系外惑星と生命

ドレイク方程式とは何か、宇宙人の数は計算できるのか

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グリーンバンク天文台の電波望遠鏡
Photo: Jet Propulsion Laboratory / Public domain / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

天の川銀河に、電波などで見つけられる文明はいくつあるのか。1961年、天文学者フランク・ドレイクは、この問いを7つの数のかけ算に分けました。これがドレイク方程式です。ただし、後半の数はまだ誰にもわからないため、答えは計算する人の仮定しだいで大きく変わります。

3行でわかる

  1. ドレイク方程式は、天の川銀河で見つけられる文明の数Nを、星が生まれるペースから文明が続く年数まで、7つの数のかけ算で表す式。
  2. 前半の3つ(星が生まれるペース、惑星を持つ星の割合、住めそうな惑星の数)は、観測で見積もれるようになってきた。
  3. 生命が生まれる割合、知性が生まれる割合、信号を出す割合、文明が続く年数は、まだ手がかりがなく、Nを1つの数に決めることはできない。

01 わかっていることドレイク方程式とは何?

天の川銀河で、電波などで見つけられる文明の数Nを、7つの数のかけ算で表した式です。答えを出すためというより、何がわかっていて何がわかっていないかを整理するために使われます。

式は N = R* × fp × ne × fl × fi × fc × L です。1961年11月、アメリカのグリーンバンク天文台で開かれた、地球の外の知的生命探し(SETI)についての初めての会議で、話し合う項目の一覧として作られました[1]。

項意味
R*(星が生まれるペース)天の川銀河で、1年に生まれる星の数
fp(惑星を持つ割合)そのうち惑星を持つ星の割合
ne(住めそうな惑星の数)惑星を持つ星1つあたり、生命がすめそうな環境の惑星の数
fl(生命が生まれる割合)住めそうな惑星のうち、実際に生命が生まれる割合
fi(知性が生まれる割合)生命がいる惑星のうち、知的な生き物が生まれる割合
fc(信号を出す割合)そのうち、遠くから見つけられる信号を出す技術を持つ割合
L(続く年数)そうした文明が、信号を出し続ける平均の年数

SETIインスティテュートは、1961年の時点で値がわかっていたのはR*だけで、この式は「解く」ことも正確に計算することもできないと説明しています[1]。

02 どうやってわかったのかそれぞれの数は、今どこまでわかったの?

星と惑星にかかわる前半の3つは、観測で見積もれるようになりました。生命と文明にかかわる後半の4つは、比べられる例が地球しかなく、決める方法がまだありません。

わかっているLicquiaとNewman(2015年、The Astrophysical Journal)[2]

天の川銀河では、1年に太陽約1.65個分の重さの星が生まれていると見積もりました。

どうやって: それまでの多くの測定を、まちがいがあるかもしれないことも考えに入れてまとめ直しました。これは生まれる星の「重さ」の合計で、星の「数」ではありません。

有力な仮説Cassanら(2012年、Nature)[3]

天の川銀河の星は、惑星を持つのが例外ではなく「ふつう」だと結論しました。木星くらいの惑星を持つ星は約17%、地球の5〜10倍の重さの惑星を持つ割合は1つの星あたり約62%と見積もりました。

どうやって: 重力レンズ(手前の星の重力で、奥の星の光が一時的に明るくなる現象)の2002〜07年の観測を、統計で分析しました。対象は星から0.5〜10天文単位の惑星です。太陽系の外の惑星は、2026年10月時点で6,451個が確認されています[10]。

有力な仮説Petiguraら(2013年、PNAS)、Brysonら(2021年、The Astronomical Journal)[4][5]

太陽に似た星の約22%が、地球くらいの大きさで住めそうな距離の惑星を持つと見積もられました。別の研究では、太陽に似た星1つあたり0.37〜0.60個(控えめな見積もり)とされています。

どうやって: どちらもケプラー宇宙望遠鏡のデータを使っています。見つかった小さな惑星が少ないため、数字の幅は大きいと著者ら自身が書いています(地球に似た惑星は見つかっているのか)。

わかっていないSpiegelとTurner(2012年、PNAS)[6]

地球で生命が早く生まれたことは、生命が生まれやすい証拠のように見えます。しかし計算すると、この1例だけでは、生命が生まれる確率がとても低い場合とも矛盾しないとわかりました。

どうやって: 確率を推しはかる計算(ベイズ統計)で調べました。地球とは別に生まれた生命が1例でも見つかれば、ずっと強い手がかりになるとしています。

有力な仮説FrankとSullivan(2016年、Astrobiology)[7]

式の形を変え、「観測できる宇宙の歴史のどこかで、人類のほかに技術を持つ文明が生まれたことがあるか」を考えました。住めそうな惑星で技術文明が生まれる確率が約10-24(1兆の1兆分の1)より大きければ、人類が初めてではないとしました。

どうやって: 前半の天文学の数に観測の値を使い、わからない後半をまとめて1つの確率にしました。今、天の川銀河にいくつあるかではなく、宇宙全体の歴史で1度でもあったかを問う形です。

わかっていないWestbyとConselice(2020年、The Astrophysical Journal)[8]

知的生命が地球と同じように、惑星ができて45億〜55億年のころに生まれると仮定すると、天の川銀河に少なくとも36(4〜211)の文明があるという計算になりました。

どうやって: 文明が続く年数Lを、人類が電波を使ってきた年数に近い100年と置いています。地球と同じ道すじをたどるという強い仮定の上の数字で、仮定を変えると結果も変わります。

わかっていないSandbergら(2018年、arXiv・査読前)[9]

後半の数の不確かさは何桁にもわたるため、1つの値を入れずに幅のまま計算すると、「観測できる宇宙に人類しかいない」確率もかなり大きくなるとしました。

どうやって: 査読を経た雑誌には載っていない論文(プレプリント)です。それぞれの数を1つに決めず、確率の分布として扱いました。

03 数字と例えでいうと数を入れると、答えはどれくらい変わるの?

前半の3つには観測の値を入れられます。後半の4つは0に近いのか1に近いのかもわからないため、入れる値しだいで、Nは1より小さくも、とても大きくもなります。

項今わかっている値確かさ
R* 星が生まれるペース1年に太陽約1.65個分の重さ[2]観測で見積もれる
fp 惑星を持つ割合ほとんどの星が惑星を持つ[3]観測で見積もれる
ne 住めそうな惑星の数太陽に似た星1つあたり0.37〜0.60個など[5]幅が大きい
fl 生命が生まれる割合例は地球だけ[6]わかっていない
fi 知性が生まれる割合例は地球だけわかっていない
fc 信号を出す割合例は地球だけわかっていない
L 続く年数人類は電波を使い始めて約100年[8]わかっていない

かけ算なので、わからない数が1つ変わるだけで答えも同じ倍率で変わります。たとえばflを「100分の1」と置くか「1億分の1」と置くかで、Nは100万倍ちがいます(1億÷100で計算)。後半の4つすべてで同じことが起きるため、Nを1つの数に決めることはできません。

04 まだわかっていないことドレイク方程式で、まだわかっていないことは?

生命が生まれる割合、知性が生まれる割合、信号を出す割合、文明が続く年数は、どれもわかっていません。比べられる生命と文明の例が、地球の1つしかないためです。

05関連する記事

06よくある質問

ドレイク方程式とは何?

天の川銀河で、電波などで見つけられる文明の数Nを、星が生まれるペース、惑星を持つ星の割合、住めそうな惑星の数、生命・知性・技術が生まれる割合、文明が続く年数の7つのかけ算で表した式です。1961年にフランク・ドレイクが作りました。

ドレイク方程式で宇宙人の数はわかるの?

わかりません。星と惑星にかかわる前半の3つは観測で見積もれるようになりましたが、生命・知性・技術が生まれる割合と文明が続く年数は、まだ手がかりがありません。入れる値しだいで、答えは1より小さくも、とても大きくもなります。

ドレイク方程式の答えは、今いくつと言われている?

決まった答えはありません。たとえば2020年の研究は、地球と同じ道すじをたどるという仮定で少なくとも36(4〜211)の文明と計算しましたが、これは強い仮定の上の数字です。仮定を変えると結果も大きく変わります。

ドレイク方程式はいつ、誰が作ったの?

アメリカの天文学者フランク・ドレイクが、1961年11月にグリーンバンク天文台で開かれた、地球の外の知的生命探しについての初めての会議のために作りました。会議で話し合う項目の一覧として使われました。

出典

  1. SETI Institute. The Drake Equation. https://www.seti.org/drake-equation-index
  2. Licquia, T. C., Newman, J. A. (2015). Improved Estimates of the Milky Way’s Stellar Mass and Star Formation Rate from Hierarchical Bayesian Meta-Analysis. The Astrophysical Journal 806, 96. https://doi.org/10.1088/0004-637X/806/1/96
  3. Cassan, A., Kubas, D., Beaulieu, J.-P., et al. (2012). One or more bound planets per Milky Way star from microlensing observations. Nature 481, 167–169. https://doi.org/10.1038/nature10684
  4. Petigura, E. A., Howard, A. W., Marcy, G. W. (2013). Prevalence of Earth-size planets orbiting Sun-like stars. Proceedings of the National Academy of Sciences 110, 19273–19278. https://doi.org/10.1073/pnas.1319909110
  5. Bryson, S., et al. (2021). The Occurrence of Rocky Habitable-zone Planets around Solar-like Stars from Kepler Data. The Astronomical Journal 161, 36. https://doi.org/10.3847/1538-3881/abc418
  6. Spiegel, D. S., Turner, E. L. (2012). Bayesian analysis of the astrobiological implications of life’s early emergence on Earth. Proceedings of the National Academy of Sciences 109, 395–400. https://doi.org/10.1073/pnas.1111694108
  7. Frank, A., Sullivan, W. T. (2016). A New Empirical Constraint on the Prevalence of Technological Species in the Universe. Astrobiology 16, 359–362. https://doi.org/10.1089/ast.2015.1418
  8. Westby, T., Conselice, C. J. (2020). The Astrobiological Copernican Weak and Strong Limits for Intelligent Life. The Astrophysical Journal 896, 58. https://doi.org/10.3847/1538-4357/ab8225
  9. Sandberg, A., Drexler, E., Ord, T. (2018). Dissolving the Fermi Paradox. arXiv:1806.02404(査読前のプレプリント). https://arxiv.org/abs/1806.02404
  10. NASA Exoplanet Archive(2026年10月20日時点の確認済み惑星数). https://exoplanetarchive.ipac.caltech.edu/