。見える限界の等級は、その人の目と空の明るさで変わり、正確に予測する式はまだ改良が続いています。夜空がなぜ人工衛星の測定より速く明るくなっているのかも、確かめている途中です。

05関連する記事

06よくある質問

1等星は6等星の何倍明るいの?

ちょうど100倍明るく見えます。等級は5違うと明るさが100倍違う決まりで、1等星と6等星は5等級の差です。1等級の差は約2.512倍です。

等級の数字が小さいほど明るいの?

はい。数字が小さいほど明るく、とても明るい星はマイナスになります。たとえば夜空でいちばん明るい恒星シリウスは、ヒッパルコス衛星のカタログで-1.44等です。

肉眼で見える星はいくつあるの?

ヒッパルコス衛星のカタログで数えると、全天で6.5等より明るい星は8870個、6.0等までなら5041個です。一度に地平線より上にあるのはそのおよそ半分で、町明かりがあればさらに減ります。

なぜ都会では星が少ししか見えないの?

人工の光で夜空が明るくなり、暗い星が空の明るさに埋もれるからです。2016年の研究では、日本の人口の70.4%が天の川の見えない明るい空の下に住んでいると見積もられました。

出典

  1. Pogson, N. (1856). Magnitudes of Thirty-six of the Minor Planets for the First Day of each Month of the Year 1857. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 17, 12–15. https://doi.org/10.1093/mnras/17.1.12
  2. IAU Office of Astronomy for Education. Glossary: Magnitude. https://astro4edu.org/resources/glossary/term/185/
  3. ESA (1997). The Hipparcos and Tycho Catalogues(カタログ I/239、VizieR). https://vizier.cds.unistra.fr/viz-bin/VizieR?-source=I/239
  4. Falchi, F., Cinzano, P., Duriscoe, D., Kyba, C. C. M., Elvidge, C. D., Baugh, K., et al. (2016). The new world atlas of artificial night sky brightness. Science Advances 2, e1600377. https://doi.org/10.1126/sciadv.1600377
  5. Kyba, C. C. M., Altıntaş, Y. Ö., Walker, C. E., Newhouse, M. (2023). Citizen scientists report global rapid reductions in the visibility of stars from 2011 to 2022. Science 379, 265–268. https://doi.org/10.1126/science.abq7781
  6. Crumey, A. (2014). Human contrast threshold and astronomical visibility. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 442, 2600–2619. https://doi.org/10.1093/mnras/stu992