系外惑星と生命

宇宙人はいるのか、フェルミのパラドックスとわかっていること

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電波で宇宙からの信号を探したグリーンバンク望遠鏡
Photo: NRAO/AUI/NSF / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

宇宙にはこれほど星があるのに、なぜ宇宙人の気配がないのか。1950年の夏、物理学者エンリコ・フェルミが昼食の席でこう問いかけたと伝えられています。先に答えを言うと、地球の外の生命は、微生物も含めてまだ1つも見つかっていません。一方で、生命が住めそうな惑星は珍しくないこともわかってきました。

3行でわかる

  1. 地球の外の生命も、宇宙人の文明も、今のところ見つかっていない。近くの星692個を電波で調べた観測でも、人工の信号はなかった。
  2. 太陽に似た星の一部は、地球くらいの大きさで水が液体でいられる距離を回る惑星を持つと見積もられている(約22%などの数字には幅がある)。
  3. 惑星K2-18bで報告された「生命の手がかりかもしれない気体」は、別のチームの再分析で確かな証拠はないとされ、議論が続いている。

01 わかっていること宇宙人は見つかっている?

地球の外の生命は、微生物も含めてまだ1つも見つかっていません。電波で文明の信号を探す観測でも、人工の信号は確認されていません。

フェルミのパラドックスとは、「宇宙人がいてもおかしくなさそうなのに、その気配がない」という食い違いのことです。パラドックスは「矛盾しているように見える話」という意味です。

この問いは1950年の夏、アメリカのロスアラモス研究所で生まれました。フェルミが同僚のコノピンスキー、テラー、ヨークと昼食をとりながら「みんなどこにいるんだ?」と言ったと、同席した人たちが証言しています[1]。

02 どうやってわかったのか宇宙人を探す研究で、何がわかった?

住めそうな惑星は珍しくないことがわかってきた一方で、近くの星から強い人工の電波は見つかっていません。生命の手がかりとされた気体の報告も、まだ確かな証拠にはなっていません。

有力な仮説Petiguraら(2013年、PNAS)[2]

太陽に似た星の約22%が、地球くらいの大きさで、水が液体でいられる距離(ハビタブルゾーン)を回る惑星を持つと見積もりました。

どうやって: ケプラー宇宙望遠鏡で太陽に似た星4万2000個を調べ、603個の惑星を見つけました。そのうち地球サイズでハビタブルゾーンにあるのは10個で、見落としを補正して割合を出しています。

有力な仮説Brysonら(2021年、The Astronomical Journal)[3]

太陽に似た星1つあたり、ハビタブルゾーンにある岩石惑星は0.37〜0.60個(控えめな見積もり)としました。一番近いものは、約6パーセク(約20光年)先にあると見積もられています。

どうやって: ケプラーの惑星候補と、ガイア衛星で測った星の性質を合わせて計算しました。見つかった小さな惑星が少ないため、数字の幅は大きいと著者ら自身が書いています。

わかっているEnriquezら(2017年、The Astrophysical Journal)[4]

近くの星692個から、人工の電波を探しました。見つかった11件の候補は、すべて地球の人間が出した電波でした。

どうやって: アメリカのグリーンバンク望遠鏡で、1.1〜1.9ギガヘルツの電波を観測しました。この結果から、約50パーセク以内の星で、この種類の強い送信機を持つものは0.1%未満とされました。

わかっていないMadhusudhanら(2023年・2025年、The Astrophysical Journal Letters)[5][6]

惑星K2-18bの空気に、メタンと二酸化炭素があると報告しました。2025年には、生命が作る気体の候補であるDMS(硫化ジメチル)などの手がかりを3シグマで報告しています。

どうやって: ウェッブ望遠鏡で、惑星の空気を通った星の光を分光しました。3シグマは天文学で「発見」とする目安(5シグマ)に届かず、著者らもさらに観測が必要だと書いています。

わかっていないLuqueら(2025年、Astronomy & Astrophysics)、Schmidtら(2025年、The Astronomical Journal)[7][8]

同じK2-18bのデータを別のチームが調べ直すと、DMSがあるという確かな証拠は見つかりませんでした。メタンは確認されましたが、二酸化炭素とDMSは確かとはいえないとされました。

どうやって: Schmidtらは60通りのデータ処理と250回以上の計算で分析しました。K2-18bは、海も生命もなくても説明できる「酸素の少ない小さな海王星のような惑星」かもしれないとしています。

03 数字と例えでいうと住めそうな惑星はどれくらいあり、どこまで探せた?

太陽に似た星の5つに1つほどが、住めそうな地球サイズの惑星を持つという見積もりがあります。一方、電波の探索で調べられたのは、近くの星の限られた周波数だけです。

項目値身近な例えでいうと
地球サイズで住めそうな惑星を持つ太陽型の星約22%[2]5つの星に1つくらい
星1つあたりの住めそうな岩石惑星0.37〜0.60個[3]2〜3個の星に1つくらい
一番近い住めそうな岩石惑星(見積もり)約6パーセク[3]約20光年。光でも20年かかる
電波で調べた近くの星692個、強い送信機を持つのは0.1%未満[4]約160光年以内で、1000個に1個より少ない
K2-18bの温度約250K[8]約−23℃
K2-18bのDMSを確かめるのに必要な観測中間赤外線であと約25回[7]惑星が星の前を通るたびに1回ずつ

例えは、1÷0.37≒2.7、1÷0.60≒1.7、6パーセク×3.26≒20光年、50パーセク×3.26≒163光年、250K−273≒−23℃として計算しました。見つかっている系外惑星の数は太陽系の外の惑星はいくつ見つかっているのかにまとめています。

04 まだわかっていないこと宇宙人について、まだ答えが出ていないのは?

地球の外で生命が生まれる確率も、文明が生まれて長く続く確率も、まだわかっていません。比べられる生命の例が、地球の1つしかないためです。

05関連する記事

06よくある質問

宇宙人はもう見つかっている?

見つかっていません。地球の外の生命は、微生物も含めてまだ1つも確認されていません。近くの星692個を電波で調べた観測でも、見つかった候補はすべて地球の人間が出した電波でした。

K2-18bで生命の証拠が見つかったというのは本当?

確かな証拠ではありません。2025年に生命が作る気体の候補DMSの手がかりが3シグマで報告されましたが、天文学で発見とする目安には届いていません。別のチームの再分析では、DMSがあるという確かな証拠はないとされ、議論が続いています。

フェルミのパラドックスとは何?

宇宙人がいてもおかしくなさそうなのに、その気配がまったくないという食い違いのことです。1950年の夏、物理学者フェルミが昼食の席で「みんなどこにいるんだ?」と問いかけたことから名づけられました。

生命が住めそうな惑星はどれくらいある?

ケプラー宇宙望遠鏡のデータから、太陽に似た星の約22%が地球サイズで住めそうな距離の惑星を持つという見積もりがあります。別の研究では星1つあたり0.37〜0.60個とされ、数字には大きな幅があります。

出典

  1. Jones, E. M. (1985). “Where is everybody?” An account of Fermi's question. Los Alamos National Laboratory, LA-10311-MS. https://doi.org/10.2172/5746675
  2. Petigura, E. A., Howard, A. W., Marcy, G. W. (2013). Prevalence of Earth-size planets orbiting Sun-like stars. Proceedings of the National Academy of Sciences 110, 19273–19278. https://doi.org/10.1073/pnas.1319909110
  3. Bryson, S. et al. (2021). The Occurrence of Rocky Habitable-zone Planets around Solar-like Stars from Kepler Data. The Astronomical Journal 161, 36. https://doi.org/10.3847/1538-3881/abc418
  4. Enriquez, J. E. et al. (2017). The Breakthrough Listen Search for Intelligent Life: 1.1–1.9 GHz Observations of 692 Nearby Stars. The Astrophysical Journal 849, 104. https://doi.org/10.3847/1538-4357/aa8d1b
  5. Madhusudhan, N. et al. (2023). Carbon-bearing Molecules in a Possible Hycean Atmosphere. The Astrophysical Journal Letters 956, L13. https://doi.org/10.3847/2041-8213/acf577
  6. Madhusudhan, N. et al. (2025). New Constraints on DMS and DMDS in the Atmosphere of K2-18 b from JWST MIRI. The Astrophysical Journal Letters 983, L40. https://doi.org/10.3847/2041-8213/adc1c8
  7. Luque, R. et al. (2025). Insufficient evidence for DMS and DMDS in the atmosphere of K2-18 b. Astronomy & Astrophysics 700, A284. https://doi.org/10.1051/0004-6361/202555580
  8. Schmidt, S. P. et al. (2025). A Comprehensive Reanalysis of K2-18 b's JWST NIRISS+NIRSpec Transmission Spectrum. The Astronomical Journal 170, 298. https://doi.org/10.3847/1538-3881/ae019a