宇宙の始まりと終わり

ダークマターとは何か、見えない物質があると考えられている理由

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The Bullet Cluster is made up of two galaxy clusters that are colliding, one moving through the other, about 3.7 billion light-years away in
Photo: CTIO/NOIRLab/DOE/NSF/AURA Image Processing: T.A. Rector (University of Alaska An / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons
AIによる調査論文と公的機関の資料をAIが調べ、内容を確かめて整理しました(出典は末尾)。

宇宙にある物質のうち、星やガスのように光で見えるのは6分の1ほどしかありません。残りは光を出さず、重力だけで存在がわかる「ダークマター」と考えられています。見えないのに、なぜあると言えるのでしょうか。

3行でわかる

  1. ダークマターは、光を出さず重力だけを及ぼす見えない物質です。量は普通の物質の約5倍と見積もられています。
  2. 銀河の回り方、銀河団による光の曲がり方、宇宙の背景放射という別々の観測が、どれも見えない物質を示しています。
  3. 正体はわかっていません。地下の実験で探していますが、まだ1つも捕まっていません。

01 わかっていることダークマターは本当にあるの?

見える物質だけでは説明できない重力があることは、いくつもの独立した観測で確かめられています。その重力のもとが「見えない物質」だという考えが、研究者の間で最も有力です。

物は重力で引き合います。だから、星やガスがどれだけ速く動いているかを測れば、そこにどれだけの重さがあるかがわかります。

測ってみると、見えている星やガスを全部足しても、重さが大きく足りません。足りない分を埋める、光を出さない物質。これがダークマター(暗黒物質)です。

02 どうやってわかったのか見えない物質をどうやって見つけたの?

重力の働きを3つの方法で測りました。銀河の回る速さ、重い天体が光を曲げる様子、そして宇宙の背景放射のむらです。どれも見える物質だけでは合いません。

わかっているNASAの解説より(ツビッキー、1933年)[5]

かみのけ座銀河団の銀河は、見える物質の重力では引き止められないほど速く動いていました。ツビッキーは、見えない物質があると考えました。

どうやって: 銀河団の中の銀河の動く速さを測り、見える物質から考えられる重さと比べました。

わかっているルービンとフォード(1970年、The Astrophysical Journal)[1]

アンドロメダ銀河の67か所のガスを、中心から約8万光年まで測りました。中心から4〜14キロパーセク(約1万3000〜4万6000光年)では、内側に含まれる重さが距離にほぼ比例して増えていました。

どうやって: ガスが出す光の色のずれ(ドップラー効果)から回る速さを求めました。その後の多くの銀河の観測とあわせ、外側にも見えない重さがあると考えられるようになりました。

わかっているクロウら(2006年、The Astrophysical Journal Letters)[2]

2つの銀河団がぶつかった「弾丸銀河団」では、重さの中心と、普通の物質の大部分である高温ガスの中心がずれていました。ずれは8σ(誤差の8倍)で、偶然とは考えにくい大きさです。

どうやって: 遠くの銀河の形がわずかにゆがむ様子(重力レンズ)から重さの分布を描き、X線で見えるガスの位置と比べました。著者らは、重力の法則を変えるだけでは説明できないとしています。

わかっているプランク・コラボレーション(2020年、Astronomy & Astrophysics)[3]

宇宙の背景放射のむらから、ダークマターの量は普通の物質の約5.4倍と求められました。

どうやって: 宇宙が約38万歳のときの光の温度のむらを全天で測り、宇宙の中身の割合を計算しました。銀河とはまったく別の時代・方法での測定です。

わかっていないLZ実験(2023年、Physical Review Letters)[4]

5.5トンの液体キセノンで60日間ダークマターの粒を探しましたが、信号は見つかりませんでした。

どうやって: 地下深くの装置で、粒がキセノンの原子にぶつかったときのかすかな光を待ちました。見つからなかったことで、粒の性質の候補が絞られています。

03 数字と例えでいうとダークマターはどれくらいあるの?

宇宙の物質を6つに分けると、見える普通の物質は1つ、ダークマターが5つほどです。宇宙全体のエネルギーで見ると、ダークマターは約26%、普通の物質は約5%です。

項目値身近な例えでいうと
ダークマターと普通の物質の比0.120 : 0.0224(約5.4倍)[3]物質が6キロあれば、見える物質は1キロ弱
宇宙全体に占める割合ダークマター約26%、普通の物質約5% [3][5]残りの約7割はダークエネルギー
アンドロメダ銀河で測った範囲中心から24キロパーセク [1]約7万8000光年。光でも7万8000年かかる
弾丸銀河団のずれ8σ [2]測定の誤差の8倍。偶然ではまず起きない差

04 まだわかっていないことダークマターの正体は何?

正体はわかっていません。未知の粒だという説が有力ですが、どの候補も見つかっていません。重力が働くこと以外、どんな性質を持つのかも決着していません。

05関連する記事

06よくある質問

ダークマターとダークエネルギーは同じもの?

別のものです。ダークマターは重力で物を引き寄せる見えない物質で、銀河をまとめています。ダークエネルギーは宇宙の広がりを加速させている何かで、どちらも正体はわかっていません。

ダークマターは私たちの周りにもあるの?

天の川銀河もダークマターに包まれていると考えられているので、地球の周りにもあるはずです。そのため地下の実験装置で、ダークマターの粒が原子にぶつかる瞬間を探していますが、まだ見つかっていません。

ダークマターはブラックホールのこと?

同じではありません。ブラックホールは普通の物質がつぶれてできた天体です。宇宙の背景放射の観測からは、ダークマターの量は普通の物質の約5倍と見積もられ、普通の物質とは別のものと考えられています。

出典

  1. Rubin, V. C. & Ford, W. K. Jr. (1970). Rotation of the Andromeda Nebula from a Spectroscopic Survey of Emission Regions. The Astrophysical Journal 159, 379. https://doi.org/10.1086/150317
  2. Clowe, D. et al. (2006). A Direct Empirical Proof of the Existence of Dark Matter. The Astrophysical Journal 648, L109-L113. https://doi.org/10.1086/508162
  3. Planck Collaboration (2020). Planck 2018 results. VI. Cosmological parameters. Astronomy & Astrophysics 641, A6. https://doi.org/10.1051/0004-6361/201833910
  4. LZ Collaboration (2023). First Dark Matter Search Results from the LUX-ZEPLIN (LZ) Experiment. Physical Review Letters 131, 041002. https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.131.041002
  5. NASA Science. Dark Matter. https://science.nasa.gov/dark-matter/