誕生日の星座はなぜ誕生日に見えないのか

誕生日の夜、自分の星座を探して空を見上げたのに、どこにも見つからない。じつはこれ、探し方が悪いのではありません。誕生日の星座は、誕生日のころには「昼の空」に出ているのです。では、いつ見えるのか。12の星座について、見ごろの日を計算してみました。
3行でわかる
- 誕生日の星座は、誕生日のころ地球から見て太陽と同じ方向にある。星座は昼の空に出ていて、太陽の明るさで見えない。
- 夜9時ごろに南の空で見やすいのは、星座の代表の星が太陽と並ぶ日の約4か月半(137〜147日)前(SEADICEが2026年・東京で計算)。
- 太陽からどれだけ離れれば星が見え始めるかは、星の明るさや空気の澄み具合、見る人の目で変わり、1つの数字には決まらない。
01 わかっていること誕生日の星座は、なぜ誕生日に見えないの?
誕生日のころ、その星座は地球から見て太陽と同じ方向にあるからです。星座は昼の空に出ていて、太陽がまぶしすぎて見えません。夜の空に出てくるのは、太陽から離れた季節です。
地球は1年かけて太陽のまわりを1周します。そのため地球から見ると、太陽は星座の間を少しずつ動いていくように見えます。その速さは1日に約0.9856度、ほぼ1度です[6]。
星占いの12星座は、この太陽の通り道(黄道)にそって並ぶ星座から名前がとられています。誕生日のころ、太陽はその星座の前にいます。NASAの子ども向けサイトも、9月のおとめ座は太陽の向こう側にあり、昼にしか空に出ないので太陽の明るさで見えない、と説明しています[5]。
どこからどこまでがどの星座かは、1930年に発表された境界線の表で決められています。Roman(1987年)は、この表を、空の位置から星座をすぐ調べられる形に並べ直しました[1]。星座の数と境界のくわしい話は、88星座の記事で紹介しています。
02 どうやってわかったのか太陽の近くの星が見えないことは、どう確かめられてきたの?
2000年以上前のバビロニアでも、シリウスが太陽に近づいて見えなくなる日と、また見え始める日が記録されていました。今は、星の明るさごとに太陽がどれだけ沈めば見えるかを、たくさんの観測で調べています。
わかっているSchoch(1924年、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)[3]
紀元前の最後の400年ほどのバビロニアの天文学者は、シリウスが夕方の空に最後に見える日をユリウス暦の5月14日、明け方に再び見え始める日を7月19日としていました。その間の約2か月、シリウスは太陽に近すぎて見えなかったことになります。
どうやって: 先行研究がまとめたバビロニアの記録の日付をもとに、そのときの太陽の位置を計算し、プトレマイオスの値と比べました。日付はユリウス暦で、今の暦とは数えかたが違います。
わかっているBelokrylovら(2011年、Bulgarian Astronomical Journal)[4]
夕方の空で星が見え始める時刻は、星の明るさ、星の色、太陽との方角の差、空気の澄み具合で変わります。モスクワなどで3年間に600回以上観測し、星の明るさと「太陽がどれだけ沈めば見えるか」の関係を式にしました。
どうやって: 明るい星や暗い星が肉眼で見え始める・見えなくなる瞬間を記録し、そのときの太陽の沈み具合と比べました。
わかっているSEADICEの計算(星の位置はヒッパルコス衛星のカタログ[2]、太陽の位置はアメリカ海軍天文台の計算式[6])
12星座の代表の星について、太陽と並ぶ日と、東京で夜9時に南の空を通る日を2026年で計算しました。夜9時の見ごろは、太陽と並ぶ日の137〜147日前でした(03の表)。
どうやって: 「太陽と並ぶ日」は、太陽の通り道にそった方向(黄経)で星と太陽がそろう日。「夜9時に南の空」は、東京(東経139.69度)で星が真南を通る時刻が夜9時に最も近い日です。計算の誤差は1〜2日ほどあります。
03 数字と例えでいうと自分の星座は、いつ見ればいいの?
夜9時ごろ南の空で見たいなら、星座の代表の星が太陽と並ぶ日のおよそ4か月半前が見ごろです。春生まれのおうし座なら1月、秋生まれのさそり座なら7月の夜が目安です。
| 星座(代表の星) | 太陽と並ぶ日 | 夜9時に南の空に来る日 | 南の空での高さ |
|---|---|---|---|
| おひつじ座(ハマル) | 4月28日ごろ | 12月3日ごろ | 約78度 |
| おうし座(アルデバラン) | 5月31日ごろ | 1月9日ごろ | 約71度 |
| ふたご座(ポルックス) | 7月16日ごろ | 2月26日ごろ | 約82度 |
| かに座(β星) | 7月27日ごろ | 3月6日ごろ | 約63度 |
| しし座(レグルス) | 8月23日ごろ | 4月4日ごろ | 約66度 |
| おとめ座(スピカ) | 10月17日ごろ | 5月23日ごろ | 約43度 |
| てんびん座(β星) | 11月12日ごろ | 6月21日ごろ | 約45度 |
| さそり座(アンタレス) | 12月2日ごろ | 7月9日ごろ | 約28度 |
| いて座(ε星) | 12月27日ごろ | 8月7日ごろ | 約20度 |
| やぎ座(δ星) | 2月12日ごろ | 9月28日ごろ | 約38度 |
| みずがめ座(β星) | 2月12日ごろ | 9月24日ごろ | 約49度 |
| うお座(η星) | 4月17日ごろ | 11月24日ごろ | 約70度 |
2026年・東京でSEADICEが計算しました。代表の星は、星座の中の明るい星から選んでいて、星座の端にある星もあります。南の空での高さは、地平線を0度、真上を90度として計算しました。いて座やさそり座は南の低い空になるので、南側がひらけた場所で見てください。
この「太陽と並ぶ日」は、星占いの本などにある期間とずれていることがあります。ずれの理由は、星占いの星座のずれを調べた記事で紹介しています。
例えでいうと、太陽は1日に約1度動くので、1か月(30日)では約30度。夜9時に真南にあった星座は、1か月後には同じ時刻に約30度西へずれています(計算)。季節によって見える星座が入れかわるのはこのためです。
04 まだわかっていないこと太陽の近くの星が見えるかどうかで、まだわからないことは?
太陽からどれだけ離れれば星が見え始めるかは、見る人の目や空気の状態で変わり、1つの数字には決まっていません。古代の記録の値が場所によって違う理由も、決着していません。
- 見る人の目の違いがどれだけ効くのかBelokrylovらは、星の明るさと見え始めの関係が観測する人によって変わること、そして観測した人の視力がふつうの人の代表といえるかはわからないことを、自分たちの結果の弱点として挙げています[4]。
- 暗い星ではどうなるのか同じ研究では、街明かりのあるモスクワでは3.5等より暗い星を確実に観測するのが難しく、最初の式は3等までの星にしか当てはまりませんでした。その後、ロシアのペンザ州の村で5等級の星まで観測を広げましたが、暗い星ほど見え始めの時刻のばらつきが大きくなりました[4]。
- 古代の値はなぜ違うのかSchochは、バビロニアの記録から求めた値が、プトレマイオスの使った値より3〜5度ほど小さいことを示し、アレクサンドリアの地平線近くにいつも霧の層があったためではないかと考えました[3]。これは1つの説明で、確かめられてはいません。
星占いと性格の関係を研究で確かめた結果は、星占いの研究の記事で紹介しています。
05関連する記事
06よくある質問
誕生日の星座はなぜ誕生日に見えないの?
誕生日のころ、その星座は地球から見て太陽と同じ方向にあるからです。星座は昼の空に出ていて、太陽の明るさで見えません。NASAも、9月のおとめ座は太陽の向こう側にあり、昼にしか空に出ないと説明しています。
自分の星座はいつ見ればいいの?
夜9時ごろ南の空で見たいなら、その星座の代表の星が太陽と並ぶ日のおよそ4か月半前が目安です。たとえばしし座のレグルスは、太陽と並ぶのが8月23日ごろ、夜9時に南の空に来るのが4月4日ごろです(2026年・東京で計算)。
太陽は1日にどれくらい星座の間を動くの?
地球が太陽を1年で1周するので、太陽は星座の間を1日に約1度ずつ動いて見えます。アメリカ海軍天文台の計算式では、1日あたり約0.9856度です。
星占いの期間と、太陽が実際にいる星座は同じ?
同じとは限りません。この記事の表の「太陽と並ぶ日」は、星占いの本などにある期間とずれていることがあります。ずれの理由は、星占いの星座のずれを調べた記事で紹介しています。
出典
- Roman, N. G. (1987). Identification of a Constellation from a Position. Publications of the Astronomical Society of the Pacific 99, 695. https://doi.org/10.1086/132034
- van Leeuwen, F. (2007). Validation of the new Hipparcos reduction. Astronomy & Astrophysics 474, 653–664(星の位置は VizieR I/311 で確認). https://doi.org/10.1051/0004-6361:20078357
- Schoch, C. (1924). The "Arcus Visionis" of the Planets in the Babylonian Observations. Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 84, 731–735. https://doi.org/10.1093/mnras/84.9.731
- Belokrylov, R. O., Belokrylov, S. V., Nickiforov, M. G. (2011). Model of the stellar visibility during twilight. Bulgarian Astronomical Journal 16, 50–72. https://www.astro.bas.bg/AIJ/issues/n16/08_MNikifor2.pdf
- NASA Space Place. What Are Constellations? https://spaceplace.nasa.gov/constellations/en/
- U.S. Naval Observatory. Approximate Solar Coordinates. https://aa.usno.navy.mil/faq/sun_approx


