最初の系外惑星はどう見つかったのか、パルサーのまわりと51ペガスス座b

「最初の系外惑星(太陽系の外の惑星)はどれ?」の答えは、1つではありません。1992年には、死んだ星の芯であるパルサーのまわりで見つかりました。1995年には、太陽に似た星のまわりで見つかりました。その前には、取り消された発見や、30年後に惑星ではないとわかった候補もありました。
3行でわかる
- 1992年、ウォルシュチャンとフレイルは、パルサーPSR1257+12から届く電波の時刻のずれから、地球の数倍の重さの惑星を2つ見つけた。確かめられた最初の系外惑星だ。
- 1995年10月6日、マイヨールとケロッツは、太陽に似た星ペガスス座51番星を約4.2日で回る、木星くらいの重さの惑星を発表した。別のチームがすぐに確かめ、2019年のノーベル物理学賞につながった。
- 1991年のパルサー惑星は翌年に取り消された。1989年の候補HD 114762 bは、2019年に惑星ではないとわかった。逆に、1992年に可能性が指摘されたケフェウス座γ星の惑星は、2003年に確かめられた。
01 わかっていること最初の系外惑星はどれなの?
確かめられた最初の系外惑星は、1992年に発表されたパルサーPSR1257+12の惑星です。太陽に似た星のまわりでは、1995年のペガスス座51番星bが最初です。
パルサーは、重い星が超新星爆発をした後に残る、高速で回る中性子星です。パルサーの発見の記事にあるとおり、灯台のように規則正しく電波を届けます。その時計のような正確さが、惑星を見つける手がかりになりました。
ただ、パルサーは太陽とはまったく違う星です。ノーベル賞の選考委員会の資料は、パルサーの惑星は超新星爆発の後にできた可能性があり、太陽のような星の惑星のでき方を表すものではないとしています[7]。
そのため、太陽に似た星の惑星は別の「最初」として扱われます。2019年のノーベル物理学賞は、マイヨールとケロッツの「太陽に似た星を回る系外惑星の発見」に贈られました[7]。
02 どうやってわかったのか見えない惑星をどうやって見つけたの?
惑星そのものは見えません。惑星に引っぱられて星がわずかに揺れる様子を、パルサーでは電波の届く時刻のずれから、太陽に似た星では光の色のずれから測りました。
わかっているBailes, Lyne, Shemar(1991年、Nature)/Lyne & Bailes(1992年、Nature)[1][2]
1991年、パルサーPSR1829-10に地球の約10倍の重さの惑星があり、約半年で1周していると発表されました。しかし翌1992年1月、同じ研究者が「PSR1829-10を回る惑星はない」とNatureで取り下げました。
どうやって: パルスの届く時刻が半年ごとに規則正しくずれる様子から、惑星を推定していました。Natureは後に、この変化が見かけのもので、本物の信号ではなかったと説明しています[3]。
わかっているWolszczan & Frail(1992年、Nature)[3]
1秒間に約160回転するパルサーPSR1257+12のまわりを、地球の2.8倍以上と3.4倍以上の重さの惑星が回っていました。1周はそれぞれ98.2日と66.6日で、軌道はほぼ円でした。
どうやって: プエルトリコのアレシボにある直径305メートルの電波望遠鏡で、パルスの届く時刻を正確に測りました。惑星に引っぱられてパルサーが行ったり来たりすると、パルスが届く時刻が少しずつ早まったり遅れたりします。
わかっているKonacki & Wolszczan(2003年、The Astrophysical Journal Letters)[4]
2つの惑星どうしが引っぱり合う小さな乱れまで、パルスの時刻に現れていました。そこから本当の重さが求められ、地球の4.3倍と3.9倍でした。
どうやって: 1990年の終わりから続けた観測で、百万分の1秒単位の時刻のずれを調べました。惑星どうしの引っぱり合いは、惑星が本当にある強い証拠になります。
わかっているMayor & Queloz(1995年、Nature)/ノーベル賞選考委員会の資料[5][7]
ペガスス座51番星は、4.23日の周期で、秒速59メートルの幅で近づいたり遠ざかったりしていました。ここから、木星の0.47倍以上の重さの惑星が、星から0.05天文単位の所を回っているとわかりました。
どうやって: フランスのオート・プロバンス天文台で、新しい分光器ELODIE(星の光を色に分けて測る装置)を使い、142個の星を調べました。測定の精度は秒速13メートルです。論文は1995年8月29日にNatureに届き、10月6日にイタリア・フィレンツェの学会で発表されました。
わかっているCampbell ほか(1988年)・Latham ほか(1989年)と、その後の確かめ[6][8][9][10]
1988年のCampbellらは、7つの星に木星の1〜9倍ほどの見えない相手がいる可能性を書きました。同じ観測の流れで1992年に惑星の可能性が指摘されたケフェウス座γ星では、2003年に約2.5年周期の惑星が確かめられました。1989年に見つかったHD 114762の相手は、2019年にガイア衛星のデータから、木星の約108倍の重さで惑星ではないとわかりました。
どうやって: どれも星の揺れから相手の「最低の重さ」を出す方法です。軌道の傾きがわからないと本当の重さは決まりません。HD 114762では、軌道をほぼ真上から見ていたため、相手が実際よりずっと軽く見えていました。
03 数字と例えでいうと最初の2つの惑星系は、太陽系とどれくらい違う?
パルサーの惑星は地球の4倍ほどの重さで、2〜3か月で1周します。ペガスス座51番星bは木星くらい重いのに、水星よりずっと星に近い所を約4.2日で回ります。
| 項目 | PSR1257+12の惑星 | ペガスス座51番星b |
|---|---|---|
| 中心の星 | 1秒に約160回転する中性子星[3] | 太陽に似た星、約50光年先[7] |
| 惑星の重さ | 地球の4.3倍と3.9倍[4] | 木星の0.47倍以上[7](地球の約150倍以上、計算) |
| 星からの距離 | 0.36天文単位と0.47天文単位[3] | 0.05天文単位[7](約800万km。太陽と地球の距離の20分の1) |
| 1周にかかる時間 | 66.6日と98.2日[3] | 4.23日[7] |
| 見つけた方法 | パルスの届く時刻のずれ | 星の揺れ(秒速59メートル)[7]。時速にすると約210km(計算) |
ペガスス座51番星の揺れは、時速約210kmです。これを約50光年先から、光の色のわずかなずれだけで測りました。当時の装置の精度は秒速13メートル、時速にすると約47kmでした[7]。
ノーベル賞の資料によると、太陽系を遠くから見ると、太陽は木星に引っぱられて12年かけて秒速13メートルほど揺れます[7]。木星のような惑星なら1周に何年もかかると考えられていたので、4日で回る巨大な惑星は予想外でした。こうした惑星は今ホットジュピターと呼ばれています。
その後、見つかった系外惑星は増え続けています。2026年10月時点の数と見つけ方の内訳は、系外惑星の数の記事にまとめています。
04 まだわかっていないこと最初の惑星たちで、まだ謎なのは何?
パルサーのまわりの惑星がどうやってできたのかは、まだ決着していません。木星くらいの惑星が星のすぐそばまで来た道すじも、いくつかの説が残っています。
- パルサーの惑星はどうやってできたのか1991年の論文は、超新星爆発の後にできたのか、爆発を生き延びたのかはわからないと書いています[1]。PSR1257+12では、2つの惑星の軌道がほぼ同じ平面にあることから、爆発の後に残った円盤からできたという説が有力です[4]。
- パルサーの惑星はなぜ少ないのか2000個以上知られているパルサーのうち、惑星を持つものはごくわずかです[7]。なぜ少ないのかは、まだ説明されていません。
- ホットジュピターはどうやって星に近づいたのかペガスス座51番星bは、もっと遠くでできてから内側へ移動したと考えられています[7]。移動のしかたには複数の説があり、くわしくはホットジュピターの記事にあります。
05関連する記事
06よくある質問
最初の系外惑星はいつ見つかったの?
確かめられた最初の系外惑星は、1992年に発表されたパルサーPSR1257+12のまわりの惑星です。太陽に似た星のまわりでは、1995年10月6日に発表されたペガスス座51番星bが最初です。何を「最初」と数えるかで答えが変わります。
2019年のノーベル物理学賞は系外惑星の何に贈られたの?
マイヨールとケロッツの「太陽に似た星を回る系外惑星の発見」に、賞の半分が贈られました。1995年のペガスス座51番星bの発見です。残りの半分は、宇宙論の理論を作ったピーブルズに贈られました。
ペガスス座51番星bはなぜ驚かれたの?
木星くらい重いのに、星のすぐそばを約4.2日で1周していたからです。太陽系では木星は1周に約12年かかります。こんな惑星はないと考えられていたため、初めは疑う声もありましたが、別の2つのチームがすぐに確かめました。
1991年のパルサー惑星はなぜ取り消されたの?
1991年、パルサーPSR1829-10に地球の約10倍の惑星があると発表されましたが、翌1992年1月に同じ研究者が「惑星はなかった」とNatureで取り下げました。Natureは、その周期的な変化が本物の信号ではなかったと説明しています。
出典
- Bailes, M., Lyne, A. G., Shemar, S. L. (1991). A planet orbiting the neutron star PSR1829–10. Nature 352, 311–313. https://doi.org/10.1038/352311a0
- Lyne, A. G., Bailes, M. (1992). No planet orbiting PSR1829–10. Nature 355, 213. https://doi.org/10.1038/355213b0
- Wolszczan, A., Frail, D. A. (1992). A planetary system around the millisecond pulsar PSR1257+12. Nature 355, 145–147. https://doi.org/10.1038/355145a0
- Konacki, M., Wolszczan, A. (2003). Masses and Orbital Inclinations of Planets in the PSR B1257+12 System. The Astrophysical Journal 591, L147–L150. https://doi.org/10.1086/377093
- Mayor, M., Queloz, D. (1995). A Jupiter-mass companion to a solar-type star. Nature 378, 355–359. https://doi.org/10.1038/378355a0
- Campbell, B., Walker, G. A. H., Yang, S. (1988). A search for substellar companions to solar-type stars. The Astrophysical Journal 331, 902–921. https://doi.org/10.1086/166608
- The Nobel Committee for Physics / Royal Swedish Academy of Sciences (2019). Scientific Background on the Nobel Prize in Physics 2019 / Popular information(約50光年・約800万km). https://www.nobelprize.org/prizes/physics/2019/advanced-information/
- Hatzes, A. P., Cochran, W. D., Endl, M., McArthur, B., et al. (2003). A Planetary Companion to γ Cephei A. The Astrophysical Journal 599, 1383–1394. https://doi.org/10.1086/379281
- Latham, D. W., Mazeh, T., Stefanik, R. P., Mayor, M., Burki, G. (1989). The unseen companion of HD114762: a probable brown dwarf. Nature 339, 38–40. https://doi.org/10.1038/339038a0
- Kiefer, F. (2019). Determining the mass of the planetary candidate HD 114762 b using Gaia. Astronomy & Astrophysics 632, L9. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201936942


