国際宇宙ステーションは肉眼で見えるのか、見える時間と明るさ

夕方、明るい星のような点が、点滅もせずにすーっと空を横切っていくことがあります。その正体の1つが、宇宙飛行士が乗っている国際宇宙ステーション(ISS)です。望遠鏡はいりません。ただし、いつでも見えるわけではなく、見える時間には理由があります。
3行でわかる
- 国際宇宙ステーションは肉眼で見える。自分では光らず、太陽の光を反射して、明るい星のような点として空を動く。
- 見えるのは主に日没後と日の出前。地上は暗いのに、高度約400kmの宇宙ステーションにはまだ日が当たっているときだけ光って見える。
- 点滅せず、向きを変えずに数分で空を横切るのが目印。地球の影に入ると、空の途中でふっと消える。
01 わかっていること国際宇宙ステーションは肉眼で見えるの?
見えます。晴れていて、近くの空を通り、地上は暗いのに宇宙ステーションには日が当たっている、という条件がそろえば、望遠鏡なしで明るい点として見えます。
国際宇宙ステーションは、地上約400kmを秒速約7.7kmで飛んでいます[1]。地球を約90分で1周し、1日に16周します[2][6]。
宇宙ステーションは、自分で光っているわけではありません。月や金星と同じように、太陽の光を反射して輝きます[2]。NASAは、宇宙ステーションを「月を除けば夜空でいちばん明るい天体」とし、晴れた夜には金星と似た大きさと明るさに見えると説明しています[5]。星の明るさの表し方は1等星と6等星の記事で書いています。
見えるかどうかは、住んでいる場所と日によって変わります。NASAによると、見える機会は場所によって月に1回から週に数回までです[4]。JAXAの支援でKIBO宇宙放送局が運営する「きぼう」予報で、市町村ごとの見える時刻と方角を調べられます[1]。
02 どうやってわかったのかなぜ日没後と日の出前にしか見えないの?
昼は空が明るすぎて見えず、真夜中は宇宙ステーションも地球の影に入って日が当たりません。地上だけが暗く、高い所にはまだ日が当たる夕方と明け方が、見えるときです。
わかっているJAXA支援「きぼう」予報(KIBO宇宙放送局)[2]
季節によりますが、日の出前と日の入り後の約2時間は、地上は夜でも、高度400kmの上空はまだ昼の状態です。このときに宇宙ステーションが近くを通ると見えます。
どうやって: 見える条件として、晴れていること、近くを通ること、地上が暗く宇宙ステーションに日が当たっていることの3つを挙げています。宇宙ステーションは雲より上を飛ぶので、曇っていると見えません。
わかっているNASA Spot the Station[3][4]
見えるのは、日の出や日の入りの前後数時間の間だけです。昼間は明るさが足りず、肉眼では見えません。地球の影に入る(または影から出る)と、空の途中で急に消えたり現れたりします。
どうやって: NASAの公式の観察ガイドです。宇宙ステーションに当たった太陽の光が、暗い空との対比で見えると説明しています。
03 数字と例えでいうとどれくらいの高さと速さで飛んでいるの?
高さは東京から大阪までの直線距離と同じくらいの約400kmで、その距離を約52秒で進む速さです。真上を通るときでも、見えるのは長くて6分ほどの計算です。
| 項目 | 値 | 身近な例えでいうと |
|---|---|---|
| 高さ | 約400km(高度は少しずつ変わる)[1] | 東京から大阪までの直線距離と同じくらい |
| 速さ | 秒速約7.7km[1] | 時速約2万7700km。400kmを約52秒(計算) |
| 地球1周 | 約90分[2][6] | 1日に16周[6]。高さ400kmの円軌道として計算しても約92分 |
| 長さ | 約109m[6] | 400km先では、見かけの大きさは満月の約30分の1。肉眼では点に見える(計算) |
| 日が当たっている条件 | 日の出前・日没後の約2時間[2] | 真上にいるときは、太陽が地平線の下約20度までなら日が当たる(計算) |
| 1回に見える時間 | (計算) | 真上を通り、ずっと日が当たっている場合、高さ10度より上にいるのは約6分 |
計算の条件: 地球の半径を6371km、高さを400kmの円軌道とし、地球の自転と大気による光の曲がりは考えていません。見かけの大きさは109m÷400kmで約56秒角、満月を約0.5度(1800秒角)としました。日が当たる角度は、真上400kmの点から見て地球のふちに太陽が隠れる角度です。
04 まだわかっていないことこれから空の見え方はどう変わるの?
国際宇宙ステーションは2030年に運用を終える予定で、そのあと空に何が見えるかは決まっていません。人工衛星が増えた空がどうなるかも、打ち上がる数しだいです。
- 2030年のあと、何が空を横切るのか国際宇宙ステーションは2030年に運用を終える予定です[9]。後を継ぐ民間ステーションは、最初は国際宇宙ステーションより小さい計画もあり[10]、同じくらい明るく見えるかはわかりません(国際宇宙ステーションはいつまで使われるのか)。
- 人工衛星が増えると、夜空はどうなるのか多くの衛星が打ち上がると、夕方や明け方に見える光の点は増えると見積もられています[7][8]。ただ、実際に何機が打ち上がり、どれくらい明るく見えるかで結果は変わり、まだ決まっていません。
05関連する記事
06よくある質問
国際宇宙ステーションは肉眼で見える?
見えます。晴れていて、日没後か日の出前の約2時間に近くの空を通るとき、明るい星のような点として見えます。望遠鏡はいりません。見える時刻と方角は、JAXAの支援する「きぼう」予報やNASAのSpot the Stationで調べられます。
国際宇宙ステーションと飛行機はどう見分ける?
NASAによると、国際宇宙ステーションは点滅する光を持たず、途中で向きを変えません。明るい点がまっすぐ、数分かけて空を横切ります。空の途中でふっと消えたら、地球の影に入ったためです。
なぜ真夜中には見えないの?
真夜中は、高度約400kmの宇宙ステーションも地球の影に入り、太陽の光が当たらないからです。宇宙ステーションは自分では光らず、太陽の光を反射して見えています。
国際宇宙ステーションはどれくらい明るい?
NASAは、宇宙ステーションを「月を除けば夜空でいちばん明るい天体」とし、晴れた夜には金星と似た大きさと明るさに見えると説明しています。昼間は空が明るすぎて、肉眼では見えません。
出典
- KIBO宇宙放送局(JAXA支援). 「きぼう」を見よう(ISS可視情報、2026年10月20日確認). https://lookup.kibo.space/
- KIBO宇宙放送局(JAXA支援). きぼうはなぜ見える. https://lookup.kibo.space/howto/
- NASA. Spot the Station. https://www.nasa.gov/spot-the-station/
- NASA. Spot the Station Frequently Asked Questions. https://www.nasa.gov/missions/station/spot-the-station-frequently-asked-questions/
- NASA (2012). Spot the Space Station Over Your Backyard With New NASA Service(2012年11月2日). https://www.nasa.gov/news-release/spot-the-space-station-over-your-backyard-with-new-nasa-service/
- NASA. International Space Station Facts and Figures. https://www.nasa.gov/international-space-station/space-station-facts-and-figures/
- McDowell, J. C. (2020). The Low Earth Orbit Satellite Population and Impacts of the SpaceX Starlink Constellation. The Astrophysical Journal Letters 892, L36. https://doi.org/10.3847/2041-8213/ab8016
- Hainaut, O. R., Williams, A. P. (2020). Impact of satellite constellations on astronomical observations with ESO telescopes in the visible and infrared domains. Astronomy & Astrophysics 636, A121. https://doi.org/10.1051/0004-6361/202037501
- NASA (2024). NASA Selects International Space Station US Deorbit Vehicle. https://www.nasa.gov/news-release/nasa-selects-international-space-station-us-deorbit-vehicle
- Zea, L., Warren, L., Ruttley, T., Mosher, T., et al. (2024). Orbital Reef and commercial low Earth orbit destinations—upcoming space research opportunities. npj Microgravity 10, 43. https://doi.org/10.1038/s41526-024-00363-x


