太陽系

月はなぜ満ち欠けするのか、いつも同じ面が見える理由

約6分で読めます

三日月
Photo: Paramanu Sarkar / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

月の満ち欠けは、地球の影が月にかかるせいだと思っている人もいるかもしれません。でも、影で月が欠けるのは月食のときだけです。満ち欠けは、太陽に照らされた月の半分を、地球からどの角度で見ているかで決まります。そして月は、いつも同じ面を地球に向けています。この2つのしくみを、国立天文台の解説と論文で確かめます。

3行でわかる

  1. 月はいつも太陽側の半分が照らされている。満ち欠けは、その明るい半分を地球からどの角度で見るかで変わり、新月から次の新月までは平均約29.53日。
  2. 月がいつも同じ面を向けるのは、自転と公転の周期がどちらも約27.32日で同じだから。地球の潮汐の力(引きのばす力)で、月の自転がこの速さに落ち着いたと考えられている。
  3. 月が少しゆれて見える「秤動」のおかげで、地球からは月面の約59%が見える。裏側の地殻が表側より厚い理由は、説が出ているが決着していない。

01 わかっていること月はなぜ満ち欠けするの?

月は自分では光らず、太陽の光を反射しています。いつも太陽側の半分が照らされていて、その明るい半分を地球からどの角度で見るかで、新月・上弦・満月・下弦と形が変わります。

満ち欠けは、月が地球のまわりを回るにつれて、地球から見た太陽と月の位置関係が変わることで起こります[1]。月と太陽が同じ方向にあると、地球には暗い側が向いて新月になります。正反対の方向にあると、明るい側がすべて見えて満月になります。

新月から次の新月までは、平均29.53日です[1]。月が地球を1周するのは平均27.32日なのに、2日ほど長くかかります。月が回るあいだに地球も太陽のまわりを進むので、月はその分だけ余計に回らないと、太陽との並び方が元に戻らないからです[1]。

新月の瞬間から数えた日数を「月齢」といいます。満月は月齢14.8くらいが目安ですが、月の通り道が楕円なので、実際の満月の月齢は13.9〜15.6日の幅があります[2]。十五夜が満月の日とずれることがあるのは、このためです[2]。

地球の影が月にかかって欠けるのは、満月のときに起こる月食だけです。くわしくは日食と月食の記事で紹介しています。

02 どうやってわかったのか月はなぜいつも同じ面を向けているの?

月が1回自転する時間と、地球のまわりを1周する時間が、どちらも約27.32日で同じだからです。地球の潮汐の力が、月の自転にブレーキをかけて、この状態に落ち着かせたと考えられています。

わかっているNASA・JAXA の月の資料[6][9]

月が星に対して地球を1周する周期は約27.32日、月が1回自転する周期も約655.7時間(約27.32日)で、同じです。そのため地球からは、いつも同じ面しか見えません。

どうやって: 月の動きを長年観測して求めた値です。自分も地球のまわりを回りながら、顔をいつも地球に向けていると、1周するあいだに体も1回転する、と考えるとわかりやすくなります。

わかっているGladmanら(1996年、Icarus)[7]

衛星の速い自転は、潮汐の力によってしだいにおさえられ、最後は公転と同じ周期で回る「同期回転」に落ち着きます。太陽系の多くの衛星が、この状態にあると考えられています。

どうやって: 衛星の自転がどう変わっていくかを、運動の式を立てて計算で調べた理論の研究です。月は、ほかの多くの衛星とは少しちがう落ち着き方をしているとも書かれています。

わかっている国立天文台 RISE月惑星探査プロジェクト[3]

自転と公転がそろった天体は、潮汐の力で少し引きのばされた形の長い軸を、相手の天体の方へ向けています。月も、少し長い向きを地球の方へ向けていると考えられます。

どうやって: 月の自転や「秤動」(月のゆれ)を説明した解説です。秤動には、見かけの位置関係で生じるものと、月そのものが実際にゆれるものの2種類があります。

有力な仮説Royら(2014年、The Astrophysical Journal Letters)[8]

できたばかりの月はすぐに同期回転になり、まだ熱かった地球に面した表側は熱く、裏側は冷たかったという説を出しました。そのため地殻の材料が裏側に多く積もり、裏側の地殻が厚くなったと考えます。

どうやって: 月ができたころの温度のちがいを計算したモデルによる提案です。観測で直接確かめられたわけではありません。

03 数字と例えでいうと月の自転と満ち欠けを数字でいうと?

月は約27.32日で1回自転し、同じ日数で地球を1周します。満ち欠けの周期はそれより約2.2日長い約29.53日です。月の赤道は時速約17kmで回っていて、自転車くらいの速さです(計算)。

項目値身近な例えでいうと
地球を1周する周期(星に対して)約27.32日[6]約4週間
月が1回自転する周期約655.7時間[6]約27.32日で、公転とぴったり同じ(計算)
満ち欠けの周期平均約29.53日(約29.3〜29.8日で変わる)[1]27.32日と1年(365.26日)から計算すると約29.53日になり、一致する(計算)
月の赤道が回る速さ半径約1737km[6]と自転周期から時速約17km。自転車くらい。地球の赤道(時速約1670km)の約100分の1(計算)
月のゆれ(秤動)東西に最大約8度、南北に約7度[4]月が首をふるように少しずつ向きを変えて見える
地球から見える月面約59%[5]半分(50%)より約9%多い。裏側の約18%も、ときどきのぞける(計算)
月が地球から離れる速さ年に約3.8cm[6]100年で約3.8m(計算)

月の赤道の速さは、半径約1737kmの円周(約1万916km)を655.7時間で割って求めました。地球の赤道は、半径約6378kmの円周を約23.93時間(1回の自転)で割りました。満ち欠けの周期は「1÷(1÷27.32−1÷365.26)」で計算しました。

月が地球から離れていることは月の誕生の記事で、満月の大きさの違いはスーパームーンの記事で紹介しています。

04 まだわかっていないこと月の表と裏について、まだ謎なのは何?

月の裏側の地殻が表側より厚い理由は、まだ決着していません。裏側から持ち帰った石の研究で、裏側の内部は表側より乾いている可能性も出てきましたが、表と裏がなぜこれほど違うのかは研究が続いています。

05関連する記事

06よくある質問

月はなぜ満ち欠けするの?

月はいつも太陽側の半分が照らされていて、その明るい半分を地球からどの角度で見るかで形が変わるからです。地球の影で欠けるのは月食のときだけです。新月から次の新月までは平均約29.53日です。

月はなぜいつも同じ面を向けているの?

月が1回自転する時間と、地球のまわりを1周する時間が、どちらも約27.32日で同じだからです。地球の潮汐の力で月の自転がおそくなり、公転とそろった状態に落ち着いたと考えられています。

月は自転していないの?

自転しています。約27.32日で1回自転していて、地球を1周する時間と同じなので、地球からは止まっているように見えます。赤道での速さは時速約17kmです(計算)。

月の裏側は地球から見えないの?

ほとんど見えませんが、月が少しゆれて見える「秤動」のおかげで、地球からは月面の約59%が見えます。残りの約41%は、探査機などでしか見られません。

満月は月齢15なの?

目安は月齢14.8くらいですが、月の通り道が楕円なので、実際の満月の月齢は13.9〜15.6日の幅があります。十五夜が満月の日とずれることがあるのはこのためです。

出典

  1. 国立天文台 暦計算室. 月の満ち欠け:朔望. https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/topics/html/topics2010.html
  2. 国立天文台 暦計算室. 月齢について. https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/topics/html/topics2017_1.html
  3. 国立天文台 RISE月惑星探査プロジェクト (2021). 第1回 秤動とは何か. https://www.miz.nao.ac.jp/rise/c/news/topic/20210810.html
  4. 国立天文台 暦計算室. 暦Wiki 秤動. https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/wiki/C7E9C6B0.html
  5. NASA Scientific Visualization Studio. Moon Wobble. https://svs.gsfc.nasa.gov/10836
  6. NASA NSSDCA. Moon Fact Sheet. https://nssdc.gsfc.nasa.gov/planetary/factsheet/moonfact.html
  7. Gladman, B., Quinn, D. D., Nicholson, P., Rand, R. (1996). Synchronous Locking of Tidally Evolving Satellites. Icarus 122, 166–192. https://doi.org/10.1006/icar.1996.0117
  8. Roy, A., Wright, J. T., Sigurðsson, S. (2014). Earthshine on a Young Moon: Explaining the Lunar Farside Highlands. The Astrophysical Journal Letters 788, L42. https://doi.org/10.1088/2041-8205/788/2/L42
  9. JAXA. もっと知りたい!「月」ってナンだ!? https://www.jaxa.jp/countdown/f13/special/moon_j.html
  10. He, H., Li, Q.-L., Hu, S., et al. (2025). Water abundance in the lunar farside mantle. Nature 643, 366–370. https://doi.org/10.1038/s41586-025-08870-x