スーパームーンとは何か、どれくらい大きく見えるのか

「今夜はスーパームーン」と聞いて空を見上げたのに、いつもの満月と同じに見えた。そんな経験はありませんか。それは見まちがいではありません。国立天文台も、夜空の月だけで大きさの違いに気づくのは難しいとしています。では実際にどれくらい違うのか、公式の数字と論文で確かめます。
3行でわかる
- スーパームーンは、地球に近いときの満月の通称。国立天文台は「天文学の用語ではなく、定義もはっきりしない」としている。
- 2026年で地球に最も近い満月は12月24日。最も遠い5月31日の満月と比べると、見かけの直径は約14%、面積は約30%大きい(国立天文台)。
- 地平線近くの月が大きく見えるのは、月が大きくなるからではなく、脳が「遠くにある」と受け取るためだという説明が実験で支持されている。ただし、この錯覚の理由はまだ一つに決まっていない。
01 わかっていることスーパームーンって天文学の言葉なの?
天文学の正式な用語ではありません。国立天文台は「スーパームーン」を、天文学の用語ではなく定義もはっきりしない言葉としていて、「今年最大の満月」「地球から最も近い満月」と紹介しています。
月は地球のまわりを、少しつぶれた円(楕円)を描いて回っています。そのため地球からの距離は、およそ35万7000kmから40万7000kmまで変わります[6]。いちばん近づく点を近地点(きんちてん)、いちばん遠い点を遠地点(えんちてん)といいます。
この近地点の近くで満月になると、ふだんより少し大きく、明るい満月になります。NASAの解説では、「スーパームーン」という言葉は1979年に生まれ、月が地球に最も近い点の90%以内にあるときの満月を指すとしています[3]。
ただし、国立天文台は「スーパームーン」を天文学の用語ではなく、定義もはっきりしない言葉としています[2]。そのため国立天文台は、「今年最大の満月」や「2026年で地球から最も近い満月」のように紹介しています[1][2]。
ちなみに、満月の形になるしくみは月の満ち欠けの記事で、月がだんだん地球から離れていることは月の誕生の記事で紹介しています。
02 どうやってわかったのか地平線の月が大きく見えるのはなぜ?
地平線の月も高い空の月も、目に映る大きさ(見かけの角度)はほぼ同じです。それでも大きく感じるのは、脳が地平線の月を「遠くにある」と受け取るためだという説明が、人工の月を使った実験で支持されています。
わかっている国立天文台(2026年)[1]
2026年で地球に最も近い満月は12月24日です。満月のときの距離は約35万7000km、見かけの直径は約33分29秒角。最も遠い5月31日の満月(約40万6000km、約29分25秒角)より、直径は約14%、面積は約30%大きく見えます。
どうやって: 月の動きの計算(暦の計算)による予報の値です。距離は地球の中心から月の中心までで、ページでは夜空の月だけで大きさの違いに気づくのは難しいとも書かれています。
有力な仮説KaufmanとKaufman(2000年、PNAS)[4]
地平線の月は、高い空の月より「遠くにある」と感じられていることを、実験で確かめました。見かけの角度が同じ月を近づけて見せると、小さくなったように感じられました。研究者は、脳が地平線の月を遠いものとして扱うため大きく見える、と結論しています。
どうやって: 人工の月を使った実験です。両目で見たときのずれ(立体視の手がかり)をもとに、月がどれくらいの距離にあると感じられているかを調べました。
03 数字と例えでいうとどれくらい大きく、明るくなるの?
2026年で最も近い満月は、最も遠い満月より直径が約14%、面積が約30%大きく見えます。10円玉と500円玉くらいの差ですが、空に1つだけの月を見て、この差に気づくのは難しいです。
| 項目 | 値 | 身近な例えでいうと |
|---|---|---|
| 地球からの距離 | 約35万7000km(12月24日)、約40万6000km(5月31日)[1] | 差は約4万9000km。地球1周(約4万km)より少し長い(計算) |
| 見かけの直径 | 約33分29秒角と約29分25秒角[1] | 約14%の差。10円玉(直径23.5mm)と500円玉(26.5mm)の差が約13%(計算) |
| 見かけの面積 | 約30%大きい[1] | 光る面が広いぶん、届く光もおよそ3割多い(月面の明るさが同じと仮定した計算) |
| 月の見かけの大きさ | 約0.5度(30分角ほど)[1] | 腕をのばして持った5円玉の穴(直径5mm)とほぼ同じくらい。腕の長さが60cmなら穴は約0.48度で、月より少し小さい(計算) |
| 月が海を引っぱる力(潮汐の力) | 距離の3乗に反比例する | 35万7000kmのときは、40万6000kmのときの約1.47倍(計算)。実際の潮の高さは風・気圧・地形でも変わる |
| 真上の月と地平線の月 | 真上の月は、地球の半径(約6400km)ぶん近い | 真上の月の方が、見かけの直径は約1.7%大きい(計算)。それでも地平線の月が大きく感じるのは錯覚 |
直径の差は、33分29秒(2009秒)を29分25秒(1765秒)で割って求めました。面積は直径の比を2回かけた値です。潮汐の力は、距離の比(406÷357)を3回かけて求めました。
04 まだわかっていないこと月の大きさや、スーパームーンと地震について、まだ謎なのは何?
地平線の月が大きく見える錯覚の理由は、まだ一つに決まっていません。満月のころの潮汐の力と大地震の関係も、統計の傾向が報告された段階で、地震の予測に使えるわけではありません。
- なぜ脳は地平線の月を大きく感じるのかKaufmanとKaufman(2000年)は「遠く感じるから大きく見える」という昔からの説明を実験で支持しました[4]。一方で、高い空の月が小さく見えるのは目のピントの合わせ方など別の理由によるとする説明もあり、論文はこれと対立する考えだと書いています[4]。どの説明がどれだけ効いているのかは、決着していません。
- スーパームーンと地震の関係は?井出哲ら(2016年、Nature Geoscience)は、過去約20年間に起きたマグニチュード5.5以上の地震について、発生前2週間の潮汐の力(月と太陽が地球を引っぱって生まれる力)を計算し直しました[5][7]。潮汐の力が大きいほど大地震の割合が増える傾向があり、2004年スマトラ沖地震や2011年東北地方太平洋沖地震もこの力が大きい時期に起きていました[7]。確かさは「有力な仮説」の段階の統計の傾向です。研究者は、地域ごとの潮汐の力を知ることが地震の起きやすさの見積もりに役立つかもしれないとしていますが[7]、どの地震がいつ起きるかを予測できる段階ではありません。
05関連する記事
06よくある質問
次のスーパームーンはいつ?
「スーパームーン」には決まった定義がないので、どの満月を呼ぶかは資料によって違います。国立天文台によると、2026年で地球から最も近い満月は12月24日(満月の時刻は10時28分)です。
スーパームーンは肉眼でわかるほど大きいの?
2026年で最も近い満月と最も遠い満月を比べても、直径の差は約14%です。国立天文台も、夜空の月だけで大きさの違いに気づくのは難しいとしています。並べて写した写真で比べると違いがわかります。
月が地平線の近くで大きく見えるのはなぜ?
月そのものの見かけの大きさは、地平線でも高い空でもほぼ同じです。2000年の研究では、脳が地平線の月を遠くにあるものとして受け取るため大きく見える、という説明が実験で支持されました。ただし、理由はまだ一つに決まっていません。
スーパームーンの日は地震が起きやすいの?
井出哲ら(2016年)は、過去約20年間のマグニチュード5.5以上の地震を調べ、潮汐の力が大きいほど大地震の割合が増える傾向を報告しました。統計の傾向で、特定の日に地震が起きると予測できる段階ではありません。
出典
- 国立天文台 (2026). 2026年で地球から最も近い満月(2026年12月). ほしぞら情報. https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2026/12-topics04.html
- 国立天文台 (2016). 今年最大の満月. ほしぞら情報. https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2016/11-topics02.html
- NASA (2024). You “Woodn’t” Want to Miss the Beaver Moon, Last Supermoon of 2024. Watch the Skies. https://www.nasa.gov/blogs/watch-the-skies/2024/11/12/you-woodnt-want-to-miss-the-beaver-moon-last-supermoon-of-2024/
- Kaufman, L., Kaufman, J. H. (2000). Explaining the moon illusion. Proceedings of the National Academy of Sciences 97, 500–505. https://doi.org/10.1073/pnas.97.1.500
- Ide, S., Yabe, S., Tanaka, Y. (2016). Earthquake potential revealed by tidal influence on earthquake size–frequency statistics. Nature Geoscience 9, 834–837. https://doi.org/10.1038/ngeo2796
- NASA NSSDCA. Moon Fact Sheet. https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/moonfact.html
- Nature Asia (2016). 大地震が起こる可能性は満潮時に高まる(Nature Geoscience 掲載論文の日本語要約). https://www.natureasia.com/ja-jp/earth-env/research/10986


