宇宙の始まりと終わり

宇宙でいちばん多い元素は何か、元素の割合と星のかまど

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カシオペア座の方向に広がる星雲
Photo: Tk833 / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

宇宙の原子を1万個つかみ取ったとします(太陽の成分をものさしにした計算です)。そのうち約9200個は水素、約780個はヘリウムです。私たちの体や地球をつくる酸素・炭素・鉄などは、全部合わせても10個ほどしかありません。この割合は、太陽の光をくわしく調べて測られています。

3行でわかる

  1. 宇宙でいちばん多い元素は水素、2番目はヘリウム。太陽の表面の割合で数えると、原子の数で水素が約92%、ヘリウムが約8%(太陽の光の分析から計算)。
  2. 水素とヘリウムの多くはビッグバンの直後にでき、3番目の酸素や炭素などそれより重い元素は、星の中の核融合や星の最期に作られた。
  3. 太陽の元素の割合と太陽の内部の観測が合わない問題や、金やプラチナがおもにどこで作られたかは、まだ決着していない。

01 わかっていること宇宙でいちばん多い元素は何?

宇宙でいちばん多い元素は水素です。太陽の表面の割合で数えると、原子の数で水素が約92%、ヘリウムが約8%で、残りのすべての元素を合わせても0.1%ほどです。重さで比べると、水素が約74%、ヘリウムが約25%です。

宇宙の元素の割合の「ものさし」には、太陽の光で測った値が使われます[1]。光の中に、元素ごとの「指紋」(決まった色の暗い線)が残っているからです。Asplundらの2009年のまとめでは、太陽の表面の重さの割合は水素73.8%、ヘリウム24.9%、それ以外1.3%でした[1]。

2021年の見直しでも、水素74.4%、ヘリウム24.2%、それ以外1.4%と、ほぼ同じ結果です[2]。この割合は、太陽の近くの星や、生まれたままに近い隕石の成分ともよく合います[1]。

水素とヘリウムのほとんどは、ビッグバンの直後の数分間にできました[3]。ヘリウムより重い元素は、星の一生と星の最期の中で作られてきました[5]。

02 どうやってわかったのか元素の割合はどうやって測ったの?

太陽の光を色ごとに分け、元素が残す暗い線の濃さから量を計算しました。ビッグバンでできた量は計算と古いガス雲の観測で、星の中でできる仕組みは原子核の実験と計算で確かめられています。

わかっているAsplundら(2009年、Annual Review of Astronomy and Astrophysics)[1]

太陽の表面に含まれるほぼすべての元素の量を測り直しました。重さの割合は水素73.81%、ヘリウム24.85%、それ以外1.34%。炭素・窒素・酸素・ネオンは、それまで使われていた値より少ないことがわかりました。

どうやって: 太陽の表面で熱いガスが上下に動く様子を、3次元のコンピューター計算で再現し、そのモデルで光の線の濃さを読み直しました。2021年の見直しでも、炭素・窒素・酸素が少ないという結果は変わりませんでした[2]。

わかっているシュタイグマン(2007年、Annual Review of Nuclear and Particle Science)[3]

ビッグバンの数分後、30分足らずの間に、重さで約25%がヘリウムになったと計算されます。重い元素の少ない銀河のガス雲で測ったヘリウム(約24%)とも、誤差の範囲で合いました。

どうやって: 星にほとんど汚されていないガスで、ヘリウムや重水素の量を測って計算と比べました。くわしくはビッグバンの証拠の記事で書いています。

わかっているBurbidge・Burbidge・Fowler・Hoyle(1957年、Reviews of Modern Physics)/Johnson(2019年、Science)[4][5]

ヘリウムより重い元素の多くは、星の中の核融合と星の最期で作られることが、元素ごとに示されました。2019年のまとめでは、重い星は超新星爆発で、軽い星は外側のガスを手放して、作った元素を宇宙に戻すと整理されています。

どうやって: 原子核の反応の実験データと、星の中の温度や密度の計算を組み合わせ、太陽系の元素の割合を説明できるかを確かめました。星の最期の爆発は超新星爆発の記事でくわしく書いています。

わかっているPlanck共同研究チーム(2020年、Astronomy & Astrophysics)[6]

元素でできた「普通の物質」は、宇宙全体のエネルギーの約5%しかありません。残りはダークマターとダークエネルギーで、どちらも元素ではないと考えられています。

どうやって: 宇宙全体から届く電波(宇宙マイクロ波背景放射)のわずかなむらを人工衛星Planckで測り、宇宙の中身の割合を計算しました。普通の物質の割合は、論文の値(Ωbh²=0.0224、ハッブル定数67.4)から計算すると約4.9%です。

03 数字と例えでいうと原子1万個のうち、何がいくつ?

太陽の表面の原子を1万個取り出すと、水素が約9207個、ヘリウムが約784個です。3位の酸素は約5個、4位の炭素は約3個で、鉄は1個にも届きません。

元素(数の多い順)原子1万個のうち(計算)重さの割合(計算)
1 水素約9207個約73.8%
2 ヘリウム約784個約24.9%
3 酸素約4.5個約0.57%
4 炭素約2.5個約0.24%
5 ネオン約0.8個約0.13%
6 窒素約0.6個約0.07%
7 マグネシウム約0.4個約0.07%
8 ケイ素約0.3個約0.07%
9 鉄約0.3個約0.13%

Asplundら(2009年)の表にある太陽の表面の値(水素の原子1兆個あたりの数を対数で表したもの)から、SEADICEが原子の数と重さの割合に直しました[1]。ヘリウムとネオンは太陽の表面の光では直接測りにくく、別の方法で決めた値です。ケイ素と鉄はほぼ同じ数で、順位は入れ替わることがあります。

項目値身近な例えでいうと
ビッグバン直後のヘリウム重さで約25%(計算)[3]できたてのガス100グラムのうち、約25グラム
太陽ができたときのヘリウム重さで約27% [1]ビッグバン直後の約25%より少し多い
水素とヘリウム以外の元素重さで1.3〜1.4% [1][2]太陽と同じ成分のガス1kgのうち、約14グラム
元素でできた普通の物質宇宙全体の約5% [6]宇宙を100円とすると、元素でできたものは約5円分

太陽ができたとき(約46億年前)の割合は、表面の値とは少し違います。重い元素が長い時間をかけて太陽の内側へ沈んだためで、Asplundらは表面とは別に、太陽全体の値(水素71.5%、ヘリウム27.0%、それ以外1.4%)も示しています[1]。

04 まだわかっていないこと元素の割合で、まだ合わないことは?

太陽の光で測った元素の割合と、太陽の内部のゆれの観測が合わない問題が、2021年の見直しでも残っています。金やプラチナがおもにどこで作られたかや、リチウムの量のずれも決着していません。

05関連する記事

06よくある質問

宇宙でいちばん多い元素は何?

水素です。太陽の表面の割合で数えると、原子の数で約92%、重さで約74%が水素です。2番目はヘリウムで、原子の数で約8%、重さで約25%です。どちらも大部分がビッグバンの直後にできました。

水素とヘリウムの次に多い元素は?

3番目は酸素、4番目は炭素です。太陽の表面の原子1万個のうち、酸素は約4.5個、炭素は約2.5個です。どちらも星の中の核融合で作られ、星の最期に宇宙へまかれました。

宇宙の元素の割合はどうやって調べるの?

おもに太陽の光で調べます。光を色ごとに分けると、元素ごとに決まった色に暗い線が現れ、その濃さから量を計算できます。結果は、生まれたままに近い隕石の成分ともよく合っています。

宇宙はすべて元素でできているの?

いいえ。人工衛星Planckの観測から、元素でできた普通の物質は宇宙全体の約5%と計算されています。残りはダークマターとダークエネルギーで、正体はまだわかっていません。

鉄より重い元素はどこでできたの?

金やプラチナのような重い元素は、中性子をたくさん取り込む反応でできます。中性子星どうしの合体が主な作り手だという研究と、特別な超新星が主だという研究があり、まだ決着していません。

出典

  1. Asplund, M., Grevesse, N., Sauval, A. J., Scott, P. (2009). The Chemical Composition of the Sun. Annual Review of Astronomy and Astrophysics 47, 481–522. https://doi.org/10.1146/annurev.astro.46.060407.145222
  2. Asplund, M., Amarsi, A. M., Grevesse, N. (2021). The chemical make-up of the Sun: A 2020 vision. Astronomy & Astrophysics 653, A141. https://doi.org/10.1051/0004-6361/202140445
  3. Steigman, G. (2007). Primordial Nucleosynthesis in the Precision Cosmology Era. Annual Review of Nuclear and Particle Science 57, 463–491. https://doi.org/10.1146/annurev.nucl.56.080805.140437
  4. Burbidge, E. M., Burbidge, G. R., Fowler, W. A., Hoyle, F. (1957). Synthesis of the Elements in Stars. Reviews of Modern Physics 29, 547–650. https://doi.org/10.1103/RevModPhys.29.547
  5. Johnson, J. A. (2019). Populating the periodic table: Nucleosynthesis of the elements. Science 363, 474–478. https://doi.org/10.1126/science.aau9540
  6. Planck Collaboration (2020). Planck 2018 results. VI. Cosmological parameters. Astronomy & Astrophysics 641, A6. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201833910
  7. Kasen, D., Metzger, B., Barnes, J., Quataert, E., Ramirez-Ruiz, E. (2017). Origin of the heavy elements in binary neutron-star mergers from a gravitational-wave event. Nature 551, 80–84. https://doi.org/10.1038/nature24453
  8. Siegel, D. M., Barnes, J., Metzger, B. D. (2019). Collapsars as a major source of r-process elements. Nature 569, 241–244. https://doi.org/10.1038/s41586-019-1136-0